オンラインセールスを社内浸透させるための3つのステップ
新たな施策を社内に浸透させようとする際、その成否を決める最も大きな要因の1つは「責任者の推進力」です。
これはオンラインセールスも例外ではなく、強いコミットメントや影響力を持つ責任者が推進するプロジェクトは、高い確率で成功を収めます。
2020年3月時点で合計88社の企業様がbellFaceの事例インタビューに応じて下さっています。今回はこの多くの事例の中から見えてきた「オンラインセールスを社内浸透させるための成功パターン」を分析し、それらに共通する3つのステップをご紹介させてもらいます。特にこれからオンラインセールスに取り組もうとされている営業ご責任者様向けの内容となっております。
① ゴール設定
ゴールが明確ではない取り組みは100%失敗します。なぜなら、「ゴールが明確でない」=「成功の定義が明確でない」ため、成否の判断をしようがないからです。オンラインセールスにおいては、まずはじめに以下の3点を明確にしておく必要があります。
①-1 課題の特定
まず自社が抱えている課題がどこにあるのか。つまり、今回なぜオンラインセールスを導入すべきと考えたのか?を整理することから始めるべきです。
「何となく在宅勤務が増えてきたから始めてみよう」では、取っ掛かりとしてはよくても、社内にしっかりと浸透させるには動機付けとして弱いです。
よくある例としては、
◆ 問合せが急増しており、訪問営業では対応しきれなくなっている
→商談リードタイムを短縮しよう!!
◆ 出張しても成果に繋がっておらず、移動時間と交通費を浪費している
→出張コスト削減しながら、商談数を倍化させよう!!
◆ 既存顧客とのコミュニケーションが疎かになっている
→既存顧客のカバー率を向上させよう!!
などが挙げられます。
自社の営業組織が抱える本質的な課題はどこにあるのか?その解決策が本当にオンラインセールスを導入することなのか?を整理し、自身が心底納得できて始めて社内浸透の入り口に立てます。
①-2 導入シーンの選定
課題を整理できたら、次は自社に合ったオンラインセールスの導入シーンを選定していく必要があります。自社の営業プロセスにおいて、どこをオンラインセールスに置き換えるべきなのか?を間違えると、導入後の効果は半減します。
◆ 扱う商材の単価や受注獲得までのリードタイム
◆ 顧客との関係性(新規営業 or 既存営業)
◆ 営業手法(アウトバウンド or インバウンド)
これらの組み合わせにより、適切な切り分けを行うことがとても重要になります。こちらは既に詳細を先日のnoteに纏めておりますので、以下をご参照ください。
『オンラインセールスを始めるにあたって、まず最初にやるべきことは?』
①-3 KGI/KPI設計
課題が整理され導入シーンが具体的に決まれば、あとはKGI/KPIの設計、つまりは「成功の定義」を明確にする必要があります。
これは通常の営業活動と同様に、曖昧ではなく具体的であればあるほどに、振り返りが非常に楽になります。例えば以下のようなイメージです。
🙅♂️:「とりあえず何度か使ってみましょう。」
🙆♂️:「現在訪問だと月間15商談なので、まずは月間20商談をオンラインで実施してみましょう。」
🙅♂️:「訪問と比べて受注率が下がらないかチェックしてみましょう」
🙆♂️:「訪問と比べると商談数が1.5倍になるので、受注率が5%以上さがらないかチェックしていきましょう。」
もちろん最初は、あえて細かく設定せずに自由に始めてみることも1つです。しかしどこかで成否を判断すべきタイミングがくるのであれば、最初に設計しておくことで振返りに時間をかけず、また高い精度で検証までを実施することができますので、その際は上記をご参照ください。
② メンバーへの展開
ゴールが設定できれば、次はメンバーへの落とし込みが始まります。
これまで多くのオンラインセールス導入支援を行ってきておりますが、この「メンバーへの展開」を疎かにする経営者や営業ご責任者が非常に多いので、弊社ではその重要性を再三お伝えするようにしています。
②-1 導入背景とその先にある未来の伝達
何の背景もなく「とりあえず非対面の営業をやってみよう」で動く人は、余程の強い信頼関係がある限られた人か、特に何も深く考えていないだけの人です。新たにオンラインセールスにチャレンジする時は、
◆ なぜこれまで訪問営業が当たり前だった状況から、会社としてわざわざ非対面の営業を取り入れることになったのか?
◆ この取り組みが実現できたその先には、会社にはどんな未来が待っているのか?
やや大げさに聞こえるかもしれませんが、ここまでをしっかりと関わるメンバーへ落とし込む必要があります。ここに明確な理由やそれに裏打ちされた説得力、また本人との合意なしに進めてしまうと、数週間後には何もなかったかのようにこれまで通りの訪問営業へ逆戻りしてしまいます。
②-2 マインドセット
いざオンラインセールスを開始しようと思っても、「お客さんは本当に受け入れてくれるのだろうか?」と不安に思われる方は少なくありません。
そんな時に重要になってくるのは、「お客さんにとってもメリットがあること」を営業自身が腹から納得できるか?という点になってきます。
「お客さんにとっての4つのメリット」や「具体的なトークスクリプト」については、先日以下のnoteに詳細を執筆しましたので、ご参照ください。
『【鉄板トーク大公開】 オンラインセールスをお客さんに承諾してもらうためのTipsをご紹介します』
②-3 スター候補選定
メンバーへの展開において最後に必ずやっていただきたいのが、今後活躍が期待される「スター候補」の選定です。社内でオンラインセールスを定着させる上で、「1人の成功モデル」を生み出すことが、その先の活動効率を劇的に向上させてくれます。まず最初にスターとして認定され、その後高いパフォーマンスを発揮していく方々の特徴は、大きく以下の4つに分類されます。
A, テクノロジー好きの『イノベーター』
B, フィールドセールスでも成果をあげている『ハイパフォーマー』
C, 新人/第二新卒などの素直で真っ直ぐな『まずやってみる系の若手』
D, セールスではイマイチだがテレアポがやけに得意な『テレセールスプロ』
A~Cは分類というよりは重なっているケースも多く、特に意外性はないかと思います。一方でDのように、セールスでは著しい成果は出せずに燻っていた方が、オンラインセールスを始めた途端に光り輝くケースをたまに拝見します。新たな活躍の場が提供出来うる、という意味においてもオンラインセールスは意義深いものだというご意見を頂戴するケースもありますので、可能性に蓋をせず柔軟に検討されてみるのが良いかもしれません。
③ 定着サイクルの確立
1つの成功モデルを作ることができれば、ここからの展開は早いです。しかし、ここまではある程度「個のチカラ」でもやってこれますが、ここからは「組織のチカラ」が試されるステージです。つまり『誰でも同じ水準で実践できる仕組み作りが出来る組織なのか?』が試されることになります。
③-1 勝ちパターンの型化
勝ちパターンを型化する上で、必要になってくるのは以下4点です。
◆ 商談フローの確立
◆ トークスクリプトの整備
◆ サービス資料の統一
◆ ロールプレイング&商談フィードバック
成果を上げる営業には、間違いなくその方なりの創意工夫があらゆる場面に散りばめられています。そのポイントを的確に汲み取り、上記の4点に落とし込んでいきます。その際、出来るかぎり「1名のスターの傾向」だけを分析するのではなく、複数名のスターから共通するポイントを抽出することが出来ると、その精度が一層高まることは言うまでもありません。
③-2 オンラインセールス専任チームの新設
ここまでの段階で、複数名のスターが生まれ始めているはずです。その時にいよいよ検討すべきなのは「オンラインセールス専任チームの新設」です。
これは①-2で解説をした導入シーンの選定次第で、この専任チームのミッションは変わってきます。
ex)
◆ フィールドセールスの一次商談をオンラインセールスへ置き換え
→一次商談でニーズ精査&興味喚起を行うことに専念するオンラインセールスチームを新設
◆ お客様からの資料請求に対する営業活動をオンラインセールスへ置き換え
→大手企業はフィールドセールスが担当し、中小企業を担当するオンラインセールスチームを新設
これはスターが誕生する前から、退路を絶って専任チームを新設するケースも多々あります。タイミングは会社によって様々ですが、何れにせよこの新たな施策のみに集中するチームを立ち上げることが、成功への大きな一歩となることは間違いありません。
③-3 成功事例の社内展開
組織の中でオンラインセールスの勝ちパターンが確立したら、最後に成功事例を「大胆に」社内へ展開していくことをオススメします。
◆ スターに成功要因をインタビューし、コンテンツ化して社内展開
◆ 全社表彰をして、その功績を最大限讃える
◆ ジョブコンテストを実施して、そのノウハウを体系化して発信
ここまでくると、社内で「オンラインセールスを行うことが当たり前」という空気が生まれ、最初は懐疑的だったメンバーも無駄な訪問営業を行うことを、むしろ嫌がるようになります。
まとめ
3つのステップの中にある、それぞれ3つのポイントについて解説させてもらいました。
『オンラインセールスを社内浸透させるための3つのステップ』
① ゴール設定
①-1 課題の特定
①-2 導入シーンの選定
①-3 KGI/KPI設計
② メンバーへの展開
②-1 導入背景とその先にある未来の伝達
②-2 マインドセット
②-3 スター候補選定
③定着サイクル確立
③-1 勝ちパターンの型化
③-2 オンラインセールス専任チームの新設
③-3 成功事例の社内展開
新たな施策を組織に取り入れることは、大きな痛みやストレスが伴います。それが、何十年も前から当たり前と信じて疑わなかった「訪問営業」を変革するとなれば尚更です。
ただしその苦しみが大きければ大きいほどに、それを乗り越えた先で得られる成果や喜びは、計り知れないほどに大きなものとなって皆様の元に返ってきます。そう言った現場をこれまで何十、何百と見てきておりますので、これは間違いありません。
今の世界情勢を考えると、訪問するだけではない新しい営業スタイルを自社内で確立することは急務であると言えます。
微力ではありますが、是非お力になれればと思いますので、いつでもお気軽にご相談いただけると幸いです。
長文を最後まで読んでいただき、有難うございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?