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髪の毛は細くて柔らかいのに、カットラインで力強くも、軽やかに繊細にもできるから奥深い。
カラーで透明感や重厚感も出せるし、パーマをかければ直線にも曲線もできる。
高校生の頃に使っていた携帯のメールアドレスに「crcle_et_carre」という文字を入れていました。1929年にできた抽象芸術グループ。直訳すると「円と方形」、つまり「丸と四角」ですね。カンディンスキーの図録を見て衝撃を受けて興味を持ちました。
卒業して美容師をしながら先輩と一緒にブランドやろうと言って始めたのが「Abstraction-Creation」これは「抽象・創造」です。結局のところネックレスとTシャツしか作れませんでしたけれど。
過去を振り返ると痛々しい部分を思い出しては萎えたりもしますが、面白い再発見があります。「初心に返る」というよりも最初の決心の前にあるきっかけの部分を深堀りすると、忘れていたスイッチを見つけられるのでお勧めですよ。
ちょっと何を言ってるかわからなかったらすみません。
過去の断片を切り取ってみても分かるように、芸術や造形デザイン全般が好きで美容師になったので、髪型の見方や解釈は「ヘアデザインだけがとにかく好きです」という方とは違ったアプローチになっていると思います。
Instagramの過去の投稿を見ると、写真で捉えている造形には特徴があるので、振り返ってみると共通点がなさそうで繋がってたり、好きな物の根源は変わらないもんだなぁと感じました。
以前も書きましたが人の身体は曲線で作られているので、より自然に見せたい場合は曲線の見せ方に工夫すること。どこに余白を残すかを考えることもデザインに大きく左右されます。
髪を切るときに最初に教えてもらうのは、展開図という髪型の設計図を描いて、まずはその通り切るように習うんですが、人形の頭では上手くいっても実際の人の頭は生えグセも施術履歴も違っていて思うようにいかないことがほとんど。
そもそも頭の形もみんな違うので、頭の曲線を理解して立体的に見る必要があります。ただ、感覚をつかんでイメージ通りに形が収まるようになってくると楽しいし、それはお客様にも伝わるんですよね。洋服でもお洒落は足し算と引き算とたとえられますがヘアデザインもその節はあります。
造形について考えていたら、店名の「noiloni」という名前も、意味を持たないかたちとして見た時に、直線と曲線のバランスが直感でしっくりきたのを思い出しました。頭の中の整理やストレッチのような感覚で視点を変えると、新しい閃きや発想に繋がっていく。その感覚は忘れないようにと自分自身に言い聞かせました。
写真は夕方の店内。裏の小さな森は落葉し始めて、木漏れ日が綺麗です。みなさんと同じように金木犀の香りと鈴虫の音色を聴いて、季節が巡っているのを実感しています。もう10月だなんて信じ難い事ですが。
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