妄想百人一首(23)
『再開』
「最後までやれよ」
ハードカバーに視線を向けたまま彼は言った。
「んー」
わかってる、投げ出すのはカッコ悪いし、そんな自分は嫌だ。
「んあ、でもだよ」
彼は顔を上げない。めげてはいけない。
「始めたのはさ、過去の自分じゃん、その時はその時のことを考えていたのであって、で、未来のことは未来の自分に丸投げしたわけじゃん、で、その、過去の自分と同じように今の自分には今の決定権があるとも言えるとおもうんだよ」
ようやく彼と目が合って、目を逸らした。やましいことがあるわけじ