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メモはなぜ取るんだと思う?

3年間のフリーター生活の中で、最も印象深かったのは、東京郊外のデパートに入っていた文房具売り場だった。

新築移転したデパートに新規にテナントとして入ることになった文房具売り場で、オープンスタッフとして入った。

開店前の商品整理から仕事に入って、本社の営業部長だかの指示の下動いている時、部長はアルバイト全体に向けて、作業の手順から接客の流れなど、教わった事はメモをしなさいと言った。

そして、こう質問してきた。

「メモはなぜ取るんだと思う?」

メモを取る事自体は特段のことではないが、改めて(意味ありげに)聞かれるとちょっと答えに窮する。

部長に指名された他のアルバイトは、やや戸惑いながら

「聞いたことを忘れないように…ですかね」

と答えた。私を含め、他のアルバイトも「まあそんなとこだろう」と思った。

その答えを聞いた部長は(いかにも「そうだよなぁ、そういう答えになるだろうなぁ」というしたり顔で)こう答えた。

「メモは聞いたことを忘れてもいいように取るんだよ」

「人の脳が覚えていられることの量には限界がある。
聞いたことを全部覚えておくことは不可能だ。
しかし、知っておかねばならないことはたくさんある。

だから、聞いたことはメモを取る。

聞いたことを忘れてしまっても、メモを見返せば思い出せる。

だから、教えてもらったことはしっかりメモを取りなさいね」

他のアルバイトがどう思ったかはわからないが、私は少し楽な気分になった。

メモを書いたら忘れていい。
メモを見れば思い出せるから。

しかし不思議なもので、メモを取りながら聞いたことってけっこう覚えている。

忘れるにしても、スッカリ忘れるということは少ない。

でも、「メモを取りながら聞けば覚えられるよ」と言われるより、「メモを取りながら聞けば忘れても大丈夫だよ」と言われるのはずいぶん気楽だ。

今にして思えば、至言だったのかもしれない。

そんな思い出を胸にこれ↓を読んだが、


だいぶ違うことが書いてあって、いろいろモヤっているので、それはまた別に書こうと思う。

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