樋口有介「片思いレシピ」

元刑事のフリーライター、柚木草平の娘で小学6年生の加奈子。
彼女の通う学習塾でアルバイト講師の大学生が惨殺される事件が発生する。
同じ学校で、同じその「槇塾」《まきじゅく》に通う妻沼柚子《めぬま・ゆずこ》の祖父母が関心を寄せたことから、柚子の兄で中学2年生の翔児《しょうじ》ともども事件に関わっていくことに。

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柚木草平シリーズの外伝的作品。
柚木は電話でのみの登場なのは良いとして、その加奈子との電話で重要なヒントを与えるとかいうこともなく、むしろ加奈子の（つまり読者の）知らない間にあれこれ動いて真相を推理してしまうというのが、構造的に物足りなくはある。

それでも、浮世離れした料理好きの柚子はじめ、妻沼家の面々がちょっとあざというくらいにキャラが立っていて、楽しく読めた。
加奈子と翔児の見てるこっちは何とも微笑ましい距離感もいい。