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読書に集中していたのは認める。降りるつもりの駅を過ぎていたことは、1度や2度じゃない。 …
女に手を引かれて歩きながら、俺は早く帰りたいと思ってしまう。 帰りたい場所は、この女…
寝床屋の管理人になると、仲間の気配に敏感になるのだろうか。 じっと眠っていた仲間が目…
どこへ行けばいいのかわからないまま、夜の中を、前を向いて走っている。 「どうしよう、死…
<前編はこちら> カナコは、元いた場所へ戻れず、初めの場所で同じ状況で歌うこともできな…
あの歌を、あの歌声をまた聴ける日が来ることを、俺は信じている。 俺がカナコを見つけた…
畑でキュウリを収穫していたあたしは、仲間の気配を感じて手を止め、顔を上げた。 「こぉんにちはぁぁぁ」 独特の調子の挨拶は、リディだ。今日もパリッとした背広姿で紳士を装っている。 「おかえり、元気そうでなにより」 「あぁ、あいさつを間違えましたねぇ」 リディは姿勢を正し、 「ただいまですぅ」 と、本心を隠していると伝わるいつもの笑顔で言った。 「うん、ゆっくりしていくといい」 あたしは素直な笑顔で言った、つもりだ。 寝床屋に戻ると、あたしは台所に向かいながら後ろにい
世界は次々と創造されている。誰も見たことのない「創造主」によって。 あたしはそのこと…
2020年10月30日、私が書いた小説「響くのは雨と風と波の音」をkindle出版しました。 ここに、…
小説「界境の守護者シリーズ」5作目 前編はこちら 中編はこちら 「そう、俺はヒイロ」 な…
小説「界境の守護者シリーズ」5作目 前編はこちら 俺は神を憎んでいる。 父を殺した大…
小説「界境の守護者シリーズ」5作目 今日から暮らす世界は、高くて四角い建物がたくさん…
駅の構内にあるコーヒーショップでぼんやりと電車を眺めている。制服のままだけれど、下校途…
リディの手に重ねて、まばたきをしたら、私は私の部屋にいた。 テーブルに置いたはずの原稿がなくなっている。散らかったままのはずの道具は揃えられて、テーブルに置かれている。 冷蔵庫の扉を開けると、空っぽになっている。 誰かが来たんだ。 「あのぉ、お尋ねしたいことがあるのですけれどぉ」 声に振り向くと、リディがまだいた。 「私が先に質問する。私が向こうにいただけ、つまり一か月がこちらも経過してるのね?」 「はい、そうですよぉ」 リディはこくりとうなずいた。 私は親によ