見出し画像

【読書】我が闘争 堀江貴文著

著者が反省を振り返る、大変読み応えのある本になっています。
面白エピソードも多く、大変興味深かったです。


はじめに


これまで自分の過去のことを特に子供の頃や学生時代の話をまとめた形で文字にすることはなかった。僕自身が過去を振り返るという行為に何の意味も見出せなかったからだ。過ぎ去った時間に思いを馳せるなんて暇な人間のすることだと考えていた。
入所してしばらくは暇という時間に戸惑い苦しんだ。特に夜9時から朝7時までの就寝時間が辛かった。出所後の楽しい未来でも想像してみようと試みたのだが驚いたことに先のことを考えると次から次へと不安ばかり湧き上がってくる。精神は不安定になり眠れない夜が続いた。
これはもう過去を思い出してやり過ごすしかないのかもしれない。
決して楽しい行為ではなかった。むしろいちいち感情を揺さぶられるので面倒くさいことこの上ない。ただ過去はもう終わっているので新たな不安を連れてくることはなかった。せっかくだからもっと思い出してみよう。

僕は目の前のままならないこと、納得できないこと、許せないこと闘い続けて来たのだ

第一章      田舎の優等生

典型的な日本の農村で


一番最初の記憶は、母方の曾祖父に背負われて、みかん山へ向かう穏やかな坂の上を登って行くところ。
「赤ちゃん大会」2位

母の実家での「何もない」日々


母方の実家である山だけの、なだらかな山間にみかん畑や田んぼが広がる相当にのんびりとした農家だ。

昭和の父親はナイターにビール

父は日産ディーゼル福岡販売というトラック販売会社の佐賀支店に勤めていた。地元の高校を卒業後新卒で入社。肩たたきで早期退職するまで、長い間会社のために尽くしたもののキャリアは課長どまり。
サラリーマンとしてもいたって平凡である。授業参観などの学校行事には一度もきたことがないし、どこかへ送り迎えをしてくれるような人でもなかった。父は平凡平均を絵に描いたような中産階級の代表のような人。

働き者だけど劇場型の母

「せからしか!」(うるさい)で一蹴される。
柔道教室
年賀状配達のバイト
父の給料だけでは生活がままならないため共働き

会話の少ない堀江家の空気

父と母は決して仲の良い夫婦ではなかった。
食事中も会話がない。
父から与えられた唯一の教訓「チンポを洗え。大事なとこだからな」

ナスビさんチョッキ事件

百科事典で広がる世界

五歳の頃、遊んでて左手を骨折した。一ヶ月ほど幼稚園を休むことになる。自宅にあった百科事典を引っ張り出してページを開く。
これが情報ジャンキーの第一歩となった。

ある日突然死への恐怖がやってきた

曾祖父の死

「みんなと違う」に苦し日々

小学校の勉強は超が付くほど簡単だった。
通知表の素行欄には協調性がないと書かれるようになった。
ちょっとした問題児として扱われるようになったのだ。

キレる少年と救世主星野先生

星野先生は、小学校三年の時の担任で、田舎の小学校には似つかわしくないファンキーな雰囲気のおばちゃん先生だった。
褒めてくれて、キレる理由を理解してくれた。
久留米にある進学塾をすすめてくれた。

単なる田舎の子供

小学校四年の担任美沙子先生はにじゅう代半ばの若くて綺麗な女の人。
美沙子先生は何と水着の授業の時にビキニを着てくるというものだった。

第二章      パソコンと思春期


中学入学祝いとして両親にパソコンを買ってもらった。

朝から晩までプログラム三味。


「月刊アスキー」などのパソコン雑誌に掲載されていたプログラムを片端から入力した。
親からお金を借りて、新しいパソコンを購入。
新聞配達のバイトで親に借金を返済。
塾のパソコンシステム移植作業をバイトとしてやった。
一時期はパソコン熱も覚めて自堕落な生活を送っていた。

実家を脱出するためには東大に行くしかない


春の東大模試ではF判定だった。
受験勉強は半年あれば充分が僕の持論。半年間集中すればなんとかなると信じていた。重要なのは時間ではなく集中力。半年間ならば集中力も持続できるだろう。本格的に取り組んだのは梅雨どきになってから。受験対策はとにかく英語の点数を上げること。文系なので英語の配点が一番大きく合否を左右する。
なぜ今の僕は英語ができないのかを過去問に向かいながら分析する。単語を知らないからだという結論が簡単に導き出された。単語を知らないから文法に惑わされる。言葉の意味がわからないから文意がつかめない。受験英語とは単語力の勝負なのだ。
オススメの単語帳を丸暗記。単語だけでなくそこに出てくる派生語も例文を全て覚える。ノルマは一日二ページ。秋口にはすべてをインプットすることができた。

第三章      ダメ人間


恐るべき東大駒場寮


防空壕みたい。
高校の同級生の松尾君。彼のお兄さんが住んでいた部屋。部屋の真ん中には麻雀卓。
小太りのおじさん、高見さんは博士課程の収集中でみんなにはドクター高見と呼ばれていた。
大学生活は麻雀を中心に回り始めた。
ロン毛で細身の中谷君。

酒屋でみんなに囲まれて怒られたエピソード


そんなの意味ないですよバカなんじゃないですかみたいな発言をした。
そしたらみんなから糾弾された「堀江は人の気持ちが分からなさすぎる」
「人の気持ちなんて、わかるわけないじゃないですか!」

彼女はなんと女子高生


バイト仲間には高校大学と一緒というやつもいた。その男の紹介で人生初の彼女ができた。
この人生初めての彼女である有馬さんは、僕のその後の人生に大きく関わってくる事になる。

人見知りを直す方法
ヒッチハイクで日本一周。中谷君友人2人も誘って。

だめ大学生競馬にはまる


競馬で食っていくという勘違い

真人間になりたい


気がつけば大学四年生になっていた。
同級生は就職活動。「真面目に働くしかないかもしれない」
大学の学生課前にアルバイト募集の掲示板。パソコン関連の仕事があった。
僕はそもそもパソコンが、プログラムが得意だった。

第四章      起業前夜


フィクスの佐々木さん


インターネットとの衝撃的な出会い
航空会社初のホームページを作る
会えない彼女をバイトに誘う
まずまず大川弘一さんと意気投合
野村證券からやってきた石田さん
佐々木さんの後釜のおっさん課長

第五章      新米社長


有馬さん、松尾さんと起業


ありますあんの父親は大手アパレル会社の社長。600万円出資
税理士・宮内氏 大川さんつながり
母親怒鳴り込み事件
ネットバブル

第六章      上場


創業メンバーたちの言い分


古参メンバー様々な衝突や対立が起こるようになった
「堀江は変わった」
彼女の有馬さんとは恋愛関係が冷えきっていった。
サイバーエージェントは創業から二年で上場。負けず嫌いの僕は間違いなく感化されていた。
恋人と会社を作ってはいけない
子供ができて結婚
世田谷に家を購入
国際証券の野口さん
有馬さんの父が全株を売却 株価急降下 4億借金
2年3か月で離婚 29歳

第七章      M&Aという選択


「世界1の会社にする」

第八章      プロ野球界参入

第九章      ニッポン放送買収


村上世彰氏 国内初のTOBによる敵対的買収

第十章      衆議院選立候補


政治家になって本気で日本を変えようと思っていた

第十一章 ライブドア事件


05年12月

終わりに


これからも納得いかないものとは徹底的に戦っていくつもりでいる。
しかし、40歳を超えた僕はいろんな戦い方があることが分かってきたし戦う相手の気持ちも少しは考えられるようになってきた。
「他人の気持はわからないです。でもできる限り分かろうとします」

感想

名台詞の「人の気持ちなんて、わかるわけないじゃないですか!」は面白いと思いました。言っている場面が想像できるなと。
前半の生い立ちは大変興味深かったです。地方の神童はこんな感じで過ごしているんですね。
今はインターネットがあるから、閉塞感、疎外感は少ないかもしれません。
でも身近に理解者がいないと、生きていくのがしんどい時もあるのではないでしょうか。
そういう意味では、著者は相当メンタルが強い方なのかなと思います。
松尾さん、ドクター高見のその後が気になります。
有馬さん、野口さんのご冥福をお祈りいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?