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80:完全に心が折れた私は任地変更を考えた

 Bonjour

 活動へのモチベーションが無くなりました。

 問題は解決していませんが、「ここで生きていく意味」を少し見出せたので記事を更新しています。現在進行形の問題+不特定多数の方が読んでくださっているので、記載できる範囲(6割程度)で書いていきます。

 暗い内容なので、写真は今回上京した際に撮ったものを載せます。笑

最近経済首都にできたタピオカ屋さん

 ベナンは協力隊が派遣されている国の中でも暮らしのハードルが高く、教育水準もかなり低いと言われています。

 その中でも私は「先生が学校に来ない」「法律で1クラス50人までと決められているのに137人のクラスがある」「配属先(市の教育委員会)が全く機能していない」など他の地域の教育隊員と比べても酷い地域・酷い配属先に配属されています。

 しかし、他の地域・隊員と比べてもいい事はないですし、「私は私」だと思って「子どもたちのためだけ」を想ってこれまで一人で頑張ってきました。

唐揚げ

 配属されて間もない頃に「午後先生が来ていないクラスが多いね」と伝えた時は「嘘を言うな!」と言われたり、「こんな感じで算数の授業をしようと思うんだけど…」とプレゼンをしようとした時は、「日本は1クラスの人数が少ない」「日本はお金がたくさんある」などと関係のない話ばかりされ、全く会話ができない状況だった時もありました。

 配属先の方とは毎日の挨拶や雑談は楽しくできますが、活動のことになるとここには書ききれないくらい初代隊員である私のことを否定してきます。

 一方で「活動のストレス=本来のストレス」だと思い、今まで嫌なことはたくさんあっても引きずることはありませんでした。

 新規隊員を選んだのは自分ですし、「分かってもらえないことの方が多いだろう」とそれなりの覚悟でベナンに来たつもりです。

 しかし、今回信頼してた人たちから「嘘つき」と言われ、配属先からは「学校に行くな」と言われ、「ここではもう頑張れない」と思ってしまいました。

チョコアイス

 【以下、時系列で詳細を記載】

・2024/5/29(水)
 2ヶ月前に活動していたクラスの様子を見に行く。先生はいたが授業はしておらず…。

 しかし、先生から「明日の午後教材を届けてほしい」とお願いされる。


・2024/5/30(木)
 教材を届けたが先生は不在。たまたま会った校長先生に「この先生はいつも来ていないから心配」だと伝える。

 ※校長も学校に来ないというレベルの地域なので、校長さえも教師の出欠席を把握していないのが現状です。

 校長が先生に電話→先生は5分後に学校に到着

 到着するなり、子どもたちの前で「なんで校長に言ったんだ!私は毎日働いている!」と叫び出す。

 ※私は2〜3週間活動していましたが、先生は毎日出勤せず、来たと思ったら「疲れた」と言って授業をしない日ばかりでした。その証拠動画もいくつかあります。



・2024/5/31(金)
 朝配属先に行くと、信頼していた事務のマダムから「嘘つき」と言われる。どうやら昨日の先生は「自分は病気なんだ」と言い張っており、周りのベナン人はそれを信じていて「なおが嘘をついている」と思い込んでいるらしい。

 さらにマダム曰く「配属先長が(私に対して)とても怒っている」とのこと。

 配属先長の部屋に行くと「10〜12時の算数の時間以外学校に行くな」と言われる(※時間割は全国統一)。理由を聞くと「なおは肌が白いから子どもたちは授業に集中できない」からとのこと。

 はい?あなたが私を要請したのに「肌が白いから学校に行くな」とは?ふざけるのもいい加減にしろと思いました。

 実際、私が行くことで子どもたちが授業に集中できていない状況はなく、これはただの口実で「私にこれ以上酷い現場を知られたくない」のでしょう。

 6/3~7日は卒業試験で1〜5年生は授業がないため「この一週間は家にいなさい」とまで言われてしまいました。


・2024/6/1(土)

 JICAから「月曜日から上京しないか?」という提案をされる。



・2024/6/3(月)

 JICA支所に行くために上京

 「『嘘つき』や『学校に行くな』と言われ、この配属先の元で頑張るのがただただ馬鹿馬鹿しい」「多くの税金で派遣されていることを考えても本当に悔しい」とありのままを伝えました。

 「任地変更をしたい」とも伝えましたが、「子どもたちは罪はないから頑張ってほしい」とのことでした。

 そのモチベーションが切れたので相談しに来たのですが…。

 「任地変更しても違うトラブルが出てくると思う」とも言われましたが、それを分かった上で打診しているのに…。

 さらには「他の隊員も苦労してるんだから、任地変更したら他の隊員にどう思われるかわからない」とまで言われました。

 他のベナン隊にも「任地変更した方がいいよ」と言われているし、ここまで来ると「何しに上京したんだろう」という気持ちにしかなりませんでした。

 一方で孤児院や家庭教師先の子どもたちのことを考えると、「ここに残るべきだ」いう気持ちもありました。



・2024/6/4(火)
 前日に続いて支所に足を運ぶ予定でしたが、全く眠れず、体が動かず、ご飯も食べられず、ひたすら涙が出ました。動悸も激しくて「これが続いたら鬱になるかも」と焦りました。

 親身に話を聞いてもらえるのはありがたいのですが、根本的な解決先が見えず、そのショックが体に来てしまったのだと思います。


・2024/6/5(水)
 所長との面談で「先週から教育省に配属された専門家と会ってみないか?」と提案されました。

 専門家はベナン人が選んだ学校=優秀な学校で活動するため、「専門家が把握し切れない情報をぜひ共有してほしい」とのことでした。

 国レベルでベナンの教育を変えようとしている専門家にベナンのありのままの情報を伝えるという「任地に残る意味」を見出せた気がしました。


・2024/6/6(木)
 専門家の方とランチ

 今までの経緯を話すと泣きながら聞いてくださいました。

「ここまで酷い配属先は聞いたことがない」

「自殺した隊員も知っているから、
 無理せず任地変更をしてほしい」

「JICAは大きなことがないと動かないから、
 私がJICAや配属先に掛け合ってあげる」

 と仰ってくださいました。

 本気で私のこの状況をどうにかしようとしてくださるのが伝わり、有り難くて涙が止まりませんでした。

 また、今月末の中間報告のプレゼンを見ていただくと、「やろうとしていることが似ているからぜひプロジェクトに参加してほしい」と言われました。全国レベルの活動ができるかもしれないなんて…こんな貴重な機会はありません。

 彼女のおかげでだいぶ元気になりました。

マンゴースムージー

 以上が今回の件の流れです。

 専門家の方とお会いしたことでメンタルが復活したとはいえ、マイナスが0になっただけで、またすぐ折れてしまいそうです。自分のメンタルがどこまで持つかが勝負ですが、正直既にいっぱいいっぱいです。

 また、私は隊員を派遣しているJICAが配属先に「学校に行かせてくれ」と頼むのはおかしいと思っています。

 ベナン人は空気を読んだり遠慮をする文化はないので、「ハッキリ伝えるべきだと思う」とJICAには伝えましたが断られました。

 一方で、配属先の思い通りにだけは絶対なりたくないので、何としてでも耐えようと思っています。

夢!???!?!?

 コロナ禍から応募者が減ったようで、JICAは「隊員の数を増やすこと」ばかりで要請内容は当てにならないケースが多いと訓練所の講座で聞いていました。その講座を開いてくださったスタッフは過去の要請内容をそのままコピーして使い回してる人たちをたくさん見てきたのだそう。

 実際、他の国の同期隊員からは「数を増やすことしかしてなくて困っている」話を直接聞いています。

 しかもベナンの教育隊員の要請内容は一語一句。本当に疑問です。

 私のような思いをする隊員が少しでも減るよう、JICAはもっと慎重に要請を作るシステムに切り替えて欲しいと願うばかりです。

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