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技能実習生は何のため?労働力確保のためではない


先日、こんなニュースを目にしました。


『農林水産大臣はJAグループの職員の協力を得るなどして足りなくなる労働力の確保に努める考えを示しました。』

このニュースを見て、怒りを禁じ得ないの方々は多いのではないでしょうか。

私は今年からご縁で技能実習生の介護の日本語研修を受け持つことになり、日頃から技能実習生に関わることになり、このニュースを見て、胸が痛くなったと同時に、怒りを禁じ得ませんでした。

「技能実習生」は労働力の確保のためではありません。

そもそも「技能実習制度」とは何でしょうか。


外国人技能制度とは?

外国人技能実習制度は、日本で開発された技術や知識などを開発途上国・地域へ移転し、経済発展を担う「人づくり」への協力を目的とする制度

この制度は1951年に施行された「出入国管理及び難民認定法(入管法)」を根拠に実施され、その後何度も改正を繰り返してきました。

2017年11月に技能実習法が施行され、これまで入管法令で定められていた多くの部分をこの技能実習法で規定し直しました。現在はこれに基づいて運営されています。

(参照:https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/ 公益財団法人 国際研修協力機構(JITCO)『外国人技能実習制度とは』)


外国人技能実習生とは?

外国人技能実習生とは外国人技能実習制度(研修制度)を利用している労働者の名称         出典:http://blog.overlink.co.jp/archives/150

この制度は、主に新興国の若者が労働を通して日本の高い技術を習得しその国の発展を担う人材を育成する事を目的として創設された制度です。


国籍別外国人技能実習生の割合


現在、中国、ベトナムが技能実習生の約半数を占めています。

ちょうど技能実習生についてnoteをまとめていたら、「スッキリ!」でも特集されていました。

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出典:日本テレビ「スッキリ!」


技能実習生は労働者ではない


技能実習法には、基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(法第3条第2項)とうたわれており、労働力の需給の調整手段として行われてはならないとはっきり記載されております。

参照:http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri05_00014.html

しかしながら、現実問題として日本の多くの企業では技能実習生が労働力として扱われているのが今の日本の現状です。


建前は「国際協力」、本音は「低コストな労働力の確保」

日本は「単純労働者は受け入れない」という方針を掲げていましたが、単純労働者の人手不足を受け、外国人の受け入れを検討せざるを得ない状況になりました。

昨年から外国人材受け入れ拡大法が施行され、それに伴い、さらに技能実習生も受け入れを初めている機関が増えているようです。

しかしながら、先日のNHKのニュースなどでもはっきりと国の本音が見えてたと思いました。

建前は「国際協力」、本音は「低コストな労働力の確保」

地方の農家などでは技能実習生を労働力としてかなり、あてにしているところが多いようです。


外国人技能実習生が来ない


新型コロナウイルス感染拡大の影響が外国人に関わるビジネスでは、かなりの影響が出ています。

技能実習生を「労働力」としてあてにしていた農家では、4月から大打撃だと言います。

労働力でないのに、労働力としての「技能実習生」。これが現状です。

外国人技能実習生受け入れ農家は、受け入れが始まってから、新たなビニールハウスを購入し、規模拡大したのに、外国人技能実習生が入国出来ない状況で、これから先どうしたらいいか、人手不足の状況はかなり深刻だということです。


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出典:日本テレビ「スッキリ!」


各方面も大打撃

農家だけでなく、技能実習生を扱っている団体に影響が出ています。私がお世話になっている技能実習生の受け入れ団体ではベトナムをからの受け入れをメインで扱っているそうで、かなり大打撃だそうです。

とうとう、メインのベトナムから出国できない状況になりました。それはどういうことを意味するかというと、日本に入国できず、技能実習生の研修センターに技能実習生が入所できないということです。

今いただいている技能実習生の介護の日本語研修は、こちらのセンター入所している技能実習生に対して教えています。

技能実習生の研修センターに技能実習生が入所できないということは、私の仕事もなくなるということです。

留学生がそういう状況なので、技能実習生も遅かれ早かれ、同じ状況は避けられないと危惧していましたが、先日、その技能実習生の研修センターの担当者から「4月からは技能実習生が入所できないためしばらく入国できない状況」だという連絡がありました。

4月からしばらく日本語研修ができないということになりました。


4月からどうなる?技能実習生?

世界中が鎖国状態になりつつあります。

技能実習生の研修センターに技能実習生が入所できないとなると、技能実習生を「労働力」としてあてにしている地方の農家などはどうするのでしょうか。

これを機に、もう一度「技能実習生」のあり方について政府が見直す必要があるのではないかと思います。

技能実習生は「労働者」ではないのですから…。