流行に興味がないのは社会的ハンデである

 以前、「コミュニティですごいヤツがいると萎える」という内容の記事を書きました。まだ読んでないという方は、そちらを先に一読していただけると経緯がわかりやすいと思います。

 これは、私が賃貸アパートで一人暮らしを初めて1年と数ヶ月が経った頃の話です。
 当時、既に収入に対して借金がそれなりに高額になっていたので、さすがにヤバいと思っていました。そこで、たまたま見つけた4ヶ月で月収30万が見込めるという商材に手を出したのです。もちろん分割払いで。

 その商材の内容はトレンドアフィリエイトでした。トレンドアフィリエイトというのは、世間で流行り(トレンド)の話題を記事にすることでアクセスを集め、ページに表示される広告による広告料で収益をあげるビジネスです。アクセスを集めやすい反面、一過性の話題を扱うのですぐにアクセスがなくなります。大事なのは、いかに多く素早く記事にするかです。

 このビジネスは他のビジネスと比べると特別なスキルや知識が必要ないので“しっかり取り組めば誰でも”稼ぐことが可能です。あえて必要なものを挙げるなら、「流行に対する“興味”」でしょうか。

"興味"の大切さ

 ところで、あなたは今まで「興味のあるものはなに?」と聞かれたことはあるでしょうか。ない人はいないでしょう。他人とのコミュニケーションにおいては定番な質問だと思います。“これだ”と言える方は合格です。「なにも興味がない」と答えた方は残念ながら落第です。「興味の有無は人それぞれだろ!」という意見が聞こえてきそうですが、ご尤もです。

 興味の対象というのは個性の範囲の話です。従って、他人の興味を馬鹿にする行為が人格否定に繋がりかねないほどデリケートな概念なのです。それと同時に、個々のパーソナリティの一部にもなる重要な要素でもあるのです。“興味”というのは、才能よりも、もっと尊ぶべきものであると考えています。興味というのは行動を起こさせる原動力になります。そして興味があるものは気に入りやすいものです。それはやがて好きになり、人生にすら影響を及ぼす要因になるのです。

 前置きはこれくらいにして、"興味がない"とはつまりどういうことか。それは、"興味がある人には絶対に勝てない"ということです。類稀な才能や、明晰な頭脳、卓越した技量があれば問題ないと思いますが、そんな能力は普通ありません。

 “ない人”は“ある人”よりも知識や技術の吸収が遅いです。
 興味がないと、なかなか学習に身が入りません。

 “ない人”は“ある人”よりも継続が難しいです。
 なにせ興味がないので、すぐに嫌になったり飽きたりしてきます。

 そして、“ない人”は“ある人”よりも向上心が低いです。
 興味がないのに、もっと上を狙いたいという欲求はそう生まれません。

 そうなると、"興味がない"という状態を個性で片づけてしまうのは甚だ考えものです。これは明確な弱みとなります。

私の最大の弱点

 トレンドアフィエイトは、今まで着手した中で最も実践していたと思います。流行の記事を書いてアクセスを集める前に、自分のウェブサイトに広告を貼るためにグーグルアドセンスの審査に通る必要があります。審査用の記事をいくつか用意し、合格して初めて挑戦できるのです。

 合格してしばらくして作業用のノートPCを買い、図書館にある作業机の利用許可カードも作り、WiMAXの契約も検討するくらいには真面目にやっていました。実際、3千円くらいの報酬は発生し、頑張ればもっと稼げそうではありました。ただ、続けられませんでした。

 理由は、ひとえに「興味がなかったから」です。そう、私は流行どころか事件や芸能、ひいては社会そのものに興味がありませんでした。生活が懸かっているならできると踏んでいましたが、大甘だったのです。私はそのとき確信しました。"興味のないことは、どのような状況であっても続けることはできない"と。できるとすれば、よほど屈強な精神を持っているか、無理やり縛り付けてくれる人がいるかでしょう。普通の人には自力では絶対に不可能です。

流行に興味がないことの重み

 正直大抵の物事は、興味がなくても困ることはあまりありません。しかし、こと流行に関しては、単に"興味がない"という以上に極めて甚大なビハインドとなります。

 一旦、トレンドアフィリエイトはどうやって稼ぐのか振り返ってみましょう。そう、流行の話題を記事にすることでアクセスを集めるのです。アクセスが集まるということは、それだけ多くの人が話題に関心を持っているということです。流行というのは、特定のカテゴリに縛られません。芸能、スポーツ、政治をはじめファッション、グルメ、グッズ、ドラマ、映画、アニメ、マンガ、ゲーム、イベントなど多岐にわたります。それだけ多くの要素を持った流行に対して”興味がない”ことは、社会を生き抜くのに決して軽くない足枷となるのです。そして最も重要なのが、この流行が多くのビジネスにおいては欠かせないポイントであることです。

 流行を把握するには、常に情報収集に気を配る必要があります。テレビや情報誌、ネットニュース、アプリ、SNS、人との交流などで能動的に情報に触れる機会を増やさなければいけません。これが自然にできるのが望ましく、私にはできませんでした。世情に興味がなかったからです。

 大概のビジネスには「リサーチ」という極めて重要な工程があります。「リサーチ」というのは、そのままの意味で「調べること」です。例えば物販なら、仕入れようとしている商品が本当に売れるのかを調べます。どんなライバルがいるのか、どんな客層をターゲットにするか、そもそも需要があるのかなど、情報との戦いです。普段から流行に目をかけている人は「リサーチ」という名の‘’情報収集”に臆することはなく、その時々の社会情勢や流行りで変化する売れ筋商品も察知しやすいでしょう。すると、流行への興味がないことにより情報収集の習慣がない人が厳しい戦いを強いられるのは必然です。成功するにはかなりの努力が必要なうえ、‘’流行に興味がない”というハンディキャップと一生向き合っていくことになります。

焦る必要はない

 「じゃあ興味を持てばいいじゃないか」と簡単に言う人はいますが、それはキーボードを初めて見た人に「ブラインドタッチをしてよ」と言うくらい無理難題です。先ほども述べましたが、なにに興味を持つかはあくまで個性の範囲です。性格ともいえます。根本的に興味の対象にないものを気に入ることは通常はあり得ません。

 私は、興味の対象は多いに越したことはないとは思っていても、無理に興味を持とうとする必要もないと考えています。それよりも、数少ない興味を大事にしようという結論に至ったからです。それでも、興味がないものにも目を向けたいというなら、一応の方法論はあります。その手の情報は検索すればゴロゴロ出てきます。例えば、"一日一回少しでも良いので毎日その情報に触れる"、"興味を持てそうな部分を探す"、などです。"流行"に当てはめるなら、毎日アプリやネットのトップニュースをチラ見はする、チラ見した時に興味を持てそうな話題を探す、といった感じです。初めは無理せず、小さなことから地道に慣れていきましょう。

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