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「タイムトラベル家族 1991年から愛を込めて」の感想(ネタバレあり)

Amazonプライム・ビデオオリジナル配信作品。

許せるいい加減さ

タイムスリップ描写から凄くいい加減過ぎて笑っちゃった。
娘と喧嘩別れして家族3人で足漕ぎボートで遊びだし(何故?)無意識で沖合に出ているシーンから(何故??)、急に雷が落ちてタイムスリップ(何故???)という冒頭の展開からめちゃくちゃでこれくらいのリアリティですよ!と宣言している感じなので、その後の全然ちゃんとする気がないタイムパラドックスの数々も流して観れた。

ただタイムスリップした後の娘が誰かに殺されたという展開が急に重くてビックリしたのだけど、そこから映画のトーンが異常に軽くなっていくのがまた不思議な味わい。
直後の父親の面白い飛び降り自殺シーンとかもそうなのだけど、映画のトーンが登場人物達の悲しむのを許してくれない様な印象がした。
戻る方法も見つからずどうするのか?という話になるのだけど、悲しんでもしょうがないので全てを受け入れ2022年で生きていく為に仕事を探したり、学校に通い出したりめちゃくちゃ前向きに生きる選択をしていくのが、こういう映画であんまり観た事ない話運びで逆に面白い。
特にその不謹慎面白描写がピークになるのが父親が電気を喰らい、息子が女の子とちゃらいキスをして、母親がマスターベーションしている様子を画面を分割して見せてくる場面で「自分はいったい何を見せられているんだろうか?」と混乱しながらも爆笑してしまった。
しかもここのシーン、全然本編と関係してこないのとかがもう逆に凄い。

という感じで全体的にはタイムスリップを使った上手い話運びとかは全くなく、合間合間に入るギャグ描写に笑っとくというのが正しい見方な気がする作品だと思う。
最早タイムスリップ描写とか抜きでこの家族が本当にただ旅行するコメディ映画でもかなり面白くなりそう。

キャラクターの魅力

とにかく出てくるキャラクターがみんな面白くて良かった。

父親であるペペは自分の子供の頭を怒る度ブッ叩いたり、娘への束縛とかも異常だし、ただでさえ90年代でも古い考えの男なのに2022年なんかに来たら完全に置いてけぼりで、いちいち目の前で起こる事にビックリしている感じが観ていて楽しい。

その息子のロドリゴも常にヘラヘラして愛嬌があって愉快。
大体エロい事しか考えていないのだけど、父親に頭ブッ叩かれても気にしていないし、その馬鹿さが可愛い。
未来で出会った女の子とあと少しで童貞を卒業できたのに帰る事になったのは可哀想なのだけど本人がそこまで気にしてなさそうなのが健気に見えてきた。

あと何と言っても母親のキャラの濃さが最高だった。
なんかよく分からないファッション事務所の女性たちと仲良くなっていくくだりとかおそらくずっと専業主婦として生きてたから働ける喜びに満ちていて良いし、とにかく家族もそうだし映画を面白く引っ張っていくのは彼女が大きい役割を担っている。

あと印象に残ったのは90年代の方では店番をやっていたエンリケは2022年にはもういい歳のおじさんなのだけど、若いロドリゴと一緒に居ると心だけボンクラ青年時代に戻ってうっかり若者のパーティとかに付いていってしまう感じとか見ていて楽しいし、何気に友情の在り方としてリアルな感じもして面白い。
ただ彼の最後の扱いとかはちょっと急に悪役になった感じで見ていて気分が悪かったかなぁ。

あと可哀想と言えばもちろん娘の彼氏で、ラストに未来が変わって良かったと思ってたら、やっぱり別の時間軸ではしっかり死んでるということが分かりずっこけた。

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