記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

ミートキュート 最高の日を何度でもの感想(ネタバレあり)

タイムループラブストーリー

タイムループの映画は自分ではコントロール出来ないタイムループから抜け出す事が目的になっていたり、抜け出せないので諦めて繰り返す時間の中で過ごすモラトリアム的な時間の過ごし方を楽しんだりする作品が多い印象がする。

この作品がちょっと違うと思うのは、主人公がタイムループを抜け出す事は全く目的に入っていないというか、そもそも自殺しようとしている位人生に絶望しているので、自分の命すらどうでも良いなげやりな状態である事だと思う。
タイムループ自体もタイムマシンを使っているため本人の意志一つでやめれるし、後半から実は好きな時間に飛ぶことが出来るのが分かったりするので、最早タイムループモノともいえない感じになってくる。

あとちょっと変わっているなぁと思ったのが、意識だけが過去に戻るパターンじゃなくて肉体ごとタイムスリップするパターンなのだけど、これに関しては意識だけパターンの方が良かったんじゃないかなぁという気もする。
自分を殺すシーンが毎回入るのは彼女の自分への嫌悪があるからだと思うのだけど、個人的にはそれがあんまり何にも活かされてない気がした。
せっかく自分が2人いるからこそ自分で自分を肯定して慰める様な場面があったら、より感動的だった気がした。

ラストの方はどんどん設定が壊れている気がして最後は彼女が戻ってきたのか何なのかよく分からないし、そこにギャリーのタイムループも合わさったりして、ラブストーリーとして良い場面なのに、結構ノイズになった。

でもラブストーリー描写は凄く良い。
2人がずっと話をしているのがメインの映画なので、何気ない話をしている様でその中に割と本人達的には切実なトラウマが見え隠れしたりする掛け合いがうまいと思う。
主演2人もチャーミングで、どっちも自分に自信がないからめっちゃ喋ってしまう感じが凄く説得力があった。

シーラ

映画はタイムループが始まって彼女の体感時間的には1週間位の段階で映画はスタートするのだけど、時間は止まっていて同じ毎日を繰り返しているのに彼女の体感時間が増すにつれて、自分からその胸の内を段々と明かす様になっていく作りになっている。

同じ夜を同じ場所で同じ人で、ほぼ同じパターンの行動で繰り返している訳で、好きな映画を何度も観ている様な感覚でその閉じ切ったループをこそ最初は楽しんでいるのだけど、タイムループを重ねる度に段々と彼女の本音が溢れ出てくる様な展開が面白かった。

タイムループ自体がメインではなく、人生に絶望して心の時間が止まってしまった彼女の心が前向きに向かっていく為にタイムループが機能してくる様な感じで、お話しのメインは彼女が前を向いて生きれるようになるのか?という部分だと思う。
だからこそラストの橋の真ん中で動けなかった彼女が渡り切る事を選ぶのは、とても映画的で感動的だった。

ギャリー

この映画でしか見たことないタイムループ要素として面白かったのが「タイムループによって何度も会った人」にもデジャブ的にこれまでシーラがした事を彼がボンヤリ感じ取れるという点。
都合が良くも感じるけど、これがないと今回の映画は成立してないので何気に重要な要素で、彼自身がだんだんノイローゼ気味になってくるのが面白い。

途中の彼のトラウマを取り除く為に過去に戻って、自信をつけさせたりする展開はかなり笑った。
シーラがギャグか分からないけど彼の為に何人か殺したのはジョークなのかなんなのか分からないけど本当だったらマジでヤバい。

演じたピート・デイヴィッドソンは同じAmazonプライム・ビデオオリジナルの「恋人を取り戻すには」や「ザ・スーサイドスクワッド」など、何となく軽薄な役柄が似合う印象だったけど、こういう善良な役も凄く良かった。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?