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「聖闘士星矢 The Beginning」の感想(ネタバレあり)

聖闘士星矢の原作未読、アニメも未見の全く知らない状態で鑑賞した。

そもそもギリシャ神話要素をベースの話らしいので、主人公の新田真剣佑であること以外は日本の漫画が原作ですよ!みたいな日本要素アピールが無くて、普通にハリウッドのB級アクション映画っぽい雰囲気になっているのは好ましいバランスだと思った。

アクションシーンが全体的に良かった。
冒頭の地下格闘技的な殴り合いで華麗に攻撃をよける真剣佑の生身のアクションセンスは「るろうに剣心最終章The Final」等から引き続き素晴らしくてしっかり見応えがあった。
普通に演技面でも本人の持つ純真さみたいな部分が、今作の主人公として説得力があったし、終盤のかつての自分に手を差し出し「自分で自分を許す」シーンから戦士として目覚めていく場面が凄く良かったと思う。

その他の役者陣もみんな結構良かったと思う。

ジュマンジのジャック・ブラックになったギャルでお馴染みのマディソン・アイズマンもちゃんと女神感あったし、その世界を破滅させる力を持つ女性の母親として敵対するのがX-MENのジーン・グレイ役のファムケ・ヤンセンというのが気が利いた配役だと思うし、だからこそラストにギリギリで彼女が傷つけない選択をするのがより味わい深かった。
ショーン・ブラックも相変わらずちょうど良いタイミングで死んでいた(雑)。

あと最近だとジョンウィックなどでお馴染みのマーク・ダカスコスもかなり良かったと思う。
主に銃器で敵を倒すのだけど、銃を撃つ時のキビキビした動きもキレがあるし、警棒みたいな武器で闘うシーンもめちゃくちゃカッコ良くて、やはりアクション俳優としての華があった。

ただ原作通りなのかは分からないけど、お話しはかなり雑な印象。
基本的にファムケ・ヤンセン演じる母と、ショーン・ビーン演じる父と、娘の親子喧嘩がメインなのだけど、それぞれが凄く回りくどいやり方をしていて、映画としての見せ場ありきで映画が作られている様なやりとりが多い気がした。

修行シーン等もめちゃくちゃ記号的で、今何が出来なくて、何を出来る為に、何をしているのか?が、よく分からない感じで、正直あんまり燃えない。
「イップマン」とかカンフー映画的でお馴染みの何かの型を繰り返してる場面のテンポとかも、微妙に早くて個人的にダサいと思う。
もうちょっとキビキビ止まる方が個人的には好みだった。

修行から帰ってショーン・ビーンが裏切ったと思って、外出禁止のはずのシエナがめっちゃ人が居そうな町の港まで連れ出して2人で話しだすシーンの所がお話し的な必然性がなくて、かなり不自然で観ながら「何故?」が止まらない感じだし、案の定敵が攻めてきたのに逃げずに戻る意味とかもよく分からなくて、なんだか観ながらモヤモヤ。

あと最初の方にごはんを真剣佑が無作法に食べるシーンで、シエナが「マナー無いわー」って見てるんだけど、めちゃくちゃパンの耳を必死に取ってるのが、ワイルドさ皆無でダサくて笑った。

とはいえ、これだけお金を掛けたハリウッド体制で日本原作の作品を若い日本人俳優が主演で作られるという事が稀な事だとも思うので、もっと日本的には盛り上げるべきなのに、あんまり話題になっていないのは寂しい。
冷笑気味になるのも分かる気がするけど、製作体制とかはかなりチャレンジングな作品だし、その点ももっと評価されるべきだとは思う。

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