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「サンクスギビング」の感想(ネタバレあり)

「グラインドハウス」内に収録されたイーライ・ロス監督によるフェイク予告編を改めて長編映画として製作するという流れで出来た映画なのだけど、「グラインドハウス」を未見なのでもしかしたらニヤリとする小ネタとかがあったかもしれないがそこは抜きにして、単純に大好きなイーライ・ロス監督の新作映画という事のみで楽しんできた。

感謝祭で浮かれる町での惨劇から始まるのだけど、田舎のデカいショッピングセンターでのワッフルメーカープレゼントに集まり過ぎた暴徒によって起こるというのがマジでしょうもないし、ここまでの惨劇じゃないにしても日本でも祝祭感に釣られて人が集まり過ぎてえらい事になるというのは全然あるので、絶妙なリアリティがあるのが何ともイーライ・ロス監督らしい意地悪な目線だと思う。

それをきっかけにして数年後にその事件の関係者が殺されていくのだけど、殺され方がいちいちブラックユーモアで笑える作りになっているのが、これまたイーライ・ロス監督らしい。
めちゃくちゃ惨たらしい殺され方なのに最後に猫に餌あげたり、痛そうだけど最高にくだらないトランポリンでのブッ刺し等、怖さより笑いが勝つバランス。
それと何と言ってもこの映画の中で一番嫌な殺され方の生きたままオーブンで焼かれるシーンが最悪で最高。
焼かれる主人公の義母はその前まで嫌な女として描かれていたけど、彼女目線の緊迫感のある逃亡シーンを入れる事で、記号的なただの「嫌な女」ではなく、少し人間的な印象をこちらにも残すからこそ、逃亡に失敗し絶望の中焼かれる彼女に同情もしてしまうバランスになっているのがなんとも気の毒。
それでも温度計が焼き加減を知らせる「プス」って音で笑ってしまうのが意地悪。
その後テーブルに盛り付けられて再登場するのも酷いし(あのポーズがまた下品だ、、、)切り分けて旦那の前に置かれるのも最高に悪趣味だった。

そんな感じで残酷悪趣味描写は相変わらずイーライ・ロスクオリティで最低に最高なのだけど、ストーリーはかなりいい加減だなぁという印象。
犯人とかはまあ予想通りで意外性は無いし、その辺はやりたい悪趣味描写優先で深く考えなくて良いのが好ましいバランスでもある。

犯人側の動機も「お前はお前で最低だな、、、」というバランスなのも良かった。
だったらそこまで狂った悪趣味な殺し方してんの過剰という感じだし、ラストは普通に主人公を応援して、やったれ!というカタルシスがあった。

物語的に少し気になったのは主人公が最終的に選ぶ男がそいつなの?という感じで引っかかった。
ただ単に少し性格の悪い男だし、あの元彼と復縁という終わり方で良い気もするのだけど、絶妙に後味の悪い終わり方だった。

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