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「ジョン・ウィック:コンセクエンス」の感想(ネタバレあり)

ジョン・ウィックシリーズ、最新作。
2、3作目の様に映画の終わりが明らかに「次作に続きますよ」という終わり方だったのに対し、今作は1作目から戦い続けてきた彼の物語が一旦終わりを迎えている印象。

これまでの作品の印象としては、ジョン・ウィックは確かにめちゃくちゃ強いのだけど、殺し屋をやめてからのブランクを取り戻そうと必死に藻掻いている様な余裕のなさを前面に押し出したようなアクションが何とも泥臭くて唯一無二の味を出している映画シリーズだと思う。
あと装填の間のリアルさや、毎回毎回いろんな種類が出てきて楽しい銃を使ったアクションのこだわりも本当に楽しい。

とりあえず今回はジョン・ウィックを助けると巻き添えでみんな殺されるというルールがあるので、ジョン・ウィックが移動する度に酷い目に遭う仲間たちが気の毒。
特に前半の真田広之の役がかなり印象深くて真田広之ファン的には仁義を通す自己犠牲でちゃんとカッコ良い見せ場がある役で良かった。もうアベンジャーズエンドゲームの時の様な気持ちになるのは辛い。

しかしジョンは何の助けが必要で大阪にいたのかよく分からないので、娘さんの「なんで来たんだよ、疫病神、、、」と言う意見も最もだなぁとは思う。

あとキャスト的には今回一番輝いていたのは何と言っても座頭市スタイルのドニー・イェンだと思う。
やっぱり姿勢の美しさや動きの速さ等、アクションスターとしての華が圧倒的だったと思う。
最初のダラダラとうどん(?)をすすった後のアクションへのメリハリとか見ながら胸が躍った。
今作では世界中の色んな場所でご飯やお酒を飲んで楽しんだ後人を殺して消えていく感じ。怖い。

悪人じゃないし娘の為という理由はあるけど、自分と違う仁義を通した男を殺してしまった落とし前をどうつけるのか気になっていたのだけど、生死は不明だがエンドロールに彼への罰が下り終わる切れ味は良かったと思う。

アジア人的には嬉しい真田広之VSドニー・イェンという夢の対戦カードも本当に熱かった。真田広之は本来なら三作目に出演予定だったが、トレーニング中のケガの為、今作への出演に変わったらしいのだけど、この対戦が観れたし本当にこっちで良かったと思う。

全体のアクション的な見せ場は流石で、面白殺しアイデアの数々に笑った。

アメリカ人から見た日本の殺し屋が使いそうな武器で大乱闘する大阪のシーンから楽しい。
ジョン・ウィックでもヌンチャクは扱いが難しいらしく、人を殺すのには向かないというのが分かった。
あとジョンや主席連合から送られてきた殺し屋達がスーツの上着で銃撃を防御してる画がめちゃくちゃ馬鹿馬鹿しくて笑った。

あと中盤のスコット・アドキンスを殺す為に殺し屋達が集まり、ポーカーしだすくだりもよく分からないけど愉快。
こないだのバットマンのペンギンっぽい雰囲気のスコット・アドキンスもあの身体で動けるのか心配だったけど思いの外強くて、ここぞという所で美しい蹴りも見せてくれたので満足。
歯抜かれる時の死に顔も面白い。

終盤のパリに入ってからもアクションのテンションが上がり続ける。
そのまますんなり決闘に行くのかと思いきや、決闘場所に辿り着かせない為に、殺し屋達が全員狙ってくるお馴染みの展開。

凱旋門の大量の車が走る中のアクションもどうやって撮ってるのか考えて観てたけど、本当に事故映像みたいな驚きがあった。
敵も車にぶっ飛ばされるけど、キアヌ・リーヴスも何回も車にぶっ飛ばされ続けていて見ながら心配になる。
市街地での俯瞰映像での火を吹く銃での銃撃戦とかも新しくて面白い。

そしてパリ戦ラストの大階段転がりの身体の張り具合も狂ってて最高。
こういう生身のアクションにこだわる感じはトム・クルーズとかとも通じる感じなのだけど、キアヌ・リーブスはより痛み伴う感じがジャッキー・チェンの映画観てるみたいだった。
ただこの階段を転げ落ちるシークエンスは何度幸せに手を伸ばそうとしても地獄に引きずり降ろされる彼の人生そのものを象徴している様にも感じたので、そこで手を差し出すのが同じく殺しの世界から足を洗ったはずなのに引き戻されてしまったドニー・イェンというのが、同じ痛みを知っているからこその男の友情が熱いし、アクションも素晴らしくて思わずよく分からない涙が出てきた。

本当にここまで身体を張って面白いものを見せてくれたキアヌ・リーヴスに対して感謝しかない。

そしてこちらもシリーズお馴染みの犬を殺そうとした奴は一番の悪なので小便を引っかけられ、死に様も相応の報いを受けなければならないのが最高だった。ジョン・ウィック世界の倫理観を感じる。
付かず離れずでジョンを追いかける犬使いのトラッカーのキャラも良くて、最後に「お金より大切なモノ、それは犬」というジョン・ウィック映画らしい着地を見せるのも独特の味わいの感動だった。

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