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「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト」の感想(ネタバレあり)

「僕のヒーローアカデミア」アニメの劇場版第4作。
今作の公開翌週にいよいよ原作では最終回を迎え、物語をずっと追いかけていた身としてはお祭り的にめちゃくちゃ高揚感のある状態で初日に鑑賞してきた。

これまでに無いくらい最初から最後までクオリティの高いアクションシーンが満載で、アニメーションとして見てるだけで楽しい。

前作「ワールドヒーローズミッション」ではデクが「黒鞭」を使い始めの時期だった事もあり「スパイダーマン」的なアクション要素が楽しかったけど、今回は「浮遊」の能力やパワーも完成形に近い事もあり、もうまともに戦えばほとんど敵なしの「スーパーマン」的な存在感になっていると思う。
冒頭のヴィランとの闘いは、彼の今の強さを気持ちの良いアクションで示していた。

そしてラストのダークマイトとのバトルでの主要戦力3人による共闘シーンは、バトルシーンの熱量が最高潮の鬼クオリティで、観ていてめちゃくちゃ楽しかった。

今回の映画オリジナルキャラクターであるジュリオも良い存在感で、眼帯、メカの義手、AKIRA的なデカバイクに乗って、声が宮野真守の執事、という色々と人気が出そうな要素がモリモリで、デクとバディ化していく展開が楽しい。
アンナの力によって個性を強化したマフィアを相手に、無個性状態でほぼサイボーグした身体でアサシン的にアンナを殺そうと奔走していくのが見ていて切ないが、「あなたが助けを求めている気がしたから」という理由でデクが協力していくのがグッとくる。

気になった所

しかし今回の物語の時系列的にスターアンドストライプvs死柄木戦の直後という事らしいのだけど、最終決戦直前の闘いとしては規模が大き過ぎて、原作で、この話題が出てこないという事に無理を感じる気もした。
これまでの劇場版3作は、世界がある程度平和な状態だったから協力な敵が出てきても違和感が無かったけど、原作のラスボスである死柄木と緊張状態で、スター戦からの身体を休めている時期とはいえ、こんな規模の闘いがあった後、ヒーロー達が戦力的に弱っている状況で、ヴィラン連合側が何もアクションを起こして来ないのは違和感しかない。
要は原作を楽しむ上で整合性が取れていないので、これまでの劇場版と比べるとノイズになる要素がかなり多くなってしまうのは、少し気になった。

あと劇場版第一作はオールマイトとデクの師弟アクション、第二作はデクと爆豪にフォーカスしたもう一つの最終回、前回第三作は僕らと同じ様なヒーローではない人を主役に据えた物語、という風に、これまでは原作者である堀越先生が原作で描けなかった物語を原作と同一世界線として劇場版で描くことで映画単体でも楽しいけど、ある意味で原作を補完するようにこれまでヒロアカを追いかけてきた人が、より愛せる様な作品になっていたと思う。

それに対して今作は正直これまでの劇場版にあったオリジナルな売りの部分があんまり感じる事が出来なかった。
爆豪、轟、デクの人気キャラクタートップ3の共闘で、オールマイトと同様のパワーを持った敵を越えていくというのが見せ場な気がするのだけど、これまでの劇場版に比べると弱いと思う。
オールマイトからの世代交代の話題というのも、もう原作でしっかり語られているし新鮮味が無い。

今回のヴィランであるダークマイトだけど、これまでの劇場版のキャラクターの中で一番浅はかな印象で、正直「何がしたかったの?」という気がしてならない。
「オールマイトに変わり自分が象徴になる」という目的の為にオールマイトを倒す為に雄英に攻めてくるのは分かるのだけど、その後死柄木と闘う事になる事とか理解しているのだろうか?という気がした。
原作的にまだ死柄木が表立ってない時期なら分かるのだけど、ここで世界の覇権を取っても、守るものも無い死柄木率いるヴィラン連合に勝てる感じが全くしなくて、この辺もやはり原作との整合性に無理を感じる。

そんな感じで観ていてアニメーションとしては終始楽しいのだけど、お話し的には原作との相性という意味では過去一ノイズが多い作品になってしまっていたと思う。

ヒロアカ劇場版これが最期になる可能性が高いとは思うけど、もしかしたら原作最終回後の後日談とかで劇場版が作られる可能性も0では無いと思うので、次回作があればもっと原作リスペクトな内容で観たいと個人的には思う。

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