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「ファイアーエムブレム エンゲージ」は良くも悪くもファイアーエムブレムシリーズの正統後継作だ。

『ファイアーエムブレム エンゲージ』長文クリアレビュー(※ネタバレあり)

はじめに

こう見出しを付けるとまるで前作の『風花雪月』が正統ではないと言っているように聞こえるかもしれないが、実際に『風花雪月』はFEシリーズとしては異色の要素が多い作品だった。
例えば「黒魔法/白魔法」といったネーミングで魔道書や杖を使わないシステムであったり、「三すくみ」が無い事や「戦技」や「装備品」「射程4以上の攻撃」の存在などが挙げられ、更には使用可能武器と兵種が完全に分離されるなど過去作からの伝統的な要素を重んじているとは言い難いところがある。

それもそのはず、これらの異色と言える要素は前前作『ファイアーエムブレム Echoes』のバトルシステムを踏襲していたからだ。
『Echoes』はファイアーエムブレムシリーズ第2作目『外伝』のリメイク作品であり、その『外伝』は第1作『暗黒竜と光の剣』と大きくバランスを変えて『ドラゴンクエスト』のようなアドベンチャーRPGの要素を取り入れた挑戦的作品だった。

しかしその後の第3作『紋章の謎』以降は『暗黒竜』をベースにしたバトルシステムに戻され、『外伝』で採用された多くの要素は25年後に『Echoes』としてリメイクされるまで日の目を見ることは無かった。『風花雪月』におけるシリーズとしては異色のバトルシステムにはそういった経緯がある。
その良し悪しの評価は別にして、世界観やストーリーは文句無しの「ファイアーエムブレム」だったが、バトルシステムは「ファイアーエムブレム」では無い。これが『風花雪月』を最初にプレイしたときのわたしの印象だった。


閑話休題、『エンゲージ』のバトルシステムは過去作『if』を彷彿とさせ、まさに『if』の後継作と言える仕上がりだ。シリーズファンにはお馴染みの「三すくみ」システムは復活し、『覚醒』のデュアルアタック/デュアルガード、『if』の攻陣/防陣の系譜に連なるチェインアタックとチェインガードも登場した。敵AIも少なくとも難易度ルナティックにおいては暗夜王国編を彷彿とさせる、ダメージを与えられない場合無視する、チェインや妨害杖を活用し積極的に攻めてくる、多くのユニットが守備封じや鬼神の一撃のようなプレイヤー側の正常なプレイでは取得出来ない悪質なスキルを持っているなど賢いものに戻った。

しかし『if』は古参ファンから所謂「キャラゲー」と化したファイアーエムブレムの極致として槍玉に挙げられる作品だった。「キャラゲー」である事とクオリティが低いかどうかの話は本来別軸で語るべき事だが、『if』では各キャラクターの性格や台詞が個性的すぎてとても戦争をしている軍の人間とは思えず、世界観の設定やストーリーの描写もおざなりだったのだ。そして残念ながら『エンゲージ』もその悪い部分を引き継いでいると言わざるを得ない。今回はその辺りも含めた『ファイアーエムブレム エンゲージ』のレビューを書く。

尚、筆者たるわたしは『聖戦の系譜』以降FEシリーズのほとんどの作品はプレイ済みであり、今作においては難易度ルナティック、クラシックモード、DLCコンテンツを利用しないというプレイでの感想となる。公式の開発者インタビューによれば本作は「間口を広げる」作品として作ったとの事だが、広がった間口から入ってきた初心者プレイヤーではなく、ある程度ゲームに慣れた長い付き合いのあるファンという目線からである事をご理解いただきたい。


良かったところ

より深化し、わかりやすくなったバトルシステム

本作のバトルシステムやバランスはシリーズ史上最高の出来と言っても過言ではない。
前作『風花雪月』では強力な兵種スキルの取得が容易であり、戦技・計略も存在することから難易度設定を運と物量に任せる大味な調整が目立ったが、今作ではシミュレーションゲームとしてよりテクニックを要求されるゲームバランスとなっている。

例えば新要素「ブレイク」は自ターンに3すくみ上有利な武器で攻撃した場合に次の戦闘まで反撃を封じる事が出来るシステムだが、これによって3すくみを活用することの重要性が増した上に、敵側も優先的にブレイクを狙ってくるために考えなしに強いユニットを突っ込ませて反撃で殲滅する「地雷戦法」が完全に成立しなくなった。

そしてヒーラー役であるモンクは今作より武器種「体術」に対応。体術は弓・魔法・暗器をブレイクできる唯一の武器種であり、特に暗器は技速さの高いシーフのデバフ付きの手痛い反撃を押さえられるという点でブレイクする効果が大きい。
モンクはそれに加えて隣接する味方の被ダメージを大幅に減らすチェインガード、ダメージを負った味方の回復、後述する妨害杖の使用とできる事がかなり多く、ただ味方を回復するだけに留まらず前線で戦うキャラと同じように誰に何をするべきかよく考えて動かす事が必要になった。

杖については毎度お馴染みの回復杖に加え、任意の1マスに通行不可能のオブジェクトを設置する「アイスロックの杖」1ターンに限り対象の移動を不可能にする「フリーズの杖」対象をブレイク状態にする「コラプスの杖」などが登場。
配下の兵と共に攻めてくるボスに対処するためにはこれらを的確に使用する事が必要不可欠で、シリーズ屈指の高難易度作品『トラキア776』を彷彿とさせるような妨害杖を重要視するゲームバランスは、高い自由度の中で試行錯誤し、戦略で勝つ面白さをより感じられた。

異形竜にコラプスを当てると反撃を封じられる

一方で後継元の『if』ではシミュレーションゲームとして硬派過ぎるがあまり、6種類の武器による難解な3すくみや使いづらい攻陣/防陣、多すぎてわかりにくいデバフ効果・攻速と追撃の計算など不便な点も多かったが、本作においてはチェインアタックや毒などわかりやすく・使いやすく、かつバランスよく改善されている。
(ただし、わかりやすさを重視しすぎるあまり武器の素の重量など一部のパラメーターを確認するための操作量が増えている。ここは不満な点だ)

そして本作の目玉要素でありタイトルにもなっている「エンゲージ」はまるで変身ヒーローのようなシステムだ。エンゲージ中はわかりやすくキャラ性能が強化されエフェクトも派手になり爽快感があるものの、効果時間は3〜4ターンに限られその間敵を倒しても変身ゲージを回収出来ない事から、安易に「エンゲージだけで無双して勝つ」と言ったプレイングができないように作られている。

しかし多くのマップでエンゲージ技である「ワープライナ」や「流星群」を使わないと盗賊の排除や友軍の救出が間に合わなかったり、エンゲージ技を使って1ターンでボスを倒しきらないと味方が倒されるといった場面があり、攻略にはエンゲージ・エンゲージ技を使うタイミング、さらにはゲージの回復を考えて敵を倒すことがカギとなるようにデザインされているように見受けられた。
つまり、エンゲージは強力でプレイヤー側に有利な要素だが決して安易な「お助け要素」とはしていないのだ。

このように、本作はキャラの見た目や戦闘モーション、UIなどのカジュアルさと、頭を使ってユニットを動かし戦局を変えるやりごたえを高次元で両立しており、バトルパート部分だけで言えばシリーズ全体を通してみても高く評価できるポイントと言える。


バラエティ豊かなマップギミック

非常に精細なバランス調整がされた本作だが、更にそれを活かした個性的なマップギミックが数多く登場した。
従来の離脱マップや索敵マップだけに留まらず、紋章士の指輪のスキルを使って仕掛けを攻略したり、或いは敵が紋章士の指輪のスキルを使ってきたり、大砲で敵の流れをコントロールしたりなど、各章では攻略するためにマップごとの特有の要素を考える必要がある
この手のシミュレーションゲームでは、「勝ち確ムーブ」のような安定的に勝てる戦術を見つけてしまうと途端に攻略が単調になるきらいがある。しかし上述の通りマップごとに用意されたギミックがあるためにマンネリ化しにくく、加えて難易度調整もかなり丁寧にされている事から最後の最後まで「手強いシミュレーション」を楽しむことができる。

個人的に印象に残っているのは17章だ。この章は自軍も紋章士の指輪の数が限られる中、敵も紋章士の指輪を6つ用意しておりまさに総力戦と言った様相。ワープライナを使ってくるグリも脅威だが、セピアが反則じみた移動力に「助走」で攻撃力を上げ、「オーバードライブ」で文字通り3枚抜きされた時は思わず声を上げてしまった。
敵側が使う「オーバードライブ」はこちら側のキャラが隣接してまとまっているところを優先して狙い、二人以上隣接していない場合や貫通先のスペースがない場合は通常攻撃で仕掛けてくる。こういった仕様を発見し、対応するまでの過程がとても楽しい。
過去作でも「神器」や「英雄の遺産」といったその世界の伝説の武器を敵サイドが使ってくることはあったが、あくまで「攻撃力が高い強力な装備品」の範疇に収まっていた。しかし今作では、それぞれの指輪に付与されている特徴的なエンゲージ技を使用してくることから視覚的にも指輪の強さが強調され、苦戦しながらもその対処を考えるのは気分も盛り上がり物語への没入感が増した。

また、本作の外伝マップは紋章士に因んだ過去作のマップを再現したものが登場する。紋章士ベレトの外伝では紋章石の破壊を阻止しなくてはならなかったり、紋章士リーフの外伝ではアーチや妨害杖を掻い潜る必要があったりなど、ある程度原作を象徴するような仕掛けが作られていたのも楽しめた。

紋章士リーフの外伝。開発者のお遊びとして、元になったマップ「22章 渡河作戦」のボス、コーエンを模したジェネラルが置かれている。指揮合計☆19のトラウマが蘇る。



悪かったところ

展開・キャラクターの既視感

本作のテキストやキャラクターのクオリティはかなり悪いと感じた。特に序盤は突拍子も無い展開が続く上に台詞はおちゃらけていて不快感が勝る。

苦笑

作風の良し悪しは好みもあるのでともかくとして、本作の良くないと思った点は既視感が強い展開が非常に多い事だ。
過去作をプレイした事がある人なら理解出来ると思うが、例えば一番最初にチュートリアルとしてラストバトルのシーンが使われるのは『覚醒』と同じで、序盤によくわからないまま母親が主人公を庇って死に、導入が無いから感動出来ないのに感動シーンのように演出されているのも『if』で見た光景だ。
登場キャラクターも『覚醒』のインバースとそっくりのセピア、明らかに『if』のカミラを意識しているアイビー、ルフレと共通点が多いヴェイルにカムイと共通点が多いリュールなど既視感が強いキャラクターが多い。王族に部下2人という組み合わせも『if』の暗夜/白夜のきょうだい達と同じである。

もちろん、『覚醒・if・エンゲージ』の3作に限らずシリーズ恒例枠のキャラクターは存在するし、セルフオマージュという見方もできなくはない。
しかしその頻度があまりに多く先が読めてしまって退屈した上、そもそも『エンゲージ』という作品の持つオリジナリティが中盤まで見えてこないために前半は中身の無い焼き増しの物語に感じてしまった。

そしてキャラクターについてもう一つ悪いところを挙げると、リアリティに欠ける二面性を持つ性格の人物が多数登場していることが気になった。
例えばスタルークは、「僕が守ります!」と言いながら敵に弓を引くにも関わらず、倒したら全力でお辞儀をして謝るなど客観的に見て記憶の連続性が怪しい。そんな彼がストーリーの中で発言しても、彼がそもそも正常に会話が出来る人間として描かれている事に違和感があり冷めた目で見ることしか出来なかった。

わたし個人としては「キャラゲー」そのものを否定はしないが、あまりに無理矢理なキャラ付けは整合性や背景を考えずに「意外性ウケ」だけを狙って記号的にキャラ付けをしているように感じられ、かえってキャラクターへの愛着を阻害しているように思えた。


多様な遊び方を受け入れられていない

一部のSNS上のレビューでは、遭遇戦の難易度が高く出現頻度も少ないのでレベルを上げられない、SPや資金の要求量が多い割に入手量が限られている、中盤以降加入するキャラがステータスもSPも優秀で序盤に加入するキャラが弱いと言った不評が見られたが、個人的には過去作と同じようにリソース管理能力を求められるゲーム性、好きなキャラを使って難易度を上げるか強いキャラを使って難易度を下げるかの縛りプレイ的な選択と捉えていてあまり気にならなかった。


とは言え、このような意見が多く見られるということは古くからのコアなファンや開発者とカジュアルなプレイヤーの中に意識差があるのは明白で、遭遇戦システムを継続的に採用するようになった『覚醒』以降の作品で「縛りプレイ文化があるから」と難易度調整をプレイヤーに委ねていたツケが回ってきているような印象を受けた。

本作は隅々まで「戦略を練って手強いシミュレーションを突破するやりごたえ」と「キャラの見た目や爽快感、UIなどの取っ付きやすさ」を両立するバランス調整が行き届いているものの、そのバランスの完璧さに拘るあまりか、例として「好きなキャラをとにかく強くして無双してクリアしたい」といった多様なプレイのユーザーに配慮が行き届いてない、或いはその場合に難易度設定を変えるなど遊び方を提示できていないように思う。

この問題は過去作『if』では遭遇戦で育成も容易、敵AIも易しい「白夜王国」と、遭遇戦が無く敵AIも賢い「暗夜王国」の2バージョンを用意することでプレイスタイルの多様性の受け皿を広く持ち、解決する事ができていた。
そもそも『新・紋章の謎』以前のファイアーエムブレムシリーズでは一部例外を除いて遭遇戦が無く、誰に経験値を回すか、お金をどう使うかを考えながら計画的にプレイしないとエンディングに辿り着く事ができないように作られていた。公式としても難易度が比較的高いと喧伝していた『if 暗夜王国』はそんな時代に慣れ親しんだプレイヤーのための作品だ。

一方の『白夜王国』は数年ぶりの完全新作で人気が爆発した『覚醒』でシリーズを知った人に親しみやすいように、遭遇戦などの育成環境の充実、易しい敵AI、マップの作り込みなどかなり『覚醒』を意識して作られている作品だった。
『覚醒』はとにかくレベル上げがしやすいバランスで、ちゃんと育成をすれば難易度が下がる事などもSRPGとしての敷居を下げ、人気爆発の一端を担っていた。そういった背景から『覚醒』でファイアーエムブレムを知ったプレイヤーの定着を図るため、更なる新規プレイヤーの獲得のためにこのような作風になったのだと思われる。当時のファミ通のインプレッション記事でもこう書かれている。

『白夜王国』では、前作『覚醒』のように“遭遇戦”がプレイできます。遭遇戦によって好きなだけ経験値が稼げるので、自分の納得のいくまでユニットの育成が楽しめるんです。対する『暗夜王国』では、遭遇戦が一切ありません。ゲーム終了時までに挑戦できる章の数が決まっているため、どのユニットを育てるかや、どのタイミングでどれだけお金を使うかというマネジメントが重要になってくるのです。
すれちがい通信などでの“防衛戦”や“侵攻戦”はありますが、これらも『暗夜王国』でのプレイ中は経験値が入らないという徹底ぶり! シリーズ作をプレイした人は、『白夜王国』は『覚醒』で、『暗夜王国』は『暗黒竜と光の剣』のようなゲームの流れだと思っていただければわかりやすいかも?(あくまでイメージですが)
『ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国』プレイインプレッション 白夜にする? 暗夜にする? 結婚相手は誰にする!?(1/2)
https://www.famitsu.com/news/201506/25081600.html

本作はその2作の流れを汲んだ上で作られている作品だが、リソース管理を要求するのはどちらかというと「暗夜」的なゲーム性で、これを「白夜」的なファイアーエムブレムに慣れ親しんだプレイヤーに対してさりげなく要求するのは配慮が足りないのではないだろうか。せめて低難易度では育成環境が整っているなどの調整、或いはリソース管理を要求されることを示すテキストや、自ら難易度を調整して高難度に挑戦したくなるような導入などがあったらと思う。

個人的に言えば「手強いシミュレーション」が好きなので、むしろ遭遇戦をやらなくても最後まで適度に高い難易度が続くことに感動しているぐらいで、同じように頭を使って唸りながら緊張感のある難関マップをクリアする楽しみを多くの人に知ってもらいたいと思っている。
しかし『覚醒』の発売から10年以上が経過し、遭遇戦・カジュアルモード・巻き戻し機能などの搭載で遊びやすく改善した結果多くの新規ファンが根付き、人気は隆盛を極める今現在、昔ながらの「リソース管理や計画性も必要な手強いシミュレーションこそがファイアーエムブレムの面白さだ」という主張は受け入れられにくいのではないかと思う。本作が「間口を広げる」作品として作られているなら尚更の事だ。

(ちなみに、『風花雪月』は育成環境が充実しているためどちらかというと「白夜」寄りのバランスであると言える。やはり育成環境の充実は「キャラゲー」路線の昨今のFE作品と相性が良く、また一般的なコマンド式RPGでは勝てないならレベルを上げるというのは常識で、SRPGにあまり慣れてないプレイヤーにも親しみやすいだろう。そういった背景も『風花雪月』の人気の理由の一つかもしれない。)


『風花雪月』の功罪

先の項目でも書いた通り、わたしは本作の特に序盤のシナリオやキャラクターに対してあまり良い印象を持てなかった。これについては各レビューサイトやSNSでも言われており、Twitter上では「風花雪月」や「覚醒if」がトレンド入りし、両作品と本作を比較し批判するツイートが多く見られた。

しかし、思い返すとファイアーエムブレムとは昔からこのようなテイストだったのではないだろうか。
例えば所謂ウェイ系の聖職者というパンドロのような個性的すぎるキャラクターにしても『封印の剣』には行く先々で女性を口説くサウルという神父が居たし、『烈火の剣』には仲間に奇抜な名前をつけるウィルという人物が居た。GBA作品では容量上の都合から舞台となる大陸の細かい設定や政治的なやりとりの描写はほとんど無かったが、それでも楽しむことが出来た。SwitchOnlineで『烈火の剣』が今後公開予定となったことが発表された際、此方もTwitterでトレンド入りするなど現在でも人気の作品だ。

信仰対象に会ったときに「信仰対象ーーー!!」と口に出してしまう人

テキストに誤用や世界観にそぐわない言葉遣いが多い、20年前のゲームソフト容量が数千分の1の作品と比較するしかないほどテキスト量が少なく物語の背景描写や人物描写が浅薄など程度が低いところがあるのは否めないが、大目に見れば『エンゲージ』は「ファイアーエムブレムらしい」と言えるかもしれない。人と竜の関わりを描いているのもシリーズほぼ全ての作品に共通するテーマであるし、一通り最後までプレイしてみると「家族の愛情が欲しかった」とか、「父や友に認められたかった」とか、フォドラ世界の歴史という壮大なスケールの物語を描いた『風花雪月』とは対照的に敢えてそういったミクロな個々人の感情にフォーカスを当てた物語を描こうとしていた事がよくわかる。

しかしわたしも含め多くのファンがそれを許容できなくなってしまったのは前作『風花雪月』があまりによく出来た作品だった影響もあるだろう。
『風花雪月』の整合性が取られていて深く練り込まれたフォドラ世界の各設定は現実世界の西洋史を元にしたであろうリアリティのある世界観で、ファイアーエムブレムシリーズがずっと描いてきた国同士の戦争というものを極めて写実的に描いていた。
その上にキャラクターや物語が成り立っているという作り方は「この世界やキャラクターの背景をもっと知りたい」と思うような仕組みで、それに応えるように膨大な量のテキストが実装されていた。

こういった舞台のスケールが大きい架空世界の作品は歴史や政治劇の描写ばかりになり主人公や各人物のミクロな物語がぼやけるのはよくあることだが、『風花雪月』においては3人の級長という主人公、3つのクラス・国にフォーカスを絞った3つの結末が異なる物語(正確には銀雪ルートも入れて4つだが)を展開することで、個性的なキャラクターの成長物語としての面白さと大陸の歴史や各人物の思惑、政治劇を追う面白さを両立している非常に優れた作品だった。

これからのファイアーエムブレムシリーズが『風花雪月』『聖戦の系譜』『暁の女神』のような重厚な世界観と人間ドラマの作品の展開になるのか、『覚醒』『if』『エンゲージ』のようなポップでカジュアルな方向の作品展開になるのか、或いはその両方になるのかはわからないが、これからも新作が出る度に全世界で380万本を売り上げた『風花雪月』という名作と比較されることは避けられないだろう。新作への評価に対するハードルが跳ね上げ、悪く言えば厄介なファンを増やしたのは『風花雪月』の生み出した罪だと言える。

(尤も、FEシリーズではわたしが知る限り20年近く前から加賀氏を巡る騒動により『トラキア776』以前の作品と『封印の剣』以降の作品を比較し新作を批判する風潮があったので、まさに歴史は繰り返すと言ったところである)


まとめ

総合的な評価としては、いくつか不満はあれどファイアーエムブレムシリーズとしての芯は通っており、捉え方次第では楽しめる作品に仕上がっているので10点中8点と言ったところだ。
良い意味でも悪い意味でも、全体的に硬派なSRPGだったFC・SFC時代、キャラゲーに舵を切ったGBA・GC・Wii時代、更にカジュアル化したDS・3DS時代という変遷を経た上での作品といった雰囲気で、ファイアーエムブレムのファンならなんだかんだで楽しめてしまう作品なのではないだろうか。

シナリオについては前作『風花雪月』とは性格の違う、少年マンガ的なおもしろ変身ヒーロー劇だと思えばそこまで不快に感じる事は無いし、終盤にかけては『エンゲージ』らしいゲームシステムを絡めた熱く王道ながらオリジナリティ溢れる展開だったこともあってわたしは一周回って好きになっている程だ。
OP曲ではサビ前に「エンブレム エンゲージ!」と叫ぶありがちなちょっと恥ずかしい演出が挿入されるが、これが本作の作風をよく表しているのではないかと思う。
そしてバトル部分に関しては文句なし、本当に素晴らしい出来だった。紋章士の指輪に戦闘スタイルなどカジュアルなようで複雑な構造の中でバランスが取れているのはプランニングやレベルデザイン担当の方の努力が垣間見える。願わくばこれからも末長くFEシリーズに携わっていただきたい。


FEシリーズとそれなりに長い付き合いのあるファンとしては、やはり紋章士の英雄たちとのやりとりやセリフ、外伝マップで過去作の思い出に浸れたのは良かった。
本作でFEシリーズに触れた初心者を過去作に誘導する目的としては少し薄味な気もするが、あまりやりすぎると原作への忠実度にうるさい古参ファンから不満が出たり、知らない人を置いてきぼりにすると思われるのでちょうどいい塩梅だったのではないかと思う。

元ネタは恐らく『if』の終章BGM「すべての路の果てに」とテーマ曲「if〜ひとり思う〜」
「理想郷」は封印の剣で登場したナバタ砂漠にある人と竜が共に暮らす隠れ里
北トラキア諸侯をフリージの圧政から解放しまとめ上げ、セリスやアルテナと共に半島の南側に位置するトラキア王国を倒し、後日談で南北統一した新トラキア王国の初代国王になる人


そもそも、シリーズの新作がちゃんとリリースされるというだけでも本当に有り難い。
30年近く続いているJRPGシリーズの多くがアクション要素を取り入れる中で、SRPGというニッチなジャンルのタイトルであるファイアーエムブレムシリーズは昨今のゲームの流行とはかけ離れており、新規プレイヤーの獲得において苦労している事は公式の開発者インタビューでも窺い知れる。そんな状況を踏まえればファンとしてはまずシリーズが存続する事が第一であり、それが個人的に好きか嫌いかは二の次だ。

本作の物語の終盤は、過去作の主人公たちに連なるリュールが「絆炎の紋章士《ファイアーエムブレム》」と呼ばれ、その彼と仲間がエンゲージして、絆の力を軽んじる邪竜に立ち向かう展開だ。
物語の重要な要素が「ファイアーエムブレム」と呼ばれるのはシリーズのお約束だが、今作の「ファイアーエムブレム」にはそれ以上の意味があるような気がしてならない。
エンディングのラストが半ば最後まで戦い抜いたプレイヤーに向けるような形の「エンゲージしよう」という言葉で締め括られる事も含めて、シリーズの集大成のような感じがして胸が熱くなった。

賛否両論ある今作も、作風をカジュアル化した結果多くのファンを取り込んだ『封印の剣』や『烈火の剣』『覚醒』と同じように長い目で見て評価され、愛される作品になってくれる事を願う。




おまけ:クリア時メンバー・キャラクター使用感

リュール&マルス

継承スキル:剣術・柔Lv2、回避+15

ダサかっこいい

とにかくひ弱な昔ながらの伝統的なFE主人公。速さは辛うじてあるが力と耐久力が絶望的。ボス戦にはノーダメージか反撃で即死するために途中から参加できなくなった。紋章士マルスを手に入れるまでは紋章士ルキナを付けていて、いかずちの剣を持たせてチェインアタック要員と個人スキル「神竜の結束」で味方の強化をさせていた。そのぐらいしか役割がない。しかし紋章士マルスを再び手に入れてからは本領発揮。回避壁要員として前線を張れるようになる。
紋章士マルスは10章までのメイン火力。本作の計算の仕様上、短剣で与えられる毒や「神竜の結束」「邪竜の救済」などでダメージを上げると1回の攻撃判定ごとに加算されるので流星群やスターラッシュと相性が良い。(例えばスターラッシュのダメージが3×9だった場合、邪竜の救済で4×9になり、トータルで9ダメージも上がる。更に毒を1段付与すると5×9になる。恐らく今作で隣接する味方のダメージを2以上上げるスキルが存在しないのはこういった部分で悪用させないためだろう)

エーティエ&カムイ

継承スキル:弓術:柔Lv2、速さ+2

紋章士カムイのポージング、マリオがジャンプする時みたい

難易度ルナティックでは飛行系は当たり前のように追撃をしてきて戦線を崩壊させるため弓兵は大歓迎。
また今作は早い段階で射程3の長弓が手に入る。今作には「応撃」スキルを持っている敵がおらず反撃を貰わずに削りが出来るのはかなり有用。しかもifと違って追撃可能。強敵は連携キャラを配置して長弓とチェインアタックで削り、近接攻撃でトドメを刺すのが被ダメージを抑えられる安定ムーブだ。
弓兵は王族職持ちで速さが伸びるスタルークも居るが、エーティエはパネトネやゴルドマリー、フィレネ連中、ユナカ氏など支援関係がとても優秀で回避壁にするならエーティエの方が適性が高い。そして力がよく伸びるので飛行兵をワンパンしやすく、数値以上に仕事が出来るのが強み。

紋章士カムイは戦闘スタイル:隠密のキャラに付けると回避+30の霧を出せるので、回避壁を展開する事が出来る最強紋章士の一人。もちろん鈍足で低HPのエーティエを壁にすると回避+60でも死ぬので、支援を組んだゴルドマリーやパネトネを前に出すと支援の相乗効果があって良い。スキル「スキンシップ」で霧を張りながら壁役の回復もでき、「助太刀」の発動に必要なHP満タンという条件を維持しやすい。そして「竜呪」も「呪縛」も遠距離から一方的に殴れる長弓との相性が良い。弓術・柔と暁or覚醒の紋章刻印強化は必須。
しかし回避壁の弱点は戦闘タイプ:魔道で、特に距離をとって攻撃してくるトロン持ちセイジは天敵。開発も回避壁カムイが強いのを分かっているのか、終盤マップでは増援にセイジが含まれている事が多い。

敵の命中値に注目

ルイ&エイリーク

継承スキル:守備+2、防陣

この世界には百合オタクが気持ち悪がられる倫理観があるようなのに、それを公言して持ちネタ化しようとしてるルイが怖い

イケメンになったカラム。と思いきや百合オタクを公言しておりちょっと残念。無意識的に空気になってしまうカラムに対して意識的に空気になろうとしているらしい。
if暗夜王国編ではアーマーナイトの役割が非常に重要で、人々がブノワ神エルフィ神と崇めるほどだったので今作も重要になるかもしれないと思い育成。
ifでジェネラルが持つ最強のスキルだった「守備隊形」が無く、防陣を習得するまではチェインアタックでゴリ押しされてしまうので全盛期ほどでは無いものの、やはり一人で通路を塞げる圧倒的な防御力は高難易度では頼りになる。どうせ追撃なんて出来ないので封印や蒼炎など武器重量が重くなる紋章刻印は彼の武器に回した。序盤に手に入る鉄の大槍を+3に強化して封印の紋章刻印を付けると銀の大槍を手に入れられる終盤まで使える。
紋章士エイリークは常時ミニ太陽かダメージ常時-3かの入れ替えで、エンゲージ時にどちらも使えるようになる。総じて壁キャラ向き。相手のステータス次第ではオルタネイトを使ってスルーさせたりさせなかったりできる。エンゲージ技に異形特攻があるのもトカゲを処理しやすくなるのでありがたい。

メリン&ロイ

継承スキル:再移動、回避+10

僕とエンゲージしてくれ

イケ女なのでキャラゲー目線では個人的に今作で一番好きなキャラ(ちなみに風花雪月の初見プレイ時はシャミアとのペアエンドを迎えた)
暗器は強化の上昇幅が高く暗器使いというだけで強いしパーティへの貢献度も高い。加えて高い速さはもちろん魔防と守備のバランスが良く、防御面もそれなりに優秀。さらに短剣でデバフを与えられるので誘い役に最適。26章では『封印の剣』のソードマスターを想起させる回避壁兼必殺仕事人となり、MVPを勝ち取った。紋章士シグルドの「再移動」を付けるとデバフを付ける際に使いやすくなるし、実質的に移動値が伸びる。
紋章士ロイは「きあいのタスキ踏ん張り」がメイン。やっつけ負けへの保険になるし、どうしても運次第で崩壊しがちな紙耐久・高回避キャラには合っている。また、力補正は火力が伸び悩みやすい短剣使いとの相性が良い。エンゲージ技はここぞという時に足止めとして使える。

パネトネ&リン

継承スキル:弓術:柔Lv2、デュアルアシスト+

今作最強キャラの1人。彼女がいなかったら初見ルナティックはクリアできなかったと断言できる。なんと言ってもルナティックのラスボスに勇者の斧で88ダメージも出せる化け物なのだ。半数近いマップでMVPも取った。
ウォーリアは唯一戦闘スタイル:連携で弓を扱う事が出来る兵種だが、なんと長弓を扱えてしまうのでチェインアタックを発動させやすい。加入後即チェンジプルフでウォーリアに兵種変更した。
そして紋章士リンも最強紋章士の一角。「速さの吸収」で速さを10上げれば多くの章のボスに追撃が可能になる。単純に力が一番高いキャラに紋章士リンを付ければ追撃可能となった時の火力上昇が大きいのと、流星群で敵を落としやすくなるので適性が高い。
更にエンゲージ武器「ミュルグレ」には回避補正があるのでエーティエ&カムイの霧と組み合わせれば回避壁になれる。エーティエやゴルドマリーとの支援関係もあり、三角支援でより回避・命中を上げられるので強い(この3人の中で回避の支援効果を与えられるのはパネトネだけなので、パネトネを壁の中心に据えるのが良い)

ディアマンド&アイク

継承スキル:デュアルアシスト、待ち伏せ+

リョーマ2世。主人公感が強い。チェインアタックは常に命中80%ではあるものの相手の守備や回避に関係なく、かつ反撃を受けずにダメージを与えられるのでルナティックではかなり重要。下級職でもいかずちの剣を持たせればチェインアタックに参加できるので買っておいて損はない。
彼の専用職「スュクセサール」はブレイブヒーローの亜種で、スキル「太陽」を習得可能だが、低確率で発動する技には頼れないのでHP最大なら必ず発動するブレイブヒーローの「助太刀」の方が使いやすい。火力的にも助太刀の方が良い。とは言え、太陽は回避ができなくなる紋章士アイクとの噛み合わせが良く、助太刀とは悪いので悩みどころ。
紋章士アイクは一時的に壁キャラを作る事が可能で、一回限り地雷戦法ができる。アーマーだと守備が高すぎて敵がスルーしてしまうのと、壁役不足に悩まされるので程よい耐久があるスュクセサールやブレイブヒーローに付けるのが良さそう。重装歩兵の壁役と違って多少魔法攻撃を貰っても平気なのが心強い。
スキル「怒り」は待ち伏せとのシナジーがあり、地雷戦法に特化したキャラになれる。過去作では同時発動出来なかったりどちらかの発動条件が厳しく使いづらかったコンボだが、今作ではどちらのスキルも取得が簡単で発動条件も緩く使いやすい。
太陽と待ち伏せ怒りの噛み合わせは良くないが、耐久持続力と考えればアリだろう。怒りで上げた必殺に太陽が発動して全回復できれば御の字だ。

ゴルドマリー&リーフ

継承スキル:デュアルアシスト+、槍術・柔Lv2

対戦ゲームのチャットで言われたら泣きそう

連携キャラは居れば居るほど良い。騎兵や飛行兵は不遇気味で、槍アーマーはルイしか居ないのでチェンジプルフを使わない限り槍使いは不足しがち。そんな中での貴重な歩兵槍使い。
加入時から速さも守備もそこそこ高く即戦力になれる。
そしてブレイブヒーローの兵種スキル「助太刀」がとてつもなく強い。なんと紋章士ルキナの継承スキル「デュアルアシスト」にも適用されてしまうのだ。今作の最強兵種トップ3はブレイブヒーロー、ウォーリア、ウルフナイトではないだろうか。
「戦闘スタイル:連携」「デュアルアシスト」「助太刀」は本当に強すぎるのでルナティックでも著しく難易度を下げる。しかし終盤は敵もそれを見越したかのような物量で攻めてくるので使わないと勝てなくなる。
ゴルドマリーは個人スキルとパネトネとの支援のお陰で回避壁適正が高い。多少の被弾も気にしない耐久もある上に速くてアーマーキラーもドラゴンキラーもナイトキラーも扱えるなどとにかく器用。たとえ力が伸びなくても、高い回避のおかげで維持しやすい助太刀だけで仕事ができる。
紋章士リーフはどちらかというと育成用といった印象。即応を活かすなら剣槍斧弓を扱えるキャラ、体格補正を活かすなら体格の低いキャラに持たせるのが良さそう。回避壁要員のゴルドマリーはエンゲージすると即応のせいで回避補正を付けた槍を外してしまうので、持たせるだけ持たせてエンゲージはあまり使わなかった。テトラトリックも他のエンゲージ技と比較して見劣りする性能。

オルテンシア&ベレト

継承スキル:再移動、サイレスガード

必見!オルテンシアの最強育成方法!

開発に愛されていそうなキャラ。個人スキルの杖射程+1は強すぎる。闇堕ちした世界線の承認欲求に飢えたエリーゼ。
魔防がよく伸びるので魔法受け役として優秀だが、HPが低いのでわりとあっさり死ぬ。戦闘スタイル:魔法は正直味方としては効果が無いに等しいので、専用職スレイプニルは単純に移動力が高いハイプリーストのような使用感。
紋章士ベレトの天刻の拍動は一見あまり使い道が無さそうに見えるが、実は妨害杖の命中率を上げられるというのがとても大きい。難易度ルナティックにおいては基本的にボスはブレイクや特効が無効だが、状態異常は有効なので魔法系のボスなら魔道書に持ち替えさせてサイレスを当てれば1ターンに限り一方的に殴れる(特にヴェイルやセピアなどに当てると劇的に難易度が下がる)魔法系ボスは基本的に魔防が高く命中不安が付きまとうが、そこで天刻の拍動というわけだ。ドローで拉致してタコ殴りにしようと目論む敵杖使いにもドローを仕返して安全に処理できる。ついでに、スレイプニルのスキル「大樹」で妨害杖を節約できる。
しかし基本的には女神の舞がメイン。彼は自分一人で舞踏会に参加して優勝した世界線のベレトなのかもしれない。

ベレト先生渾身のギャグ


スタルーク&クロードS

継承スキル:デュアルアシスト、速さ+2

ほしかったんですよねえ、クロード。エーデルガルトも!!

ガチャを回して入手出来る「絆の指輪」の中で恐らく最も強いのがSランクのクロード(風花雪月の方)の指輪だ。付与スキル「風神」は自分のHPが最大時に弓の射程が+1される。長弓の射程が4になり、エルサンダーやトロン持ちセイジを安全に処理できるのは勿論のこと、光の弓でスレンドスピアやトマホークを持った重装兵を射抜くのも使いやすく、また弓兵なら体力満タンという条件も維持しやすいので下手な紋章士の指輪より圧倒的に強い。
彼の専用職「ティラユール」のスキルは「月光」。確率発動なのであまり強いとは言えず、チェンジプルフを使って射程2-4の長弓でチェインアタックを発動できるウォーリアに変更した(弓の天性素質のおかげでウォーリアにしても銀の弓を扱える)

セリーヌ&セリカ

継承スキル:体格+4、癒しの響き

取引の現場

光堕ちした世界線のエリーゼ。幸せになれる葉っぱを常用しているせいか頭がお花畑になってしまったらしい。技速さが伸びる典型的ショタ魔道士のクランに対して魔力が伸び速さが伸びないリリーナタイプかと思いきや、速さも割と伸びるしクランより魔力も伸びるという、クランの上位互換的存在。ただ華奢キャラの宿命かHPと体格が低く、特に体格は比較的初期の加入なのも相まって低いまま成長せずエルファイアーを持つ頃にはものすごく足を引っ張る。紋章士リーフの継承スキルで体格を補強し、ボルガノンを持たせたい。
紋章士セリカのエンゲージ技「ワープライナ」は強力だが、紋章士リンを手に入れて以降は流星群に取って代わられ、紋章士セリカを再び手に入れる頃には敵の物量が多すぎて下手な動きをすると即死するようになっていて使いにくい。異形特効のあるエンジェルの魔道書も、反撃で即死する上大したダメージも出ないので異形竜には使えない。グリが使っていたライナワープが欲しい。

セアダス&ミカヤ

継承スキル:再移動、大好物

今作の踊り子枠。従来の踊り子枠と違って成人男性なので即死しない程度には耐久力がある。『風花雪月』の踊りは変な手クルクルの舞だったが今作の踊りは身体クルクルのスタイリッシュでカッコいい。
紋章士ミカヤはやはり杖を使用可能にする効果と杖の範囲を広げる効果がメイン。初期位置が分断されたマップでもエンゲージしてワープ・リワープを使えば味方の輸送ができる。平時でも踊り子はアイテム枠が余りがちなので荷物持ち兼サブヒーラーとして使える。杖ゲーである今作では地味にありがたい役割。
移動力が高い騎兵キャラや再移動スキルを持ってるキャラにも適性が高いと思うが、幸いドーピングアイテム「ブーツ」も再移動スキルも踊り子とのシナジーが高いのでやはり踊り子が一番の適任か。しかし実際には踊りで忙しいので杖を振る時間はあまり無い。
セアダスは踊りではエンゲージカウントを貯められず、戦闘するか杖を振るしかカウントを貯める手段がない。前者はあまり現実的ではなく後者も踊りに忙しいとできないので、紋章士セリカの「大好物」は多分彼が一番有効活用できる。

ヴェイル&ルキナ

継承スキル:竜呪、体格+3

かめはめ波の練習

新衣装お披露目では黒いツノがダサいと不評でマロンに折られ、専用魔道書が重すぎて凄まじく攻速落ちするドジっ子。食堂では偏食っぷりがバレてしまう。
闇魔法より魔法武器でかつデバフも与えられ、重量も軽いミセリコルデの方が使いやすい。が、魔法キャラは総じてスレンドスピアやトマホークの射程に入れば死ぬのでトロン係になりがち。チェインアタックにデバフ効果が乗ってしまう短剣にしても射程3のトロンにしても連携キャラが持つと強い武器なので紋章士ルキナとの相性はかなり良い。
紋章士ルキナの真価はなんと言っても継承スキルの「デュアルアシスト」だ。戦闘スタイル:連携のキャラには必須級と言ってもいい強さで、紋章士カムイで回避壁を展開して、後ろから長弓やトロンでちまちま攻撃しているとデュアルアシストがどんどん発生して勝手に敵が溶けていく。

モーヴ&シグルド

継承スキル:引き戻し、スキンシップ

魔法少女にハートのステッキは欠かせない

ヴェイル様と契約して魔法少女になった男。モヴおじ。かつて四狗としてリュールたちに立ちはだかった事に自責の念があり、「俺は神竜団のお荷物です…ッ」とよく陰で泣いているらしい。
終盤、出撃枠が余ったものの、もうエンゲージ戦士たちの戦いについていけるメンバーがいなかったため杖使いとして加入させた。杖+再移動という時点で回復役としての役割はこなせ、数発殴られても耐えられる耐久力と、アイスロックを使用できる点で何かと便利。速さは低いが炎の槍で一応戦うこともできる。継承スキルは戦わなくてもあると便利なものを選択。

紋章士シグルドは難易度によって大きく評価が変わりそうなキャラ。ルナティックでは残念ながら最弱と言ってもいいくらいで、本当に再移動しか取り柄がない。
一人で先行したところで囲まれて死ぬだけなので移動力が腐りやすく、オーバードライブも火力が中途半端で「反撃されない攻撃手段」が少ない序盤は役に立つが、終盤では「貫通したら敵に囲まれて死ぬ」という状況が多くなり使いにくい。皮肉にも外伝のシグルドがそれを証明してしまっている。

フラン

継承スキル:癒しの響き、信仰Lv.2

一応終章メンバー。モンクはチェインガードを使えるので1人いるだけで特に壁役が少ない序盤は難易度が変わる。ハイプリーストの方が杖の武器レベルが高いが、戦闘スタイルが気功では無くなってしまうのでマスターモンクにCC。
ジャンの方が良成長持ちで強そうに見えたものの速さが伸び悩んだので1軍を外れた。というよりフランの速さが割と伸びるために、追撃で即死しづらい。ディアマンドやゴルドマリーなど壁役が出来る連携キャラとの支援があるのも良い。
紋章士ミカヤのスキル「癒しの響き」を継承できると、体力を維持しやすくなるので積極的にチェインガードを使えるようになる。

クロエ

15章ぐらいまでスタメン出撃していたものの、エンゲージ戦士たちの戦いについて来れなくなりゴルドマリーと交代へ。
今作の飛行兵は建物の上を移動出来ないし、再移動も当然警戒体制も無いので少し弱め。
連携キャラは居れば居るほど良いのに対して騎兵や飛行兵特効を受けるし速さや耐久値も抜きん出て歩兵より強いわけではないため役割を持ちづらい。というか本当に今作の騎兵と飛行兵は弱いので、救出か再移動くらいはデフォで持ってても良かったんじゃなかろうか。その上でクロエは中途半端な魔防と高くないHP・体格である。

ユナカ氏

盗賊のくせに派手な格好で、論者口調のシーフ。モノマネが上手いらしい。戦闘スタイル:隠密でエーティエ、パネトネ、ゴルドマリーの回避壁三人衆との支援もあり回避壁適性は高いが、いかんせん耐久力が低く与ダメージも低い事もあって移動力と耐久力のあるイケ女の方が使いやすい。エースとして使えるのは11章までだった。

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