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民宿に泊まったら座敷童が遊びにきた話

怖さ:☆☆☆

私の友人が以前、彼のお姉さん夫婦と一緒に、三重県に旅行に行った時の話です。

彼の家系は不思議な体験をする人が多く、特に彼のお姉さんはいろいろなものが見えてしまうそうです。

子どものころは、生きている人と亡くなっている人が同じように見えてしまって区別がつかないため、お母さんが「そこには誰もいないからね」と教えていたといったエピソードもあるくらいです。

一方、私の友人の場合は、よほどのことがないと「何かが見える」ということはありませんが(つまり、時々は見えます)、雰囲気だったり、音が聞こえたりということはよくあるそうです。

そして、お姉さんの夫はそういうことは全く感じない人です。

さて、友人がお姉さん夫婦と行った旅先は蛍がきれいなことで有名な所で、せっかくなので、ある民宿で宿泊することにしました。ごく普通の宿でしたが、中庭に蛍が飛び交う様子がとても幻想的で美しかったそうです。

夜になって休んでいると、子どもがパタパタと走り回る音が聞こえてきます。宿主のご家族もいることだろうしと、友人は別に気にもしていませんでした。

すると、彼のお姉さんが「宿泊客がいても部屋に入ってくるんだね。自宅と宿と兼ねてるから仕方ないけど、それにしても入ってき過すぎるんじゃない?」というので、何を言ってるのだろう?と思ったら「さっきから子どもが部屋に入ってきて、箪笥の引き出しを開けたりして遊んでいる」というのです。

でも、「何の話?」と不思議がる夫や弟の様子を見て、お姉さんも「子どもの姿は自分にしか見えていない」ということに気が付いたようです。

幼稚園か小学生になったばかりくらいの女の子で、田舎の子というか、素朴なかわいらしい感じだったそうで、部屋に泊まっているお客さんに興味津々といった様子でした。

その後も、寝ている友人の近くに寄ってきてチラチラと見ていたり(近くに誰かがいるような気配)していましたが、怖いとか、嫌な感じはまるでなく、むしろ温まるような楽しい感じで、「座敷童ってこういうことかな?」と思ったそうです。

お話を聞いていて、「子どもが見える」お姉さんと、「子どもの足音が聞こえる」弟(私の友人)、そして「全く何も感じなかった」お姉さんの夫。同じ時に同じ場所にいても、3人それぞれ見たり聞こえたり、感じていることが違うのも面白いなと思いました。

話し手:30代男性
採取時期:2021年6月
採取場所:東京都内

「子ども」と、なんか怖い話


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