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天井の隅に、もやもやした線がうごめいている話

怖さ:★☆☆ 

会社の同僚が小学校3年か4年のころに体験したお話です。

ある日、彼は学校の教室で、友だちが話す怖い話を聞いていました。妖怪の「天井下(てんじょうさがり・てんじょうくだり)」か何かの話で、水木しげる先生の描いたような妖怪が、天井から押し寄せてくるという話だったそうです(「天井下」は江戸時代の画家・浮世絵師、鳥山石燕が描いた天井からぶら下がっている女性の妖怪で、逃げる時に天井を突き破ったりすることはありますが、特に人に危害を加えるようなことはないそうです)。

ところがその夜、彼が家で寝ようとして布団に入って、ふと天井を見ると、隅の方にもやもやとした黒い線がうごめいているのが見えました。

その部屋は和室で、天井には木の木目などもあるのですが、暗くなった隅っこの方で木目とは違うくっきりとした黒い線が、糸が絡み合うような変な動きをしていて、しかもはっきりしない音も聞こえてきたそうです。

怖いのでギュッと目をつぶって、その夜はそのまま眠ったそうです。

その黒い線が何だったのかはまるでわかりません。

おかしな線が見えたのはその夜だけで、学校で聞いた天井ネタの怪談に感化されたのか、それもわからないのですが、何となく「ヤクモクン」という名前だけ印象に残っていて、その由来のわからない「ヤクモクン」という記憶も怖いと言っていました。

その後、何度も金縛りにあったりもしたけれど、その天井のもやもやの方がよほど怖かったそうで、今も夜になると天井を見て、隅の方の暗くなっている部分を確認してしまうそうです。

話し手:30代 男性
採取時期:2020年10月
採取場所:東京都内

後日談

この話をしてくれた本人から、この記事を読んで、トップ画像に描いたもやもやが「似てる」とお褒めの言葉?をいただきました。ありがとうございます。

ただ、公開時には話し手を「40代 男性」としていましたが、「30代です」とご指摘いただいたので修正しました。失礼いたしました。

「子どものころ」の、なんか怖い話


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