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職場の怖い話

自動ドア いらっしゃいませ 誰もいない


職場の朝の朝礼の最中、自動ドアが開きました。
あれ?お客様がもう来られたのかな。
上司のOさんと同僚のSさんと3人で
「いらっしゃいませぇ〜」
と言ったはいいが、誰も入って来ない…。

「見えないお客様が入ってきたのかな」
同僚のSさんがニヤリと笑いました。
Sさんによると、朝から誰もいないのに自動ドアがしきりに開いていたそう。
物をどかしても、やっぱり開く。
「たまにあるのよね、絶対いると思うわ」
Sさんは断言する。というのも、職場が建つ場所はかつてお墓だったというウワサがあるのです。
うわぁ…やだなぁ…。
私は怖い話が苦手なので、あまり聞きたくありません。
早く朝礼終えて早くこの話しを忘れたい。
そう思っていると

「俺も一回だけ見たことあるよ」

えっ!Oさん!?
Oさんは還暦を過ぎた、あまり自分の話しをされない寡黙なタイプです。まさかそこで話をひろげるとは思いませんでした。

Oさんが言うには、以前の職場で働いていた時、お客さんが誰もいなくなった遅い時間帯でレジ担当をしていたそう。今日はもう誰もこないかなぁ〜と思っていたら、化粧品コーナーの方に長い髪の毛の女性がスーッと通り過ぎるのが見えたんだそう。
あれ?お客さんいたんだ…?誰も入ってきてないはずだけど…
不思議に思いながら店は閉店時間となり、従業員が表のカーテンを閉め始めました。
「まだお客さんがいるみたいだよ」
Oさんがその従業員に伝えると、
「もう誰もいませんよ」と。
店内を巡回したから間違いないそう。

見たな…ついに。
Oさんは確信した。レジは出入り口にあるので出ていけば絶対にわかるはず。
Oさんの以前の職場も、建つ前はお墓だったそうです。
普段もの静かなOさんの怖い話は、本当に違いない。一人倉庫で作業していると急に怖くなり、
「私はなんもしてあげれないよ!自分のことで精一杯だから!」
と謎のひとり言をつぶやくのでした。


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