百野虎子

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最近の記事

百日紅の花が散る時

百日紅 花散り落ちる 寂しさよ いよいよ、百日紅の花が散り始めました。 私の実家のお墓には、百日紅の木が植えてありました。 高台の見晴らしの良い場所にあり、山と山にはさまれた谷の街並みを見渡すことができます。 母はお墓参りをする時、敷地内にあるお地蔵様も一緒にお参りしていました。地蔵盆でカラフルに色付けされ、前掛けをつけたお地蔵様。 茶碗を洗い、線香を供えて、軽く掃除をして丁寧にお参りをする。 母が言うには、お地蔵様は最後の救いの手なんだそう。見放されり、見過ごされたりし

    • 毒と情熱

      彼岸花 毒あればこそ 燃える赤 つい先日まで何もなかったと思っていたのに、急に鮮烈な赤を見つけ驚きました。 彼岸花が咲き始めましたね。 彼岸花がこんなに赤々とした花をつけるのは、きっと根に毒があるからなんじゃないかなと思うのです。そして彼岸花に負けじと私も、根に毒を持つと思うのです。日々の中でおきる理不尽な出来事、出くわした時に渦巻くドロドロした呪いのような感情。 私も彼岸花のように毒を持ちながらも、それを赤い情熱に変えていきたい。

      • 宇宙とコスモス

        ほがらかに 頬よせ合えば コスモスよ コスモスが群れて風に揺れているのを見ると、とても優しい気持ちになります。 色のせいでしょうか?ピンクや白など優しい色が多いですし。 コスモスはギリシャ語の「kosmos.cosmos」に由来し「秩序」「飾り」「美しい」という意味があるそう。花びらが整然と並ぶコスモスの様子が星がきれいに並ぶ宇宙を思わせることから名付けられた、との事。まさかの宇宙! 原産国はメキシコです。名付け方がアグレッシブだなぁと思ったので納得です。それにメキシコの高

        • 朝焼けと山鳩

          朝やけよ デデッポウで 目を覚ます デーデッポウ…デーデッポウ… なんか聞こえるな… 今朝、山鳩の鳴き声で目を覚ましました。 昨日早く寝たおかげで、目覚めは良く、いつもより早起きでした。 窓の外には朝焼けにに染まった羊雲が浮かんでいて、なんだかとても幸せな気持ちになりました。 このデデッポウと鳴く鳩は、キジバトというそうです。公園などで群れている鳩はドバトという別の種で、キジバトは基本単独行動をするそうです。(調べるまで、私は一緒だと思っていました) 鳩は大変リズム感がよ

        百日紅の花が散る時

          虫の音と眠る

          虫の音を 紬いで織りし 夢うつら 一度涼しくなったと思ったら、また寝苦しい夜がやってきました。今週末の連休には涼しくなると天気予報では言っていましたが…。 昔から暑さに弱く、夏バテをしては3キロ弱体重を落としてしまいます。今年の暑さはこたえます。 寝付けそうで寝付けない、うつらうつらと夢現を行ったり来たりしていると、心地良い虫の鳴く声が聞こえる。近くでブンブン回っている扇風機の音はうるさいと思うのに、虫の声は思わない。本当に不思議です。

          虫の音と眠る

          月と女

          名月よ 晴れの舞台に 袖かくし 昨日は中秋の名月でした。 一体どれくらいの人が、夜空を見上げたのでしょうか。私もその一人です。 職場のお客様から、月見だんごをいただいたり、今日はこのまま晴れるのだろうか…と思案したり。いつも変わらない日常の中に、こんな行事があるだけで、嬉しくなりますね。 ところで、こんなに注目をあびて月は恥ずかしいとか思わないのかな…と、ふと思いました。(なんて幼稚な…) 月は陰陽で表すと、陰です。そして女も陰です。 月も女も陰のエネルギーなのか。 私はか

          重たさはグラムだけにあらず

          このゆびに 蝶一匹の 重たさよ ふざけ半分で、飛んでいる蝶々が指にとまらないかな〜と人差し指をかかげていると… とまった! 一瞬お互い見合った空気を感じ、蝶々は私のバクバク跳ねる心臓の音と視線に気がついたのか、ハタハタと飛び立っていきました。 オオムラサキという大きな瑠璃色の羽をもつ美しい蝶々なのですが、今でも人差し指に感じた、およそ蝶一匹の重さとは思えない質量といいましょうか、とても重みを感じたのです。 おそらく、蝶の足の細かく優しい棘のような感触と、私の指をぎゅっと掴む

          重たさはグラムだけにあらず

          うつむいてこぼれた花びら

          うつむけば 花びらほろり 萩の花 萩の花は最初はひょろひょろの一本なのですが、だんだんと株を増やして、こんもりと枝垂れるようになります。私はこの枝垂れる姿が好きで、枝垂れ桜にはじまり、雪柳、小手毬、山吹、などなどたくさんあります。 山の中に住んでいた事があるのですが、庭に萩の花がありました。側を通る時ふれてしまい、花びらがほろほろと。枝垂れて花びらがこぼれる姿が、とても綺麗です。

          うつむいてこぼれた花びら

          秋の夜長と思い出と

          想い人 のこり火抱いて ふける夜 想いを伝えれなかった人がいます。 どんなに気持ちがあっても、その時のタイミングや状況で、伝えずに終わる事もありますね。 普段はすっかり忘れているのですが、何気なく図書館で借りてきた小泉八雲の本に、懐かしい名前を見つけた時、思わず本を閉じてしまいました。 何を動揺しているんだ!と恥ずかしくなり、読み進めてみましたが、その名が出てくるたびにソワソワ…。集中できない…。 ちなみに本のタイトルは「蝶の幻想」 日本人の虫にまつわる様々な視点、愛で方を

          秋の夜長と思い出と

          稲刈り後の一息とたばこ

          ほのぼのと 刈田に降り立つ 鳩のむれ 稲刈りが始まりました。 私の祖母の田んぼもの稲刈りを、実家に住んでいる頃はよく手伝っていました。 初めて稲刈りを手伝った日に、半袖で作業をしていると、なんだか腕がチクチクする…。 祖母に聞くと、細かい稲の繊維が刺さっているとの事。祖母は「たばこしようか。」とあぜ道に冷やしておいたお茶とお菓子をだしてくれました。 この"たばこ"というのは休憩の事で、祖母はよく使います。 稲刈りを終えた刈田で鳥たちがついばんでいる姿を見ると、この"たばこ"

          稲刈り後の一息とたばこ

          夏の花は匂い立つ香り

          葛の花 葉に隠れども 香り見つけり 散歩をしていると、どこからともなくいい香り。見渡しても葛の大きな葉が繁り、花は隠れてしまっています。 沈丁花、クチナシ、金木犀、水仙。 姿は見えずとも、ふとただよう香りをかぐと見つけた!と思ってしまう。 葛の花やクチナシ、カラスウリの花など、夏の花は特に、湿度に蒸されてますます匂い立つ気がしますね。

          夏の花は匂い立つ香り

          山風に 羽をのせるは 赤とんぼ

          車を運転していてトンボが向かってくるのてすが、ぶつかる事は稀です。 他の虫はぶつかってしまうのに、どうしてなのだろうと思い調べてみました。 トンボの羽の表面にはデコボコがあり、そこに小さな空気の渦を作るそうです。その上をスムーズに空気が流れていくため、驚異の飛行技術をもっている。とのこと。 ……正直よく分からないのですが、たしかにトンボを観察していると、止まったままの状態、後ろ向き、という他の虫ではなかなか見かけない動きをしているかも! 科学的なメカニズムはよくわかりませんが

          山風に 羽をのせるは 赤とんぼ

          上弦の とくりと音す 酒月夜

          お酒の中で日本酒が一番好きです。 上弦の月を見ると、とんでもなく美味しい日本酒が並々注がれた酒坏に見えてしまいます…。

          上弦の とくりと音す 酒月夜

          つゆくさの 青の青さよ 目に留めて

          通勤途中でふと見かけた露草。 昔から大好きで、小学校の時、自分の住んでいる街並みを絵にする課題で、手前に何か好きなものを描き、その向こうに街並みを描くとい遠近法を用いた課題だったのですが、私は手前に露草を選んでいました。 どうしてこんなにも惹かれるのかな…と運転しながら考えていたのですが、やっぱりこの青だろうなと。私の故郷は日本海に面しているのですが、日本海の海は青というより紺に近いような、深い青色のイメージです。 実際には天気がよければ明るいブルーなのですが、日本海側は天気

          つゆくさの 青の青さよ 目に留めて

          山の瀬に 光あつめて 遊ぶ子よ

          残暑厳しいですね。私の住んでいる地域は避暑地として知られており、夏になると多くの観光客の方たちが訪れます。夏休み中は特に子どもたちが川遊びの格好で歩いているのをよく見かけました。お店では川遊びパンツもとうに在庫切れ。そろそろ川遊びもおしまいでしょうか。

          山の瀬に 光あつめて 遊ぶ子よ

          月あかり こぼれて揺れるは 石榴の木

          アパートの敷地内にある石榴の木が切られてしまいました。理由はわかりませんが、木蓮の木も切られてしまったので、管理が難しくなったのではないかなと思います。 私が手入れできるわけじゃないし…悲しいですがお別れです。せめてもの思いで、一句。

          月あかり こぼれて揺れるは 石榴の木