マガジンのカバー画像

感想

349
記事や投稿、作品について思ったことなど
運営しているクリエイター

#読書

小川哲著『ユートロニカのこちら側』を読んで

ニートという生き方にも、向き不向きがあると私は感じています。私は比較的ニートに向いているので、社会に出てから特に理由もなく合計3年半ほど働かず、学ばず、何かを修めることもなく過ごしていたことがあります。 私は他人とコミュニケーションすることで疲れやすいタイプです。例えば、ある言葉に対して持っている概念が違うからそこからすり合わせするのは面倒くさいなぁと感じたり、この人の見ている世界ではそうなのであろうなと思って何も言えなくなったり、私の言い方が悪く伝わってないなぁとか、さっ

メタバース、横から見るか、上から見るか

最近、平野啓一郎氏の『本心』という小説を読んでいます。今大体半分ぐらい読み終わったところなんですが、登場人物たちは所謂格差社会の負け犬でつらい現実から逃避するためにVR(メタバース)を利用しています。 上記の記事には現実の生活こそが大切で、メタバースで過ごす偽の生活は取るに足らないというようなことが書かれています。メタバースで現実で出来ない自己実現を達成する人がいるとか、ちょっとでもフォローしてあればよかったんですが、それもなく。 ちょうど『本心』を読んでVRに逃避してい

AIに本を選んで欲しい

「Netflix」とかで映画を見ると、こちらもお薦めみたいな感じで次に観たらいい映画を進めてくれるじゃないですか。 本でもそれやって欲しいんですよね。最近、文芸書とそれ以外の本を交互に読むようにしているんですが、私の場合特に文芸書で次に読む本を迷ってしまいます。 好きな作家の本でもすべてが気にいるわけではないし、私の場合ブクログで結構な冊数の文芸書をレーティングしているので、そういうアルゴリズムがあれば、それなりに正確にリコメンドできると思うんですよね。 そう思ってそう

2021年4月に読んだ本まとめ

今年の頭から、毎日本を読むというのを継続しています。花粉症の影響なのか、季節の変わり目だからなのか、仕事が多忙だったのか、疲れがなかなか抜けず、前半は文芸書を読むことが多かったです。後半はゴールデンウイークの関係もあるのか多少復調し、人文書を中心に読み進めました。 読み終わった本2月に前作の『そして生活はつづく』を読んで面白かったので、続編にあたる上記の本を3月から読んでました。体調が悪い時などに癒される話が多かったです。まぁ、後半は病気の話になるのですが。 以前も書いた

若林正恭『ナナメの夕暮れ』「ベストスコア」に思う

全体的な話はこちらをどうぞ。 大筋紹介『ナナメの夕暮れ』の中に当時孤独なアラフォーだった筆者が何故ゴルフにハマったのかを紹介している「ベストスコア」という話があります、ざっくりまとめると以下のような理由が挙げられていました。 ・孤独な独り身であっても楽しむことができる ・疲労感がちょうどよい(バスケみたいに足をやることもないですしね) ・アラフォーになると上達することは滅多になくなってくるにもかかわらず、上達を感じることができる ・意外に面倒なコミュニケーションが不要