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「技術士試験の程度」の意味を深く理解して合格をめざす

技術士第二次試験実施大綱によると、「技術士二次試験の程度」は、科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計等の業務に従事した期間が4年等 (参考参照) であることを踏まえたものとする」としています。

技術士補となる資格 (技術士第一次試験に合格又は指定された教育課程を修了) を有する者が、以下の経歴のうち、いずれかに該当すれば、技術士第二次試験を受験することができます。

経歴1: 技術士補に登録した後、指導技術士の下で、4年(総合技術監理部門は7年)を超える期間の実務経験を積む。
経歴2: 技術士補となる資格を得た後、職務上の監督者の指導の下で、4年(総合技術監理部門は7年)を超える期間の実務経験を積む。
経歴3: 7年を超える期間(総合技術監理部門は10年)の実務経験を積む。

つまり、指導技術士または職務上の監督者の指導の下で、4年 (総合技術監理部門は7年)を超える期間の実務経験を積むか、自力で7年を超える期間(総合技術監理部門は10年)の実務経験を積むことが必要です。

第二次試験実施大綱に「従事した期間が4年等 (参考参照)」とあるのはこのためです。

試験を受けられる多くの方は、この実務経験期間の条件をはるかに超えて試験に臨んでいます。

試験の程度は「業務に従事した期間が4年等であることを踏まえたものとする」としていますので、普通に考えれば、もっと合格率が高くなってもよさそうです。しかし、第二次試験の受験者に対する合格率は令和に入ってからの3年間の推移をみると、受験資格条件の異なる総合技術監理部門をのぞくと、2019年 (令和元年):11.0%、2020年 (令和2年):11.8%、2021年 (令和3年):11.2%とかなり低くなっています。

端的に言えば、「業務に従事した期間が4年等であることを踏まえたもの」のレベルに達していない受験生が多いということだと言えそうです。

これはおそらく、業務に従事した期間が既定の年数を超えてはいるものの、その業務の中身を詳しく見てみると「科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計等の業務に従事した期間」になっていないのではないかと思われます。技術士レベルの能力を発揮して業務に臨んだ期間はそれほど長くはなかったということではないでしょうか?

自分自身の業務の中身を考えても、それは十分考えられます。

知識を問う問題は、問題によって多少運・不運もありそうですが、知識を整理し、足りない部分を補えばなんとかなりそうです。しかし、応用能力や問題解決能力及び課題遂行能力に関しては、日ごろからそのような取り組みを行っていないと、一朝一夕で身に付くものではありません。だから業務に従事した期間が指定されているのだと思います。実際にはただ漫然と業務を行っていた期間全体ではなく、技術士レベルで業務を遂行していた期間と考えるべきものなのかもしれません。

マニュアル通りに業務を遂行したり、先輩・上司・発注先の言う通り漫然と業務を行ったりしているだけでは、技術士に求められる応用能力や問題解決能力、課題遂行能力は身につかないということなのだと思います。

業務期間の実質的な内容を精査して、もし、技術士レベルの応用能力、問題解決能力、課題遂行能力を発揮した業務期間が少ないと感じるようであれば、受験勉強期間に濃縮・集中して、業務を振り返り、徹底した思考訓練、自問自答や第三者からの質問や反論を受けての理論的な説明訓練を行い、技術士レベルの思考・反応がすぐに出てくるように、技術士リテラシーを身に着けることが必要だと思います。

技術士の応用能力、問題解決能力、課題遂行能力を問う記述試験では、多くの圧倒的に合格レベルに達している受験生にとっては、多少答えやすい、答えにくい問題はあるにせよ、この年の問題であれば解けたけれども、この年の問題であれば解けなかったということほとんどないのではないかと思います。ほとんどの年の問題に対応できるのではないでしょうか?技術士リテラシーに照らし合わせて、なんとか合格レベルに回答を仕上げてしまうのではないでしょうか?

「技術士だったらどう考えるか、どう行動するのか」、業務の中でできるだけ実践するのが一番ですが、過去の業務をすべて「技術士だったらどうするべきだったか?」の視点で見直してみることや、過去問題も「技術士だったらどう答えるか?」徹底した思考訓練を行うことが、試験前の比較的短時間でできる効果的な方法だと思います。

専門知識を問う問題はある程度本などを読んで、記憶に頼らざるを得ないところもあると思いますが、応用能力、問題解決能力、課題遂行能力を問う記述試験では記憶に頼る部分はそれほどないと思います。

これから技術士に挑戦される方には、年ごとの問題の揺らぎや合格率に左右されないほどの圧倒的にハイレベルな回答で合格をつかみ取ってほしいと思います。

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