売っている洗剤や漂白剤に「除菌」はあっても「殺菌」がない理由とは?
コロナ禍によって、消毒用アルコールの需要が高まり続けています。
今日はこれに関連した雑学をご紹介します。
除菌・殺菌の意味
アルコールスプレーのような、衛生を売りにした商品には、ほかにも食器用洗剤や洗濯用洗剤、漂白剤などもあります。
これらのパッケージを見ると、よく「除菌」と表示されていますね。
除菌とは、菌を取り除くことを指します。しかし、決して「殺菌」と表示されることはないということをご存じでしょうか。
殺菌とは文字通り、菌を殺すこと。
厳密には、すべての菌を殺すほどでなくても数が減れば殺菌になり、また特定の菌が減っただけでも殺菌です。
ただ菌を減らす除菌よりも効果の高いものに表記される殺菌ですが、なぜアルコールスプレーや洗剤などの一般の衛生用品には表示されないのでしょうか。
殺菌は医薬品のみ
この殺菌という言葉、じつは医薬品や医薬部外品にだけ使える表現なのです。
2014(平成26)年に薬事法が改正され、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)となりました。このときに「殺菌能力」が認められているのは、消毒薬などの医薬品、市販薬や薬用石鹸などの医薬部外品のみと規定されたのです。
つまり、洗剤や漂白剤のような一般の衛生用品は医薬品でも医薬部外品でもないため、殺菌と表示できないのです。そのため、殺菌ではなく、菌を取り除く除菌という表示が使われているというワケです。
抗菌という表現もある
殺菌、除菌のほかに「抗菌」という表記も見かけたことがある人も多いでしょう。抗菌マスクが注目されているほか、一般の製品では台所用のスポンジ、便座、靴下などにも表示されています。
この抗菌、除菌や殺菌とは何が違うのでしょうか。
抗菌とは、菌の増殖を抑制することを言います。菌を減らすのではなく、菌が住みにくい環境をあらかじめつくり、増えないようにするのです。だから抗菌便座と言いつつも、もちろんゼロではなく、べらぼうに増えないよというだけです。
Ⓒオモシロなんでも雑学編集部
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