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ジュラシック・パーク3の主役スピノサウルスは水中恐竜だった!【ニュースネタ】


今日は用意していたネタがありましたが、注目のニュースが飛び込んでまいりましたので、急遽変更です。

そのニュースとはコチラ▼



ニュースを要約すると、スピノサウルスの尻尾が縦に幅広い形をしていたよという発見があったYOということです。イモリの尻尾みたいな形をしていて、泳ぐのに向いていた、つまりイモリみたいに、水の中で活動するのが得意な恐竜だったことが確定したわけですね。

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ここで恐竜や映画に詳しい人は、スピノサウルスをよく思い出してみてください。
映画『ジュラシック・パーク3』で主役級の活躍で人間たちを追い詰めたスピノサウルスは、陸上を走ったりしていましたね。(後半は水から襲うシーンもありましたが)さらにはティラノサウルスとケンカしたりする場面もありました。

大きな体で陸のうえを活発に走り回る姿――最新の研究によって、この姿は映画のなかだけで、実際にはなかったということがわかったのです。

ph-1.スピノサウルス#23561153

このように、恐竜の姿や生態は研究の進展によってすぐに覆ります。そこで、今日はスピノサウルスがいままでどんな研究史を歩んでいたか、をイッキ見します。

発見は20世紀初頭

スピノサウルスが発見されたのは、1912年でした。
ドイツの古生物学者シュトローマーが、エジプトで見つけました。
見つかったのは全身のうちの一部分だけでしたが、化石を観察するに、この恐竜は背中に大きな棘をもった大型の肉食恐竜らしいということが推測されました。

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シュトローマーはこの化石をミュンヘンに持ち帰ります。スピノサウルスの化石はミュンヘンの博物館で長らく保管されていました。
しかし、なんとも残念なことに、第二次世界大戦の戦火で焼失してしまいます。残されていたのはわずかなスケッチやメモ、写真くらいで、そのほかの手がかりは化石も含め全部なくなってしまいました。

そのため、背中に棘に支えられた大きな帆がある大型肉食恐竜という朧気なイメージだけしかわからず、長い間、本当の実像は謎に包まれていたのです。
ジュラシック・パーク3で描かれていた、陸上を疾走する姿は、この朧気なイメージをもとに肉付けしていったものです。(▼博物館でもこんな感じで走りそうなイメージで展示されていました)

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21世紀に水中説が浮上

21世紀に入ると、スピノサウルスの研究が大きく進展します。
新たにモロッコで発見された化石をもとに、シカゴ大学の研究チームがデジタル技術で骨格を復元すると、新たな事実が浮かび上がってきました。

それまで考えられていたよりも後ろ足が短かったのです。
そうなると、上半身の重さを後ろ足だけで支えることが難しくなり、バランス的に陸上での二足歩行は難しいということがわかりました。つまり、ジュラシック・パーク3のような恐竜ではなかったというわけですね。

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そして研究チームは、短い後ろ足に加え、細長い体、しなやかな長い尻尾といったプロポーションから、恐竜として初めて水生に適応した種とする見方を導き出したのです。
彼らが考えたスピノサウルス像は、ほぼ水中で泳いで暮らし、歩くときは四足歩行をしたとするものです。後ろ足には水かきまであって、さらにワニのように円錐形の歯が並んだ細長い鼻づらは、魚を食べるのに特化した形だったと結論づけました。

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こうして最新のスピノサウルス像は、水中恐竜だったかも? くらいのイメージまでは進んでいたのですね。そして、今日ニュースになったイモリのような尻尾が加われば、水中を泳いで暮らしていたことはほぼ確定といえるでしょう。

急遽予定を変更して、オモなん的にエモい恐竜ニュースを補足しました。
過去の恐竜記事はコチラ▼

参考資料:

『日本の白亜紀・恐竜図鑑』宇都宮聡、川崎悟司(築地書館)
『古代生物図鑑』岩見哲夫(KKベストセラーズ)
ナショナルジオグラフィック


Ⓒオモシロなんでも雑学編集部

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