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うつになって気づいた100のこと|"繋がり"への依存


私はマッチングアプリに登録している。

うつと診断され休職が始まってから
2〜3ヶ月間は放置していたが、
最近また見るようになった。

休職していると、
他者との関わりがほぼなくなる。

人とのコミュニケーションも、
家族や親友とたまにLINEするくらいで、
極端に激減した。
独り言が増えた気がする。

自分は元に戻れるのだろうかと
だんだん心配になる。

しゃべる機能が退化して、
前のように普通に人と会話が
できなくなるのではないか。

他者との関わりの中で
うつになってしまったのに
他者との関わりがなさすぎることに
焦りと不安を感じてしまっている
なんて、皮肉な状況だと思う。

そんな状況の中で、
マッチングアプリが今の私の
唯一の、完全な他人との
コミュニケーションツールになっている。

誰かからいいねされたり、
誰かとマッチングしたり、
メッセージを交わしたりすることで
自分は誰かと繋がっていると
実感したいのだと思う。

それが本当の意味の繋がりではない
と頭では分かっている。

それでも今の私を孤独感から
解き放ってくれて、ある意味
正気を保たせてくれている。

誰かと繋がりたいと思っているのは
自分だけではないのだと思いたいのだ。

アプリを開いて、
いいねがきていると嬉しいし、
メッセージの返事がきていると安心する。

寂しい手段かも知れないけれど
そんな感情を認めざるを得ない。

「誰かと会ってみたら?」

唯一、休職のことを伝えている親友に
マッチングアプリのことを話した。
リハビリがてら、気が合いそうな人と
会って話してみてもいいのでは、
と彼女は勧めてくれた。

数週間メッセージのやりとりを
続けていた人と会うことになった。

その人とのやりとりを続けている
間はなんとなく、気持ちが極端に
沈み込んでしまうことも減っていた気がする。

初対面の時はひどく緊張した。
初めて会う人とデートをするなど
久しぶりすぎて、ちゃんと喋れない
のではと不安しかなかったけれど
意外と普通に振る舞うことができた。

相手も私を気に入ってくれたようだった。
もちろん自分が休職中の身であることは
言わなかった。

翌々日すぐにまた次のデートに誘われた。
私も喜んでそれに応じた。

さらに3回目のデートをした。
私の家の近くの素敵なカフェで
おしゃれなランチを楽しみ、
そのあとは庭園を散歩した。

自分でも不思議だったのだけれど
3回目のデートが終わって
お別れした直後、ふと我に返ったような
感覚になった。
突然ものすごい虚しさに襲われた。

楽しい時間を過ごしたはずなのに
自分は一体誰と何をやっているのか
よく分からない気持ちになり、
どっと疲労感が襲ってきた。

仕事もプライベートも充実しているOL
のテイで明るく話し続け、
終始ニコニコと振る舞っているこの人は
一体誰なのだろう。
どう考えても自分じゃない。

3回が限界だったのだろうか。
自分じゃない自分のまま、
他人と関わるのは。

その人に惹かれていたのではなく、
普通に人と会話し、
普通にデートしている自分に
満足し、安心してていただけ
なのだと急に気づいてしまった。

こんなにちゃんと人と話せて
笑い合えて、デートできてる。
なんか幸せっぽいし、
充実してるっぽい。

そんな風に自分を騙すことが
できるのは3回が限界だった。

その人のことが好きなわけではなかった。
恋愛しているっぽい自分で
いたかっただけだった。

それでも懲りないのが
自分でも恐ろしい。

その人との連絡を絶った瞬間に
虚しさと寂しさがこみ上げる。
自分はまた独りだと、
失望感だけが残る。

私は次の人を探す。
この虚しさを埋めるためだけに。
誰かと"繋がっている"自分
でいるために。

良い感じでメッセージの
やりとりが続いていた人から
突然ぱったりと返事が来なく
なることが時々ある。

何がきっかけなのか、
全くわからない。

そこに繋がりを感じていた私は
突然その糸をハサミでチョキッと
切られたような感覚になり
また孤独感に襲われる。

しばらくすると私は冷静になる。
突然連絡を絶ってきたその人の
プロフィールをぼーっと眺める。

なぜこの人が良かったんだろう?
会ったこともないのにどこに
惹かれていたんだろう。
孤独感にひきずられるほど
なぜ固執していたんだろう。

そんなときにまた実感する。
私はその人に固執していたのではなく
その人と繋がっている自分に
依存していたんだと。

自分が心から恋愛をしたいのか、
恋愛してるっぽい自分で
いたいだけなのか、
いまだによく分からない。

虚しいことだけれど、
そんな中間地点のような
ところにいることを自覚
しているだけマシなんだろうか。

私は今日もアプリをひらき、
私をひとりぼっちにしない
こっちの世界に逃げる。

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