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最高級の肩たたき券をつくる
わたしには、4歳下の弟がいる。
たまには姉っぽいことをしようと思い、久々に誕生日プレゼントを贈ることにした。
そこでまずはストレートに「欲しいもの」を本人にLINEで聞いてみる。
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そういえば、弟は昔から物欲がなかったことを思い出した。毎年贈ってればすぐ気づいたはずだけど、久々なもんですっかり忘れていた。
しかもそれは、嫁をも困らせるほどにパワーアップしていた。
しかし強引な姉、絶対NOと答える質問をぶつけて、弟とのブレストを試みる。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62129600/picture_pc_df87120953b60dd6e99225f0acb47bb3.jpeg?width=800)
さすがに30歳になる弟も、肩たたき券では困るに違いない。Amazonギフト券くらいは要求してくるはず。
![画像11](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62134319/picture_pc_42a2b0c36c343259b61c9aba9a122865.jpeg?width=800)
なんと「無期限10枚つづり」の肩たたき券を要求してきた。昔から性格も顔も似てないとは思っていたが、いよいよDNA鑑定が必要かもしれない。
欲しいものを聞かれたら即座に10個は思いつく煩悩に溢れた姉とは正反対。この子は神か仏か。どちらでもいいが、とにかく姉は完敗した。
そして誕生日当日。
我々唯一の共通点が「バイトするくらいスタバ好き」だったことを思い出し、スタバのチケットをプレゼントした。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62130481/picture_pc_09288ee42cc104c3fd54e63d7030fc1b.jpeg?width=800)
ここでまさかの、肩たたき券の催促。変な方向に欲が出てきたのか、それとも姉を試しているのか…ここで私のなかのスイッチが入った。
姉の本気を見せてやる。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62130739/picture_pc_4749d8f9c4e4ec9b0ab020a42e95f4dc.jpeg?width=800)
週末、都内某所。財布と勇気を携え、事前に予約した店に向かう。
店に入って店員のお兄さんに名前と要件を告げる。
「あの…肩たたき券つくりたいんですけど」
一瞬、時が止まる。
お店のお兄さんふたり、言葉がでない。
「えっと、ローマ字でよければ…」と、店内に併設された工房を案内してもらう。ここで革を購入すれば、刻印する機材を貸してもらえる。
すぐさま革を購入し、工房へ向かう。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62131686/picture_pc_4cac4a46bb6ec2d4594372ee47ff8cae.jpeg?width=800)
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62131891/picture_pc_489b2722125a22d3b124aaf874a59505.jpeg?width=800)
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62131925/picture_pc_afbeb2560d435e9cab2a24af9d8b7cb0.jpeg?width=800)
ふっふっふ
せっかくなので、誕生日も入れてやろう。
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62132038/picture_pc_6d6ed6646f97bbf959cb64a9cdd7d3d1.jpeg?width=800)
間違えた…
![画像10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62132076/picture_pc_1c2bf391ea0d626e4acf3e384d0c6ef9.jpeg?width=800)
2枚作っといてよかったわ。
ついでにもう一丁。
![画像11](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62132127/picture_pc_528c914063127f0a3f8a333616d208c6.jpeg?width=800)
できた。
レザー製、一生使える「肩たたき券」と「一生のお願い券」。レザーショップで仕入れた革だから、正直かなりいいやつだ。
思いがけず最高級の肩たたき券ができてしまった。これで弟にギャフンと言わせてやる。
お兄さんに「できました!」と見せたら、失笑された。大丈夫、そういうの慣れてるから。
ちゃんとトコノールも買って裏面処理したし、なんなら繰り返し使えるようにキーホルダー仕様にした。
![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/65171527/picture_pc_dead95568818f453ca14f7beb093ac3c.jpeg?width=800)
![画像13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/65268738/picture_pc_9cfd8b721b9448b88a5257fa30d842fb.jpeg?width=800)
フッフッフ…弟の驚いた顔が浮かぶぜ。たいそう驚くに違いない。なにせ、姉の渾身の一撃だもんな。感激のあまり泣いちゃったりして…妄想するだけでワクワクしちゃう。
数日後、弟から荷物受け取りの連絡が。
さあ、どう出る?! 我が弟よ!
![画像14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/65268869/picture_pc_8ccab4ebe5f9bc820b7923ed6b8402f6.jpeg?width=800)
えーーー
想像の反対側、思ったよりプレーンな反応でした。
まぁ、喜んでもらえてよかったです。
完。
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