空っぽ

鼠色の柵を越え
見知らぬ誰かに見惚れながら
空っぽの頭で駆けていく。
胸で感じる温かさは
きっと明日には冷めきって
最初の場所に戻ってしまう。
何もなかったあの頃に。
目に見える正しさと
危うい妄想の世界だけで
変わらぬ毎日に沈み混んでいた。
氷の風に背中を押され
陰鬱とした気持ちのまま
でたらめばかりの笑顔で溢れる
暗い光の煌めく街に。

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