あなたに私は絡みつく 第44話
第44話 欧介
列車の中で、綿貫さんがくれた写真雑誌を開いた。
端が黄ばんでいる。刊行されたのは数年前。付箋がついたページは、何度も開いたのかくっきりと跡がついていた。
ページをなぞりながら、何度も考えたことをもう一度考える。
いつ撮ったのだろう。
アングルからすると、律の家の二階から撮ったものだ。
撮られてたことなんか、知らなかった。
この雑誌が刊行された頃は、律は高校を卒業したばかりだ。俺は、もう、モン・サン・ミッシェルにいた。
律を忘れようと、毎日踊ることだけを考