さや

淡いもの、静かなもの、揺らぐものが好きです。

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    自作短歌とエッセイ。すべてフィクション

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    レンタルINFPとヒッチハイクをしたり、裁判傍聴をしたり、ニュージーランドで無料で暮らしていた記録

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【短歌】梅雨と仲良くなりたい

幸福が地獄の彩度を上げる夏もう生きるのは無理かもしれない 病名も地獄もハッピーエンドへと消費されないために詩を詠む 泣きながら眠る身体を干す場所も見つけられずに生臭くなる梅雨 もう人間キャンセル界隈 6月はかわいい芋虫として生きます 抱擁もショートケーキも自傷になる寄り添ってくれるのは歌だけ ぬくもりを夜ごと辿った鍾乳洞 雨が止むまで灯し続ける

    • 【短歌エッセイ】季節ごと好きな花の名を教えたが自分で買えばよかった花束

       21歳の誕生日にどうしても花束が欲しくて、お花屋さんの前を通る度に恋人にねだった。百合とかすみ草が好き。デルフィニウムは青が好き。包装紙はこっちよりこっちの方が可愛いと思う。  恋人とは大学2年生から卒業まで、約3年間付き合った。お互い家が大学の近くだったから、半同棲状態で毎日のように一緒にいた。  付き合ってすぐにコロナ禍になったのもあり、家で過ごすことが多かった。春は手を繋いで家の前の桜並木を散歩して、夏は近所の公園で花火をし、秋はハロウィンパーティーをして、クリスマ

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        いつの日か本当の私の手のひらで本当の初夏の風に触れたい 玉入れの玉を数えるスナップでいらない形容詞を投げ捨てる 振るい漉し最後に残ったものだけが愛なのかなぁ 重すぎるかな? 焦げ臭い指と火の先に祈りを見た日もあった 傷は勲章 琺瑯のバターケースと花と手紙 食卓のひかり暮らしは祈り 日常に短歌が満ちていたのなら文鎮はいらぬ 風になりたい めくるめく風がページを捲ったら世界を巡る旅をしようか 境界に触れたら音は屈折する 同じ波なら正確なのに 肩幅が広くて見ずに済ん

        • 日記

           病院の採血室で、息が苦しくて泣いてしまった。 「どうしたんですか」って聞かれたから、「注射が怖いんです」って答えた。看護師さんは優しい顔で「これから採血が必要な時は、予め先生と相談して体調が大丈夫な時にしましょうか」って言ってくれたけど、本当は注射が怖いんじゃなくて、全部が怖いんです。  毎月毎月熱を出して頭がぐるぐるすることも、寝ているうちに身体が衰えて若い時間が失われていくことも、みんながキラキラ前に進んでいるのに嫉妬することも、連絡を返せなくて約束もできなくて信頼も

        【短歌】梅雨と仲良くなりたい

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          私であるために旅をする

          「さやちゃんは、生きてるうちにどうしても叶えたいことってある?」 晴れた日の午後、お客さんの途絶えたお店で、先輩に聞かれた。 私はすこし考えて、 「空の晴れた日に、ふかふかの原っぱを裸足で歩きたいです」 と答えた。 「すごくさやちゃんらしいね。 でもそれって、夢っていうか、明日にでも実現できそうな気がするんだけど」 「すごく簡単なことに聞こえるかもしれないせど、私にとってはとても難しいことなんです。 せっかくだから写真取ってSNSにあげなきゃとか、明日も仕事だな、と

          私であるために旅をする

          ニュージーランドでの暮らし

          7月1日から約3週間、WWOOFという農業ボランティア制度を利用して、ニュージーランドの山奥のリトリート施設で暮らしていました。 航空券を予約した時の貯金は5万円。 一人旅も海外経験もなし、お金もない、英語も中学生レベル。 本当にやっていけるのかという不安と、根拠の無い自信だけを持って飛び込んだ海外だったけど、優しい人たちとたくさんの幸運のおかげで、とっても楽しい時間を過ごすことができました! ニュージーランドで過ごした日々の記録、よかったら読んでみてください! 7

          ニュージーランドでの暮らし

          推しの裁判オフ会のため、レンタル女子大生とヒッチハイクをした話➁

          前回の記事:推しの裁判オフ会のため、レンタル女子大生とヒッチハイクをした話➀ いざ裁判へ京都でヒッチハイクを終え、レンタルした彼女と解散し、翌日。 念願の裁判オフ会に参加すべく、大阪へと向かった。 中の島公園の高架下でピクニックをしているとのことだったので、自分たちの分の昼食を買ってドキドキしながら向かう。 高架下に行くと……スピーカーで音楽を流しながら、ブルーシートの上でピクニックをしている人たちが見える。 下は20代から上は初老の人まで、国籍問わず20人程度の男女が

          推しの裁判オフ会のため、レンタル女子大生とヒッチハイクをした話➁

          推しの裁判オフ会のため、レンタル女子大生とヒッチハイクをした話➀

          今年の3月に大学を卒業し、4月から住み込みバイトを始めるはずだったが、色々な手違いが重なりしばらくの間住所不定無職になってしまった。 せっかくできた空白の時間を充実させるべく、ヒッチハイクで推しに会いに行ってきたので体験を記録したい。 アヤワスカ茶会裁判2020年3月3日、青井硝子(あおいがらす)を名乗る男性が麻薬及び向精神薬取締法違反の容疑で逮捕された。 自作した幻覚剤入りのお茶をハーブティーと称して販売していた彼は、お茶には鬱の治療効果があり、自身の行為は苦しむ人々

          推しの裁判オフ会のため、レンタル女子大生とヒッチハイクをした話➀

          goodfellas TOKYO #12

          代官山debrisで開催された『goodfellas TOKYO #12』があまりにもあまりにもあまりにも良かったので、興奮が冷めないうちに感想を記録しておきたい。 ※音楽にまったく詳しくないので所々間違ってるところはあると思うけど、気づいたら優しく指摘してください。 隠し扉の先にあるミュージックバー『Débris 代官山』 本棚に見せかけた隠し扉を開けると、8畳ほどの空間が広がる。 普段は『P.B Restaurant』という中華粥と薬膳カクテルを楽しめる隠れ家バーで

          goodfellas TOKYO #12