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図書レポ:『流学日記』岩本悠

本の感想、印象深い箇所、セリフはよく日記やルーズリーフに書いておくのですが、あとあと見る時にnoteのほうが便利かなーと思ったのでこちらに書いてみます。

『僕たちは島で、未来を見ることにした』という本の中で、『流学日記』の著者、岩本悠が”すさまじいバイタリティーをもつ奴”と紹介されていて、どんな奴なんだ...?と気になって買った本。

大学を休学し20の国を流れたハタチの学生。

体験記だからこそリアルだというのもあるが、まだ社会を知らない20歳の行ってしまえば“ガキ”の純粋さ、素直さといいますか、五感をフルに使って体験したことを思ったままに紙の上で吐き出しているところに、目をつぶったら情景が浮かんでくるような臨場感がある。正直内容は濃くないし、ここから何かを学んだかといえばそうではない。ただ彼みたいなまっすぐな視点を見失ってはいけないなと思うし、旅行者の心持マニュアルとしていいかもしれない。


印象に残った部分

① まず彼のポリシーについて。「ヨルダンにいるのだからインディージョーンズのロケ地を見ないと後悔するよ。」とほかの旅行者に言われたが彼は行かなかった。「自分が一番やりたいことをやる。だから、ここでしかできないことかどうかは別に関係ない。」「自分が一番やりたいことを追い続けている人生に後悔なんてあるわけない」と。「今しかできない今を思うがままに生きていく。その選択に失敗はあっても間違いはない。」


② ポレポレという概念。ぽれぽれというのは、スワヒリ語でゆっくりゆっくり、といった意味。いわゆる「ガンバレ」の対義語。彼はアフリカに行ったときにぽれぽれの時間を体感する。だれもセカセカ歩かない。昼間っから何時間も友達とおしゃべりする。時間通りに来ないのは当たり前。自然の中では将来はいつだって不確かで何が起きるかわからない。だから彼らは過去も未来も見ない。彼らは<今>を生きている。おもしろいときには全力で笑い転げ、うれしいときにはうたって踊りだす、悲しいときには大声で泣く。時間や年齢といった概念もない。このシンプルさの中に生の力強さが、そして生きることの原点がある。と彼は記した。

わたしは実際にこの「ぽれぽれ」ってやつを実感したことはないけれどなんとなくだが、この世界観が分かる。と、同時にこのポレポレを感じに、めちゃくちゃアフリカに行きたくなった。

ただ一概にぽれぽれが良くて、ガンバレがダメとは言えない。私たちの世の中をこんなに便利にしたのは間違いなく「ガンバレ」の精神のほうだろう。でもこの便利さがよかったとも、また一概には言えない。いいことの裏には必ず悪いことがある。また、便利さにいったん慣れてしまうと後に後退することはとても難しくなる。岩本君(と勝手に呼んでいる)も本の中で、人の幸せって発展・開発とは違うところにあるんじゃあないかと語っていた。

ぽれぽれとガンバレの中間くらいがきっとちょうどいい。


③クリスマスイブに彼女に会いにアフリカからニュージーランドまで行ったのに彼女に別の彼氏ができていた話。自分にはもう失うものがないと思い彼は力尽くまで沖へ泳いだ。そして命がけで岸へ戻った。(この後彼は、海で泳ぐと自分の限界に達したときに死ぬと気付いて、足が壊れるまで走って自分の限界に挑戦した。)

なぜ彼はこんなことをしたのか。ドラゴンボールのゴクウに言及した。ゴクウは全力を出せる場を求めていた。だからみずから戦いに挑んでいったし修羅場に突っ込んでいった。強い相手にぼこぼこにされて痙攣した状態でもどこかゴクウはうれしそうにしていた。なぜなら全力を出せたから。全力を振り絞ったとき「生きている実感」があるからである。

この「生きている実感」って日常生活ではなかなか沸きづらい。私が生きている実感を感じるのは自分の力でなにかに登るときだ。鍵がなくて2階によじ登ったり、木や自然の岩肌を登るのが大好きだ。落ちたら大けがをするかもしれない、下手したら死ぬかもしれない。だけど無償にワクワクして集中力がみなぎってくるのだ。うまく話がまとまってないが、人間たまには生きていることを実感する時間が必要と思う。


④幸せの探求。幸せって目に見えるモノじゃなくて、感じる何か。彼は幸せを感じる都度、その根底を探っているといつも最後にたどり着くのが、<生きている実感>と<感謝>。そしてまた彼は自分が人にどんな形で幸せを提供できるか考えた。

・その人の心に触れるモノを提供する

・自分で自分の幸せをつかみ取っていける力を育てる=教育

モノの見方って人から人へ伝染していく。日常の一つ一つに気が付いて感謝、感動できる感性って人に教えられてできるものじゃない。自らが進んでそういった心構えを実践していく。自分が幸せなありかたで毎日生きていく。そうすれば自分の周りもハッピーになれる。


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ピラミッドに登ってみたり、ヤギを生きている状態、0から調理したり、死を待つ人の家でマッサージをしてあげたり。同い年の時に信じられないような体験をいっぱいしていている彼がうらやましいと思った。「じゃあお前もやってみろよー」という声が聞こえてくるけども、また別の何かがそれに反対していっろんな言い訳をしている。

この前友達が、「~しよう!と100人が思ったとして、それを実行するための準備を何らかの形でやる人が25人、でも実際にそれを実行するのは、そのうちのたったの5人」と話していたのを思い出した、、、


なにはともあれ、とにかく旅行したいです。


「ひとはなぜ旅をするのか。」

留学に行って何か国へも旅するうちに出てきた問いで、ひどく私の頭を悩ませた問い。この本を読んで思った答えは、世界中のいろいろな生き方をしている幸せな人に会いたい。貧しくても、たとえ寿命が日本みたいに長くない国でも、たとえ便利じゃなくても、それでも幸せに毎日笑って生きている人たちを見たいな。


本日のヘッダーはスイス、首都ベルンより。


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