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ロックダウン忘備録

2020年3月17日に第1回目のロックダウンが実施されてから、あっという間に1年が経ちました。ただいまパリ及びフランス全土で第3回目のロックダウンが行われています。

この1年、驚くほど早く過ぎ去って行きました。

はて、私は何をしていたんだろう?ロックダウン以降の生活ってどんな感じだったんだっけ?全然思い出せません。1年という時間がすっぽり抜け落ちてしまったようです。このまま時間が蒸発し消えてしまう前に、在仏日本大使館から送られてくるメールをもとに、ロックダウン&夜間外出規制状況の推移と合わせて、この1年を振り返っておくことにします。


2020年3月17日 第1回目のロックダウン。全ての活動が停止。スーパーマーケットや薬局など、限られた生活必需品を販売するお店以外休業。街ががらんとしています。近所のスーパーに向かう途中でひったくりを見て、ウィルスよりも人気のない街が怖くなりました。

動物が街にやってきている映像を見たり、公害が少なくなって空が澄んでいるのを眺めたり。お家の中で卓球したり、本を読んだり、延々とネットフリックスを見たり。こんなに自由な時間があったことも、こんなにお家から出ないことも初めてで、そしてときはフランスだけでなく全世界が停止していて、不思議な時間でした。撮影の仕事は一切なし。パートナーと楽しく過ごしていて、嫌な思いをした記憶は特にありません。

外出するときには外出許可証を自分で記入するのが新しい社会のルール。検問されたときにこれを持っていないと罰金です。初回の罰金が135ユーロ。その後違反を重ねるか、支払いが遅れると罰金額が上がっていく仕組みです。理不尽な理由で違反とされた人たちがいることがニュースになっていて、外に出るときヒヤヒヤしました。マスクの未着用も同じく135ユーロの罰金。マスクで鼻を覆っていなくて罰金になった人がいたと聞いたことがあります。


2020年5月11日 ロックダウン解除。自宅から100km以上の移動は原則禁止、飲食店は閉店など、まだまだ以前の状態とは言えないけれど、撮影の仕事が再開されました。ロックダウン中は政府から最低限の手当てがもらえていましたし、ロックダウン解除後も補助金の支給は続きましたが、それでも外に出て人に会って働けるのを嬉しく、かつ新鮮に感じました。


2020年6月2日より移動制限解除。パリではテラス席のみ、レストランやカフェの営業を許可。予定していたもののできるのかどうか悩んでいた結婚式を、やっぱり9月にやろう!と決めて準備を始めました。


2020年6月15日より飲食店の営業再開。そうか、初夏のこの頃はまだ外食できたんだなあ。お仕事は順調。夏にはパートナーのお母さんが住んでいる山のお家に行って結婚式の準備で忙しく過ごしました。この頃は今よりも感染の状況は穏やかだったのでしょう。参加者は30人までという人数制限がありましたが、9月には無事に結婚式ができました。大変な状況の中、母と友人が日本から駆けつけてくれて嬉しかったです。


2020年10月30日から第2回目のロックダウン。ただし今回は第1回目のロックダウンとは異なり、テレワークが不可能な多くの職種で就労証明証があれば仕事のために外出可能。撮影の仕事はいつもより忙しいくらいで、経済的に助かりました。

1回目のロックダウンのときには、検問するところを見たけれど、2回目のロックダウン以降は検問されたこともなければ検問されているところを見たこともなく、周りに聞いても検問されたことがある人の方が少ないくらいです。1度目に比べるとちょっと拍子抜けなロックダウン。飲食店はもちろん、ほとんどのお店が休業している以外は、街に人もいるし、仕事もある。


2020年12月15日よりロックダウンから夜間外出禁止に変更。20時から6時まで外出禁止。この頃はまだ海外旅行もできて、1ヶ月日本に一時帰国しました。日本はどこでもお茶できて、外食できて、国内旅行もできて、本当に楽しかった。カフェでお茶できる時間っていうのがこんなにも尊いものだったとは。普通の生活ができなくなってわかることがあるものですね。


2021年1月1日より一部地域で外出禁止時間を18時から6時に変更。

2021年1月2日、10日から段階的に追加地域にて夜間外出禁止時間を18時から6時に変更。


2021年1月16日よりフランス全土で夜間外出規制を18時から6時までに変更。20時以降外出禁止の頃は時間に余裕もあったけれど、18時に変更になって帰宅ラッシュや買い物ラッシュが酷くなります。メトロには溢れる人、人、人。スーパーでは17時頃から長蛇の列。逆効果なんじゃないかと思われます。

まだまだ寒い季節。週末にお散歩しても、ちょっとカフェで一息、お昼はレストランでランチ、なんて時間が持てないことがこんなにも精神的ダメージになるとは思ってもいませんでした。パリが好きなのって、カフェでお茶したり馴染みのレストランの人とお喋りしたり、そんな時間があるからだったのかもしれません。


2021年1月31日より国境管理、渡航制限

2021年3月6日より一部の地域において週末の外出禁止


2021年3月20日から夜間外出禁止時間が19時から6時に変更。感染が拡大しているパリのあるイルドフランス県を含む16県で”緩め”のロックダウン開始。今回のロックダウンでは時間制限なしで夜19時まで自宅から10km以内外出可能。新しい外出証明書がわかりにくく、のちに日中は外出証明書なしで10kmまで、時間制限なしで移動可能、ただし住所証明書類を携行のこと、と改められる。以前はお散歩は1時間、自宅から5kmまでだったので、今回は随分自由に行動できます。気候が良くなり街中に人が溢れていて、本当にロックダウンしているのか?意味があるのかあまりわかりません。仕事の状況は変わらず、テレワークが不可能な撮影の仕事はいつも通り。


2021年3月26日からさらに19県で緩めのロックダウン。時間制限なしで19時まで10km以内外出可能。この時点で日によっては1日に4万5千人以上の新規感染者数を記録。

2021年4月3日からフランス全土でロックダウンへ。相変わらず時間制限なしで19時まで10km以内外出可能。学校は春休みにして3週間休校など。


こうして振り返ってみると、去年の6月から10月は比較的”普通”の日常生活を送れていたというのが嘘のように懐かしく、もう遠い思い出の日々。

第1回目のロックダウンは仕事がないのが新鮮で、面白くもあったけれど、1年も経つとこの状況に良くも悪くも慣れてきました。これだけ外出規制や夜間外出規制が続くと少しづつ疲れてきている気がします。いつもなら映画を観に行ったり、美術館に行ったり、お酒を飲みに行ったり、旅行をしたり。当たり前のようにしていたことで、ストレスが発散できていたんだなと今になるとわかります。


何がしたいって、ただただ、外食がしたいです。毎日お家のご飯、すごく美味しいのだけど、時間がないときにUber eats頼めるのもありがたいんだけど、パートナーやお友達と外で会ってレストランでご飯が食べたいです。カフェでケーキを食べながらお茶を飲んで、ぼーっとしたいです。そんなしょうもないこと、贅沢な悩み、コロナのせいで苦労してるひとのことも考えなよって言われるかもしれないけれど、だけど私には、そんなちっさな楽しみが日常を作ってくれていたんだなあと、いまはしみじみと感じるのです。


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