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ふたりでつくる新しい暮らし

歴史的大寒波が来ていた1月の末。雪国へとお引越ししました。
こちらに着いてようやく10日ほど経ったところです。

初めて不動産屋さんと一緒に賃貸契約を結んだり、これまた生まれて初めて車に関する手続きをしたり、役所に何度も足を運んだり、ご近所さんにご挨拶したりと、毎日慌ただしく過ごしています。そして空っぽのお家を居心地よくするため、あちこち買い出しへ飛び回っています。


フランスから家具や電化製品は持ってこなかったので、お洋服と本以外はほとんど持ち物がありません。でも子どもの頃に買ってもらった勉強机と椅子は気に入っていたので、中古で買った小さなスズキのラパンに詰め込んで実家から運んできました。とてもシックな勉強机です。
我が家はお金を散財するタイプだったので財産は一切残っていないのだけど、家具やお洋服はこだわって長く使える質の良いものを買ってくれていました。
長野のお家にはまだ食卓がないのですが、お陰で毎朝洒落た勉強机でお茶を飲んでいます。

パリに住んでいたころは家具付きのアパートだったり、友達のアパートの又貸しだったり、短期でアトリエを借りたりと、仮住まいから仮住まいへの引越し生活だったため、自分たちで家具を揃えて腰を落ち着けて住むということがありませんでした。

これからは、しばらく長野で暮らしていく予定です。だから心地良く住みたいし、好きなものをきちんと選んで暮らしたいです。


いまは文字通り一から全てを揃えて行っているところです。毎日、古道具屋さんやリサイクルショップ、ホームセンターを巡って、掘り出し物を探しています。


昨日は小洒落た古道具屋さんに行って素敵なものを見繕って来ました。

たとえば机の脚。食卓になるのにちょうど良い大きさの古びた鉄の脚があったので買ってきました。パートナーにダイニングテーブルをつくってもらおうと、部品を探していたのです。座面のない古びた椅子の脚もあったのでこちらも買っておきました。
木材と鉄の組み合わせが好きなので、明日は隣町の木材屋さんで板を調達できないか調査しに行く予定です。

足りないものは買ったりつくったり、少しづつお気に入りを揃えて行けたらいいなと思っています。

でも時間をかけている暇もなく、すぐに必要なものもあります。
たとえば寒さ。築年数不明の古い木造の一軒家は隙間風が吹いていて、とっても冷え込みます。朝起きてガスストーブをつけてみると室内温度は1度と表示されていました。家を暖かくすることが急務の課題です。

まずはカーテンをたくさん買って2枚重ねにしてみます。
今日は工具屋さんで断熱材を調達してきました。
初めて灯油の配達もお願いしました。庭のタンクに90リットル投入されて一安心。石油ストーブをメインに使っているので、灯油がなくては命取りなのです。それに加えてガスも電気も使っているから光熱費の請求が恐ろしいけれど、寒いのは耐えられません。節約は夏に頑張ろうと心に決めます。
田舎の古いお家なので家賃は安いけど、その分住み心地を良くするためには初期投資と工夫が必要なのだなあと学んでいるところです。


住みやすいお家にするために、やることはたくさんあって、ほしいものもいっぱいあります。もちろん予算も考えなくてはいけません。

冷蔵庫は中古でも良いけれど、石油ストーブはなるべく新しくて防臭効果の高いものが良いな。洗濯機はとりあえず近所のコインランドリーで良いや。でもヤカンは琺瑯で鮮やかな色のものがほしい。電子レンジは好きじゃないからいらないけれど、オーブンは必須。テレビは見ないから買わなくても大丈夫。その代わりプロジェクターがほしい、でもこれは最優先事項ではないな、とか。

なにが必要で、どこはこだわって、要らないものはなにか、考えながらお買い物をしています。お買い物をしていると、パートナーとこだわりの方向性が近くて良かったなあと感じることが多々あります。

電球は絶対に暖色が良いとか、棚はベージュかグレーかどっちが良いかとか、ここは我慢できるけれど、そこは絶対にこだわりたいというところが近くて、それに趣味の方向性も合う。これって本当に有難いことだなと思います。

学生時代に友だちと、どういう人がタイプか、どんな人が良いかという話をしている時に、ジーパンの趣味が合わない人は絶対に無理!と言ったら笑われたことがあったのを思い出しました。
でもその判断基準は間違っていなかったなと思います。顔や性格も大事だけど、ジーパンも大事だと思います。

ジーパンってベーシックな普段着ですがデザインの幅が広く、色合いや年代ひとつとっても全く異なる印象を与えるアイテムです。その数多ある選択肢の中から毎日でも履く一本になにを選ぶか、意識的にしろ無意識にしろ、そこには各人の趣味が如実に反映されるはずです。
だから、嫌だなあと感じるジーパンを選ぶ人と、一緒に住む家の椅子を選ぶのはお互いに全然楽しくないだろうし、上手く行かないだろうなと考えていたのでした。

いまふたりで新しい暮らしをつくっています。生活環境を整えるためには選ぶべきものがたくさんあって、それに私たちは多分お互いに偏った強いこだわりがある方です。それでもストレスもなくふたりで一緒に選択をできているって、なんと素敵でラッキーなことなのでしょう。そんなことに電気屋さんの電球コーナーで気がついた今日の午後でした。


必要なもの、ほしいものを探し回ってあっちこっちへ移動してなかなか家の整理は進まないけれど、ダイニングになる予定のお部屋には天板のないテーブルと座面のない椅子の脚だけが鎮座しているけれど、それでも自分たちの手で新しい暮らしをつくっていっているという実感があって、面白い毎日を過ごしています。


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