見出し画像

ECモールとは|種類や開設メリット・デメリットを解説

近年、ECモール(オンラインショッピングモール)は、消費者と企業をつなぐ重要なプラットフォームとして急成長を遂げています。

Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの大手から、特定のニッチ市場に特化したECモールまで、さまざまな選択肢が広がっています。ユーザーは、簡単に商品を比較・購入できる利便性を享受すると同時に、企業側も新たな販路として活用することができます。

本記事では、ECモールのメリット・デメリットや利用方法、成功するためのポイントについて詳しく解説します。

ECモールとは

ECモールとは、複数の企業やショップが一つのプラットフォームに集まり、商品やサービスを販売するオンラインショッピングモールのことです。いわば「大型ショッピングモールのWeb版」のようなイメージです。

ECモールの代表的なサービスとしては、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどがあります。

ECモールは「集客力の高さ」が特徴で、検索にヒットすれば出店して間もないタイミングでも集客が可能です。ECモール自体の集客力があるため、SEO対策やWeb広告、SNSマーケティングなど、時間やコストがかかる施策をほとんど行わずともユーザーは商品を見つけてくれます。

しかし、ECモール内での広告があるため、ページにTOPに商品を表示させたい場合はある程度のコストがかかります。

また、自社ECサイトを構築せずとも、出店申請をするだけで「簡単にECサイトを作れる」ことが特徴です。サーバーの準備、独自ドメインの取得、デザインやコーディングが不要で手間がかかりません。

ただし、ECモール内で他のブランドや店舗と比較されるため、「価格競争になりやすい」ことには注意が必要です。そのため、なるべく価格競争にならないように、自社のブランド力を高めることが重要です。ECモールでは、デザインや機能に制限がある中で、ブランドの特色を出す工夫が求められます。

ECモールの種類

今回は主要なECモールの種類である以下4つを紹介します。

  • マーケットプレイス型ECモール

  • テナント型ECモール

  • 統合管理型ECモール

  • カテゴリースペシフィックECモール

マーケットプレイス型ECモール

マーケットプレイス型ECモールは、利用事業者がモール内に簡単な出品者・商品情報のみを登録するだけで販売できるECモールです。

マーケットプレイス型ECモールでは、事業者はブランドごとに「出店」するのではなく、商品を「出品」します。商品情報の設定だけすれば出品できるため、初期設定に時間がかかりません。手軽にEC販売を始めたい人に向いています。Amazonが代表例です。

利用ユーザーの体験としては、ブランド単位でサイトを訪問するのではなく、商品を検索して商品ごとに詳細を見る流れになります。そのため、ブランドやショップの独自性が伝わるよりも、商品の魅力や特徴が届きやすい販売プラットフォームといえます。

テナント型ECモール

テナント型ECモールは、モール内にブランド単体でショップページを作成し、商品情報を登録して販売できるECモールです。

テナント型ECモールでは、事業者がブランドごとにショップページを作成するため、マーケットプレイス型ECモールよりもオリジナリティを出してブランディングしやすい傾向にあります。楽天市場やYahoo!ショッピングが代表例です。

利用ユーザーの体験としては、大型のショッピングモールに訪れたように、ショップごとにページを閲覧して商品を購入できるような流れになります。

統合管理型ECモール

統合管理型ECモールは、複数の自社ブランドをECモール化したもので、ECモールを自社で構築する形式です。複数のブランドを統合管理することができるモールサイトのことを指しています。

例えば、ターゲット層の異なるブランドA・ブランドB・ブランドCを持つ事業者の場合、それぞれのショップを一元管理して運営できるのが統合管理型ECモールです。

事業者にとって複数のブランドを一つのモール内で管理できることは、構築には時間や工数がかかりますが、商品在庫や顧客データなどの管理、モール運用がしやすくなります。また、相互の顧客を回遊させ集客力を強化することができるようになります。さらに、サイトのデザインを統一させて競合他社と差別化を図るなど、ブランディングにも役立ちます。

カテゴリースペシフィックECモール

カテゴリースペシフィックECモールは、特定の商品カテゴリに特化したECモールです。

例えば、家電製品に特化したモールやファッションアイテムに特化したモールなどがあります。有名な例としては、BUYMAがあります。

このタイプのECモールは、特定の商品に関心がある顧客に対してより専門的な選択肢や情報を提供することができます。

ECモールのメリット・デメリット

ここまでECモールの基本的な知識や情報を紹介してきました。実際にECモールに出店するとどのような効果があるのか知りたい方も多いかと思います。

ECモール出店のメリット、デメリットをそれぞれ紹介していきます。

ECモールのメリット

メリット1:モール経由での集客を狙える

ECモールの最大のメリットといえば、集客力の高さです。前述したように、ECモールはいわば「大型ショッピングモールのWeb版」です。

そのため、具体的にこの商品がほしいというユーザー層だけでなく、ふらっと立ち寄るユーザー層も取り込みやすいです。また、ユーザーが欲しい商品名を検索したときに、検索結果の上位にECモールが表示されることも多く、自然と商品ページに流入させることができます。

このように自社ECサイト単体で集客するよりもユーザーを集める経路が多く、ブランドの知名度が低くても集客しやすいのがECモールの特徴でありメリットです。

メリット2:モールのブランド力を活かせる

ECモールに出店することで、一定の信頼性や安心感を与えられるのも大きなメリットの一つです。ユーザーはネットショッピングをする際、実際に商品を手に取ったり、対面で接客を受けたりすることができません。

そのため、「商品の品質に問題がないか」や「このお店で買っても大丈夫か」といった不安がどうしても出やすいです。

しかし、Amazonや楽天市場など、すでに多くのユーザーに馴染みのあるECモールなら、そのような不安を払拭しやすいです。

また、過去に入力した個人情報(カードや住所など)をユーザーはそのまま使えるため、初回購入のハードルをクリアすれば、2回目購入以降に対するハードルを一段下げられるというメリットもあります。

メリット3:専門知識がなくても始めやすい

ECモールなら、専門的な知識やスキルがなくても簡単に出店ができます。

モール側が出店方法のマニュアル化を徹底しているため、手順のとおりに進めればスムーズに出店ができ、基本的に特別なソフトウェアのインストールやサーバーの用意も必要ありません。

また、困ったことがあれば問い合わせができるサポート体制も整っています。このようにECモールで出店するハードルは低く、時間や手間などのコストも抑えやすいという特徴があります。

ECモールのデメリット

デメリット1:競合が多いため価格競争になりやすい

ブランドの独自性を出すことが難しいため、競合商品との差別化が難しくなり、結果的に価格競争に陥りやすいのがデメリットです。

ECモール内には数多くの商品が出品されているため、必然と価格が安い商品が選ばれやすくなります。また、独自のキャンペーンや値引きなどを実施する場合も、ECモールの方針の中で行うことになるため、効果的に打ち出すことが難しいといえるでしょう。

価格を下げることで販売数が伸びる可能性はありますが、その分利益率が下がってしまいます。利益率を担保できる価格で、競合よりも選ばれるような商品価値やショップページを打ち出していくことが求められます。

上記のような理由から、ECモールに出品せずに自社ECサイトのみで運用しているブランドもあります。ユニクロやヨドバシカメラ、無印良品、ニトリなどが挙げられます。

デメリット2:カスタマイズしづらく独自性が出しにくい

ECモールは数多くのショップを管理する都合上、使える機能やデザインなどを大幅に制限されます。また、運用する際には各モールの規則に従わなければなりません。

そのため、自由に機能を追加したり、サイトをカスタマイズしたりするのが難しく、思うように施策を実行できないことが多いです。

また、店舗ページのデザインは基本的にテンプレートで統一されているため、競合と差別化がしにくいというデメリットもあります。

そのため、ECモールで買い物をするユーザーからすると、「このお店で買った」というよりも「Amazonで買った」のような認識の方がどうしても強くなりやすいです。

つまり、自社のネットショップとしての存在感をアピールしづらく、一つの独立した店舗として独自性を出し、ブランディングを成功させるのは非常に難しいです。

このようなことから、ECモールには自社のファンやリピーターを増やしにくく、結果的に売上が頭打ちになりやすいというデメリットがあります。

デメリット3:顧客データの取得・分析がしづらい

ECモールから得られるデータは、売上高や売上件数、アクセス数、ECモール内のランキングなど、最低限かつ基本的な情報に限られます。

そのため、ページの滞在時間や離脱ポイント、離脱後の遷移先など、PDCAを回すために必要な詳しいデータやレポートを得ることが難しいです。

つまり、どこに改善点があり、どのような施策を打つべきかを分析する材料が少ないため、効率的・効果的な運用がしにくくなります。

また、ECモール上で獲得した顧客情報は、あくまでECモールが所有することとなります。

デメリット4:ランニングコストがかかる

ECモールには出店料や月額システム料をはじめ、売上に応じて変動する販売手数料などが設定されています。そのため、ランニングコストの負担が大きく、利益率も高いとはいえません。

ECモールに出店していたものの、最終的には自社でのECサイト運営に切り替えたり、ECモールと併用したりするケースも多いです。

2024年ECモール流通総額ランキングTop6

数あるECモールの中でも国内で主要なのが以下で説明する6社のサービスです。主要ECモール6社について流通総額順にまとめました。

  1. Amazon(6兆7,937億円)※1

  2. 楽天市場(5兆6,301億円)※2

  3. Yahoo!ショッピング(1兆7,547億円)※3

  4. ZOZOTOWN (5,399億円) ※1

  5. auPAYマーケット (3,155億円) ※1

  6. Qoo10(2,305億円)※1

※1:推定数値
※2:楽天トラベルを含む
※3:LINEショッピング等含む
※参考元:https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/82303(2023年9月12日更新記事)

ECモールで成功するための4つのポイント

ECモールで成功するためには、いくつかの重要なポイントがあります。

自社商品と相性がいいモールを選ぶ

ECモールごとにターゲットとする顧客層や商品カテゴリが異なるため自社の商品がECモールの特徴やユーザーのニーズに合致するかを判断しましょう。

例えば、ファッションであればZOZOTOWN、コスメであればQoo10、PC周りのガジェットであればAmazonなど、相性の良いECモールに出店することで、効率的に購買意欲の高い顧客にアプローチができます。

商品画像を魅力的にする

ユーザーが商品を検索後、一覧ページには他社が出品している同じ商品が一覧で表示されるため、1枚目の商品画像は特にこだわる必要があります。

例えば、送料無料やカラーバリエーション、ランキング1位など、画像内にキャッチコピーを入れるといいでしょう。

また、商品画像は鮮明で高品質なものを使用し、商品の特徴や利点を魅力的に伝えることが重要です。適切な角度や光の使い方、商品のスケール感を伝えるための参考アイテムの追加など、魅力的な商品画像を作成しましょう。

トレンドを把握する

ECモールでは、トレンドを把握し、顧客のニーズや市場の動向に敏感であることが重要です。ファッションやインテリア雑貨、テクノロジーなど、各業界でのトレンドを把握し、それに合わせた商品展開やプロモーションを実施することをおすすめします。

トレンドに沿った商品を提供することで顧客の関心を持ち、商品購入へとつながります。

レビューを充実させる

ECモールでは、商品のレビューが購買決定に大きな影響を与えます。顧客の口コミや評価は信頼性が高く、購買意欲を高める要素となります。

レビュー投稿者にはクーポンを配布するなど、商品の品質や特徴に関するポジティブなレビューを集めるために顧客にレビューの投稿を促す仕組みを作りましょう。

まとめ

ECモールは、消費者と企業をつなぐ重要なプラットフォームとして急成長しており、Amazonや楽天市場などの大手からニッチ市場向けのものまで様々な選択肢があります。

企業にとって、集客力や出店の簡便さが魅力ですが、価格競争や独自性を出しにくい点がデメリットです。

成功するには、商品に合ったECモール選びや魅力的な商品画像、トレンドを把握すること、レビューの活用が重要です。

これらを踏まえて運営することで、効果的な販売が可能となります。

いいなと思ったら応援しよう!