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台風の夜に

数年前の出来事です。

台風4号が目前に迫るなか、もくもくと店舗の台風対策に励む男、YUKI 31歳(当時)。

朝から店の営業と平行しながら幟旗、看板の撤去、台風対策用品の売場作り、強風で吹き飛ばされそうな商品の移動等々…諸々の作業に追われていました。

そんななか悲劇は突然訪れたのです…。

営業時間も終盤に差し迫った午後6時半頃、私は外の売場で片付けをしていました。

台風対策も残りわずかというところで、屋外に展示してあるプールの片付けに取り掛かることにしました。

全部で6つ展示してあるプールにはそれぞれに満杯に水が張られていたため、まずはその水をプールの外に出すべくプールの前にかがみこんだ私。

力と勢いに任せて一気にプールごとひっくり返そうとしたそのときでした…。

(>Д<;)!!!?

それまでに経験したことの無い激痛が腰に走ったのです!∑(゜ロ゜;

このときの様子をひらがな一文字で表現するならば…

「ぬ!!!!!!!!!!!」

電流が走ったようなその感覚は、そう!噂に聞く『ぎっくり腰』なのでした!

思わぬ痛みと衝撃にその場にへたりこむへなちょこな私。

そんな私の非常事態に全く気づく様子もなく通りすぎていくお客様たち。

これはマズイことになったと思いつつも何とか自分を落ち着かせ、とにかく身体を起こしてみようではないか!いくぞぉー!「いち、にの、さぁーん!」と颯爽と立ち上がろうと思ったのですが…

全然言うことを聞いてくれないmy body…(・・;)

いよいよ焦りそうになる気持ちを再度落ち着かせ、しばらくその場でしゃがみこんだまま身体を休めることにしました。

その間も私の横を通りすぎていくお客様たちに我が身の緊急事態を気づかれまいと何故か目の前のプールをスリスリする私…

カッコ悪っ!!(ToT)

1分程休んだでしょうか、少しずつ身体の感覚もわかってきたのでとりあえず近くの物を少しずつつたいながら何とか身体を起こすことに成功。

「よしよし、落ち着け。とりあえず事務所まで移動しよう」

そう思い前傾姿勢で尚且つ低速歩行の私はきっと端から見ればクロマニヨン人のようだったことでしょう…

カッコ悪っ!!(ToT)(ToT)

そんなクロマニヨンな身体をどうにかこうにか事務所へ運び、椅子に腰を降ろして一呼吸し「さてさて、これからどうしたものか」と考えあぐねていました。

その間、事務所を行き交う従業員さんたちと仕事の話や他愛もない会話をかわすも幸か不幸か誰も私の身体の異変には気づかぬ様子。

自分で言うのもなんですが、店ではクレームがこようと何が起きようと顔色ひとつ変えない私のことを従業員さんたちからよくポーカーフェイスと言われたものですが、こんな時は寧ろそんなポーカーフェイスな自分を呪いたくなるもので、かといってこのカッコ悪い状況をなんと言って説明したらよいのかわからず、いっそこのまま回復してはくれないだろうかと願ってみちゃったりもしましたが、普段から神も仏も信じないと豪語する私の願いを都合よく叶えてくれる神様はいらっしゃらないようで、状態はかえって悪化していくのでした。

そうこうするうちにも時計の針はどんどんと進んで行き、さすがにこのまま事務所で腰掛けているだけの偉そうなおっちゃんではいかん!と思い、意をけっして一人の従業員さんに声をかけました。

「Kさん、ちょっと聞いていいですか…」

Kさん(以下K)「はいはい、なんでしょう?(^^)」

「この辺に大きな病院ってあります?」

K「大きな病院ですか?いや~そんなに大きいと誇れるほどの病院は無いですね~(笑)」

「あぁ…、そうなんだ…。じゃあ、夜間救急受け付けてくれるような病院はあります?」

K「ん~どうなんでしょう?私、けっこう身体強いので病院あまり詳しくないんですよね~(笑)へへ♪」

「あぁ…、そうなんだ…。それは良いことだよね…」

ダメだ、全然思いが伝わっていない!(>_<)
そう思った私は、意を決してついに切り出しました。

「えっと…、何て言うか…、私ぎっくり腰になっちゃったみたいなんだよね…」

K「へぇ…。えっ!?ぎっくり腰ですか?!えっ!?えっ!!?本当ですか!!!?」

と、ここまできて漸く事態が前進したのでした。

といっても、それから店内にいる従業員さんたちに聞いてもらったものの、救急でぎっくり腰の治療を受け付けてくれる病院のことなんて詳しく知っている人がそうそういるはずもなく、最終的には誰も病院がわかる人がおらずに、結局自分のケータイで調べることに。

冷静に考えると初めからそうするのが一番手っ取り早かったわけですが…(^^;

検索の結果、近くに救急を受け付けてくれる病院が3件あることがわかりました。

そこで、まずは一番店舗から近いN病院へTEL☎

「すみません、ぎっくり腰をやってしまい今から見ていただける病院を探しているのですが…」

N病院「ぎっくり腰ですか…。生憎今日の当直の先生は内科の先生でして…。他をあたっていただけませんでしょうか?」

「はい、わかりました…」

気を取り直して次に近いC病院へ電話📞

「すみません、今からぎっくり腰を診て頂けませんでしょうか…?」

C病院「あぁ、ぎっくり腰ですか…。それでは、先生に確認してみますので少々お待ちください」

待つこと数分後…

C病院「すみません、お待たせしました。先生に確認してみましたが、ちょっと今日は難しいようでして…」

「わかりました…(ていうか、今日は難しいってなんだよ…)」

これが所謂病院のたらい回しなのかと社会問題を我が身で痛感しつつ最後の望みであるM病院へ電話📱

ここも断られたら今夜は諦めて大人しく寝ていようと半ば諦めつつM病院へ電話を入れる私。

「あ、すみません、お尋ねします。実はぎっくり腰をやってしまいまして、今から診て頂ける病院を探しているのですが、他所はどこも断られてしまいまして、なんとかお願いできないでしょうか…」

M病院「わかりました。先生に確認しますので少々お待ちください」

再び待つこと数分…今度もやっぱりダメなのかと諦めかけていたそのときでした…

M病院「お待たせしました。今日はちょうど整形外科の先生が当直でいらっしゃいまして、他所でも断られたとのことですのでお受け致します。今からいらしてください」

なんと!

地獄でなんとか、捨てる神あれば拾う神ありとは正にこのこと!

一握りの希望を胸に一路病院へと車を走らせる私なのでした…と、長くなりそうなので続きはまた改めまして…

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