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あの恋の物語。

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あのとき私は、たしかに恋をしていた。 届くことのなかった、忘れたくない恋の記憶。
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#恋愛小説

「いい人」と「悪い人」の矛盾を抱えた彼を好きになったから、分かった。

この時期になると、毎年思い出してしまう人がいる。 社会人になりたての頃、好きだった先輩の…

明日世界が終わるとしても、愛を伝え続けたいあなたへ。

久しぶりに、彼に会った。 「友達に戻ろう。」そう決めた日から、会うのは今日が初めてだった…

これはわたしの人生で、愛に一番近い物語。

まさか。まさかこんなことが、わたしの人生に起きるなんて。 彼に渡された五千円札を握りしめ…

いつかこの「好き」に名前がつく日はくるのだろうか

好きって、愛ってなんだろう、と、六本木駅のホームで電車を待ちながら考えた。 数分前に別れ…

あなた以外の人との、人生を選んだ。身勝手なわたしから、愛の言葉を。

あなたとはきっと、これからも一緒に生きていくのだろうな、と思っていた。 それは疑いようも…

彼はまだ、あの月の名前を覚えているだろうか

『別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。 花は毎年必ず咲きます。』 川端康成の小説…

いつか終わると知ってても、私はあなたと恋をする

たどり着くところのない恋がはじまるのは、なぜかいつも秋だった。 「じゃあ、また連絡するね」 当たり前のようにそう言って手を振る彼は、冷えた身体を心ごと、優しくあたためてくれる。 次も、あるんだ。 そんなちっぽけな約束に、喜びすら感じてしまっている今の自分は、もうこの感情に抗うことができないことを、頭の片隅で知っている。 自分の中でこの気持ちを恋だと認識する前に、今日この関係を終わらせようと思っていたのに、気づいたときには、既に後戻りができないところまできていた。

あなたがくれた、世界の続き

あ。殻が、割れた。 彼と初めて目が合ったとき、咄嗟にそう思った。 割れたことに気がつくま…

思い出したり忘れたりして、明日もきっと生かされている

去年の夏から読んでいた小説を、ようやく昨日読み終えた。 SEKAI NO OWARIの藤崎彩織さんが…

最後の宵の逃避行

彼と2人きりで会うのは、今回で2回目だった。 そして、これが、たぶん最後の夜だった。 彼は…

一生忘れられないと思っていた香りも、いつかはあっけなく消える。

本当の恋の終わりは、忘れていることにも気づかなくなったときだ。 去年使っていたハンドクリ…

秋と冬の境目を歩く朝、ふたつの幸せを想う

雨の音で、目が覚めた。 窓は開いていないはずなのに、部屋の空気はひんやりとしていて、心な…

たとえ私の日常が、あなたにとっての非日常でも

もし私たちが普通の恋人同士だったら、今この瞬間って、きっと人生で一番幸せな時間なんだろう…

春の冬眠から目覚めて

今年はまだ、春の匂いがしていない。 今朝のニュースでは、「今年は暖冬で、例年よりも 桜の開花時期が一週間早く、地域によっては週末に 見頃を迎えるところもあるでしょう」と真面目そうな キャスターが伝えていた。 確かに、今年は冬というものがなくて、一瞬だけ 秋が顔を出して、冬が来るかな、来るかなと思って いたら春が来てしまった、というなんだか緩急の ない、曖昧な速度で季節が移り変わっていった。 けれど、今年に入ってわたしがまだ春の匂いを 捉えられていないのは、そのことだけが