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演劇ユニット「Hauptbahnhof」が考える、舞台のチラシ|舞台チラシリサーチ

舞台公演のチラシ。データでの情報発信が簡単な現代ではありますが、目の前の人にすぐご案内ができる紙の「チラシ」は、データでの宣伝と並行しつつ、大切な存在として残りつづけていくと思っています。
これから先、チラシは、舞台芸術の広報活動において、どのように活かしていけるのだろうーー

私は、舞台芸術業界の創客を目的として、舞台公演のチラシについて、製作/配布/アーカイブ化に関するリサーチを実施しています。

今回は、演劇ユニット「Hauptbahnhof(ハウプトバンホフ)」主宰の、金田一央紀(きんだいち おうき)さんにご回答いただいた内容を、シェアいたします。


「Hauptbahnhof」が考える、舞台のチラシ

Hauptbahnhof(ハウプトバンホフ)
2017年まで京都を拠点としていましたが、現在は東京で活動しています。 「みると元気になる」をテーマにした、やさしい登場人物たちによるテンポのいい自然な会話や、能やマイムを使い洗練された小道具の扱いが特徴です。

《チラシの製作》

ーー公演宣伝の際に「チラシ」は作成していますか
金田一
:作成しています。

ーーなぜチラシをつくっていますか
金田一
:宣伝する際、「こんな芝居なんだ」と説明ができるからです。

ーーチラシのデザインはどのように考え、どなたにお願いしていますか
金田一
:チラシのデザインをしてくださっているのは、サカイシヤスシさんです。もともとサカイシさんの絵が好きだったので、ダメもとでお願いのメールをしてみたら、快諾してくださいました。それからずっとサカイシさんにチラシ作りを毎公演お願いしています。

ーーゲームの世界に迷い込んだようなポップなデザインに、親しみやすさがあって、素敵です!

Hauptbahnhof Gleis9『回復』チラシ|表面
Hauptbahnhof Gleis9『回復』チラシ|裏面

金田一:『回復』の時はあらすじも脚本も出来上がってない段階で打ち合わせをしました。「女性二人が旅をして帰ってきて、ちょっと元気になってるみたいな、よしもとばななが書きそうなやさしい話にしたいんです」と言ったように思います。「花畑とか自然から力をもらうんじゃないかな?」みたいな話もしたかもしれません。後日「もうちょっと言葉が欲しい」とサカイシさんから連絡をいただき、その時多少台本を進めていく段階にあったので、そのメモを送りました。

Hauptbahnhof Gleis10『スケール/ショー』チラシ|表面
Hauptbahnhof Gleis10『スケール/ショー』チラシ|裏面

金田一:『スケール/ショー』の時は再演で、2本立てだったこともあって、大まかな構図「開いたら一枚の絵になるけど、真ん中で折ったらそれぞれの作品のチラシにもなるようにしたいです」と伝えて、脚本を読んでもらって、そこで思い浮かんだラフ画を描いていただきました。どこまで本の内容をチラシに盛り込むのかそのバランスが難しい、というようなことを話していたように思います。ウラ面のレイアウトも、サカイシさんにお願いしています。

《チラシの配布》

ーーチラシの印刷はどちらに、何部ほど頼んでいますか
金田一:
ネット印刷で、1万部ほど印刷しています。

ーーチラシはどこへ配布していますか
金田一:ネビュラエンタープライズに折込代行を依頼しています。また、公演に出演する俳優にも50~100部ほど渡し、さらに、仲良くしている飲食店などにも置かせてもらっています。

《ネビュラエンタープライズの折込代行サービス》
劇場で配布されるチラシ束への折込を代行するサービス(関東が中心)。
ペラ1枚のチラシサイズで、1枚あたり6.05円にて折り込むことができます。
詳細:https://seisakuplus.com/orikomi/

ーー配布後の効果については、どのように感じていますか
金田一:公演参加者が配ったり置いたりしたくなるチラシが大事なポイントだと思います。サカイシさんの作ってくださったチラシはその点とても配りやすく、お店にも貼ってもらいやすいです。「西荻窪のどの店に行ってもこのチラシあるよなー」と言われた時にはうれしかったです。
常にチラシを持ち歩いて、飲食店で知り合った方に「こんなことやっています」とチラシを渡したときに「かわいい」とか「この絵、いいね」とか「面白そうだな、行ってみようかな」と反応がもらえたときには、チラシがあってよかったと実感します。

《チラシのアーカイブ》

ーー配布後、余ったチラシはどのように管理していますか
金田一
:廃棄し、100部ほど資料として残しています。

ーー残したチラシはその後、どのような機会に活用されていますか
金田一:資料として活用する機会は特にありませんが、データで残っていたこれまでのチラシを、ポストカードにして10枚セットで販売したことがあります。

ーー舞台チラシの製作/配布/アーカイブに関して、未来に望むことをお聞かせください
金田一:ロートレックやミュシャ、横尾忠則など、沢山の画家がポスターや紙のチラシを作って今日のアートの一角を支えているように思います。チラシは劇団の歴史でもあります。1枚のチラシが数万枚に印刷されて、そのほとんどは捨てられていきます。WEB上のアーカイブをできるだけ長く存在し続けていただけると幸いです。
チラシを手に入れるためには、劇場に行ったり、演劇公演に行って折込の束を手に入れるのが初手だと思います。その中に公演だけでなくオーディション情報もあったりします。仮チラシも、文字情報だけの優れたものがあります。できるだけ沢山の公演のチラシがひとところに集まって一望できるようなサイトがあればいいなと思っています。


★演劇ユニット「Hauptbahnhof」次回の活動はーー
23年9月末に、劇場MOMO(中野)で『スケール/ショー』の2本立て公演を開催していましたが、残念ながら『ショー』はコロナの影響で延期になりました。時期は未定ですがリベンジ公演を企んでいます(金田一)
HP:https://theatre-hbf.com/
X:https://x.com/hauptbahnhof1


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舞台芸術業界の創客を目的として、舞台チラシの 製作/配布/アーカイブ化に関するリサーチを実施しています。
《対象:全国の舞台業界/印刷・デザイン業界/舞台ファンの方々》
まずは、こちらのnoteをご覧いただけると嬉しいです。

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