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皮肉、セックスと日々に

これは皮肉。私のクソみたいな毎日に対する。
今日も嗚咽を繰り返したのは、噎せ返るような人混みとその空間を包む匂い。

いや違う。

その嗚咽とかいうのはきっと、好きでもない人間に頭を抑えられて、髪を掴まれて、美味しくもない、ナニかで喉の奥を突かれたからだろう。

例えが酷すぎるな。でもそんな、汚くて苦しい毎日を生きていた。

性行為が愛情表現だなんて巫山戯てるのか。それなら何故、私は今もあの日も泣かなければならないのか。鳴かなければならないのか。
たかがそんな行為ひとつで動く人間の感情も、近付いてしまう距離も、下手な疑似恋愛も、何も楽しくなんてない。ただ虚しいだけだろう。

人間は弱い、と言うか私が弱かった。そんな私の周りに弱い人間がたまたま集まっただけなのだろう。
保てない理性、負けるのはいつだって一時の快楽。本当に欲しかったのは、望んでいたのは、この心にぽっかりあいて塞がらない寂しさをなんでもいいから埋めるための手段。
望んで抱かれておいて泣く私が本当に嫌いだ。それなら誰とも関わりたくなんてない。

要するに私はただの「セックスアンチ」だ。そしてこれはただの嫉妬であり、僻みでしかないのだ。

他人の優しさや暖かさ、愛されることの幸福感なんて知らないで済むならその方がいい。そんなものを知ってしまったから、いつまでもそれに縋って前に進めない。

正直な話をしよう。本音を言えば、君以外に抱かれたくなどない。君が他の女を好きでも、抱いていても、正直どうでもいいと思うほどに好きで、好きで、好きで仕方が無かった。とはいえ、嫉妬なんて汚い感情が腹の中煮えくり返っているのもまた事実だ。

私に向けていたはずの笑顔や、「好き」「愛してる」、手を繋いで歩いたコンビニまでの道や、私を抱きしめて眠るその幼い寝顔も、白い肌も、「おいで」と広げるその両手も、何もかもが、他の誰かに向くことを考えただけで死んでやろうと思う。

私が私を汚して、怪我して、ボロボロになっている中で、君は誰かと笑い合って、幸せなセックスをしてるのかと思うと憎くて仕方がない。

馬鹿じゃないから分かっている。一緒に居られない理由も、離れた理由も、私がしてきた酷いことも。諦めがつかない毎日の中でもがいてる。消えたいと思う。きっと私の気持ちを全て分かったうえで「今までで一番好きだった」と言った君のずるさと、それにほんの少しでも期待をした自分の醜さに、この上なく今、私は腹が立っているよ。

「セフレでいいよ」なんて言った。馬鹿なこと言った。
友人が言ったんだよ、「もう好きな人としかしたくないから、好きな人にセフレでいいなんて言ったんだろう」とか。認めたくない。認めたくないが腑に落ちた。はっきりと分かってしまったのは、今まで目を逸らしてきた自分の気持ちで。


セックスなんて大嫌いだ。たったそれだけで人の価値が決まる、セックスなんて大嫌いなんだ。ただ抱き合っていたいだけなんだ、セックスなんてしたくないんだよ。それでしか価値を計れない自分が大嫌いだ。

繋ぎ止める最終手段に「セックス」を使っていたんだ。ただ寂しさを埋める為の快楽に浸かっていたんだ。馬鹿らしいだろ。セックスなんて大嫌いだ。そんな行為で産まれてきた私自身も大嫌いだ、死ねばいい。


「最後に抱かないのは本当に大事だから」と言って別れた君には、きっと全部見透かされていたんだろう。でももし、これが最期なら、本当に死んでしまうとしたら。


私は君とセックスがしたい。

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