なにかを得るために手放す別のなにか
あるものを手放すことに決めた。
それは"モノ"というより"場所"といったほうがいいかもしれないけど、合わない場所に居続けようとするストレスが、頭痛となって、疲労となって、胃酸となって、時に悪夢となって、幾度となく私に訴えてきた。
もう潮時だろうか。
他の人にとっては「最高」と言えるような場所であっても、私にとっては最悪の、地獄のような場所。
なぜ私だけこうも馴染めないのだろうかとずっと答えの出ない問いを私自身に投げかけてきた。
「きっと、住んでいる世界が違うんだろうな」と、重い頭痛を感じながら苦い顔で何度割り切ろうとしたことか。
私に合って別の人に合わないものがあるように、別の人に合って私に合わないものがある。私にとって、その場所が後者にあたるんだろう。
もっと器用に立ち回れれば、図太く振る舞うことができれば、なにかが変わったのかもしれない。
でも、私にその力はなかった。
これは"私にはできないこと"なのだ。
もうすべてが遅すぎた。
なにかを得るためには、別のなにかを手放さなければならない。
ある時は選択式かもしれないし、またある時は支払う対価があらかじめ決まっている。
それでも、自分自身が本当に求めているものを得るためには、痛みを負わなければならない時がある。まさに、「No Pain No Gain.」だ。
心のどこかでずっとわかっていたことだった。いつかは手放さなければならないと。いつかは終わりを迎えるものだと。いつかは醒める夢なのだと。
その中にあったわずかばかりの光が私をどうにかここまでつなぎとめていた。しかし、それももう長くは持たないようだ。
人生は移ろいゆくもの。諸行無常。また気が変わる時は来るのかもしれないし、来ないかもしれないけど。
私は一度、手放す決断を下す。
今の私の、心の声にしたがって。
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