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メリットを提示しないクレクレはバッサリ断っていい


「〇〇できるんですよね? 〇〇やってください!」

「私、〇〇できないからやってくれない? 友達なんだしタダでいいよね?」


こんな具合にクレクレ言う人に心当たりはないだろうか?


これが俗にいう『クレクレ厨』と呼ばれる人たちだ。


自分たちが欲しいものは手に入って当たり前かのように振舞う一方で、相手には何の見返りも提供しないという、迷惑極まりないタイプである。


私もこれまでこのクレクレ厨に当たるタイプの人間に出くわしたことが何度もある。

自分が求めているものが手に入った瞬間、お前はもう必要ないとばかりに無視をしてきた人間もいたし、次々と当たり前のようにリクエストをする底なしの欲を持った人間もいた。


このような経験をしてきたからこそ、今の私は遠慮なく断るようになった。

直接的な表現はせずとも、このような問いを相手にぶつけている。


「これを受けて私が得られるメリットはなんですか?」


お前にとってはタダでも、私にとってはタダではない


少し前に、私はクレクレ厨にあたる人(以下、Cさん)から翻訳を頼まれた。


Cさんの名前は知っていた程度で、特に深く関わったことはなかった。

しかし、私に語学の心得があることをどこかで聞きつけたのか、Cさんは某所で突然メッセージを送ってきた。


『私が好きな作家の人が書いてるこの部分を訳してもらえないか? 以下の内容だ (中略) 難解なので時間がかかるし、お願いしようと思った。よろしく。』


そのままの文章ではないが、こんな内容だった。


このメッセージを見た時、私は「なるほど、私のことは何も考えてないわけか。なめんなよ。」と思ったのだ。



『私の好きな作家が?』

いや、悪いけどあなたがその作家を好きであろうが嫌いであろうが、知ったことじゃない。


『難解なので時間がかかるし?』

そう分かっているなら、その分相手の時間をいただくことになると考えて、相応の見返りを用意して然るべきなんじゃないのか?


『よろしく?』

相手が受けるものだと思って勝手に送ってくるな。

内容を送る前にまず確認するのが礼儀ではないのか?


内容を見ているうちに静かな怒りが沸いてきたので、思い切ってふっかけることにした。


『申し訳ないですが、私、実はフリーランスで翻訳の仕事もしてましてね。たとえ一行でも、一節であっても、かかった時間と労力に対するお代はいただきますが、それでもよろしいですか? タダでお受けしたら他のクライアントの皆さんに失礼になりますので。代金は完了した後に決めます。』


仮にこれで応じるなら意欲がそれだけ高いということになるし、それならこちらも応じて構わないと思っていた。


が、予想していた通り、相手の返答はNO。

「翻訳を仕事でしてるなんて知らなかった~」と言っていた。

タダでやってもらって当たり前とでも思っていたのだろう。


実は、本当にふっかけてよかったのかと内心思っていた。

しかし、自分に相応のメリットがないとわかった時は、今回のように思い切って篩にかけるか断ると逆に自分の価値が上がるのだとこの一件から学んだ。


なにかを依頼する時はメリットを明確にするべし


わかりやすい報酬のひとつがお金であることは周知の通りだが、報酬は必ずしも金銭である必要はない。


たとえばの話。

今の時代でいうなら、メディアを持っていて、なおかつ影響力のある人・組織であるなら、


『なんと今回、〇〇様のご厚意で△△をしていただきました!ありがとうございます!こんな△△をお求めの方は〇〇様までどうぞ!おすすめですよ!』


こんな具合にSNS・ブログなどで宣伝をすることも立派なメリットの提供になる。

もちろん、宣伝をする人間にもよるところはあるものの、こうした投稿は蓄積されればされるほど侮れない集客手段になる。


他にも、クリエイターの例えでいうなら、動画の最後や説明欄に『Special Thanks』として名前を掲載する、といったこともメリットのひとつになる。


熱心なファンなら「どんな人なんだろう」と気になって名前を検索したり、リンクを辿って作品を見てくれたりするからだ。それがきっかけで新しく別のクリエイターのファンになったという例も少なくない。


そう、何かを頼むからにはメリットを明確に伝える必要があるのだ。


あなたが普段やっている仕事をタダでやれと言われたら、無償で働きますか?


もちろん、普段から世話になってる人からの頼みで、「いつも世話になってるし、たまには私もなにか返さないとな」と思って厚意で受けるのは別で、それは問題ないと思う。初回サービスのような形で応じることだってあるだろう。


しかし、たいして面識もない人からいきなり今回のような頼まれ方をしたら、「は?」って思うのが自然ではないだろうか。


その人たちは、普段やっている仕事を「タダでやってくれ」といわれたら本当にやるのだろうか。


その人が営業職であるとして、営業で訪問する取引先から「それタダでください」と言われて「かしこまりました!」とタダで差し出すのだろうか。


勤めている会社から「お前今月給料なしな。はい、これやっといて。」と言われて「わかりました!やります!」と返答できるのだろうか。


クレクレ厨がやっていることはこれらの例えとなんら変わらない。


相手になにかを頼む時は、相手の時間と完成するまでにかかる労力をいただくということを忘れてはならない。


タダより高いものはない


『タダより高いものはない』とはよく言ったもので、一見得したように思えても、実はどこかで大きな代償を支払っているものなのだ。


無料の資料請求をする場合は、個人情報の入力が求められる。

一見当たり前のように思えることだが、無料で得るのと引き換えに、相手に営業先候補となる個人情報を提供しているのだ。


あるいは、なにかの勉強をしている人であれば、無料の教材やPDF、またはWEBページを探すこともあるだろう。

その場合は、情報を探すための時間を差し出しているが、実はそれだけではない。無料で提供されているその情報が正確なものであるかどうかがわからないというリスクもついてくる。


そして今回のように、信用・信頼がコストになっている場合もある。これは時間に匹敵するレベルで取り返しがつかない。

それほど面識がないのにこれをやってしまうと、「もう二度と話しかけてくるな」という深刻なダメージになりかねない。


目先の利益にとらわれて、それ以上に大事なものを見失っていないだろうか。

相手が優しいからといって、義理人情だけで動いてもらえると思ったら大間違いだ。


「相手にとって、受けてもいいと思えるだけのメリットを提供できているだろうか?」


一度立ち止まって、相手の気持ちを考えるようにしたいものだ。



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