エトウ

楽しく創作中。 漫画ネーム、シナリオ、短編小説など。 「下手くそだけど完成させる!」…

エトウ

楽しく創作中。 漫画ネーム、シナリオ、短編小説など。 「下手くそだけど完成させる!」がモットー。

マガジン

  • だったら植民地をください

    「週刊少年マガジン原作大賞」応募作品。

  • もう正義のヒロインなんて願い下げ!

    ドロドロとした昼ドラのような正義の戦隊モノを見たいなと思い、書いています。 シナリオ形式です。

最近の記事

『漫画と出汁と父娘』本編

〇スーパーマーケット、総菜売り場(夕)    5、6人の買い物客。    カートを押しながら商品を選ぶ主婦。    鈴木幸子(58)。    2割引のシールが貼られたコロッケに手を伸ばす中年男性。    吉田治(46)。 鈴木「あら、吉田さん」 治、手を止める。 治「……も」    「どうも」という言葉の語尾しか聞こえない。    治はコロッケを取らず、鈴木に軽く会釈してその場を去る。    店員、治が取らなかった商品に2割引シールの上から半額シールを貼る。    鈴木はその

    • 『漫画と出汁と父娘』登場人物・あらすじ

      【登場人物】 吉田瑞穂(17)…主人公、高校2年生 吉田治 (46) …瑞穂の父、漫画家 吉田朱美(45)…瑞穂の母、会社員 立原優香(16)…瑞穂のクラスメイト 加藤真理(18)…漫画研究部の部長 高倉花音(16)…漫画研究部の部員 鈴木幸子(58)…主婦 スーパーの買い物客/スーパーの店員/高校のクラスメイト/漫画研究部の部員 【あらすじ】 主人公は高校2年生の吉田瑞穂。 彼女は漫画家である父の影響で、幼い頃から漫画家に憧れ、高校では漫画研究部に所属している。父は若い

      • ショートショート『恐竜時代』

        「ねえ、これ見て。恐竜時代」 そう言って、有希の隣にいた由美が突然、視界から消えた。有希が目線を落とすと、由美はすぐ横で無邪気な笑顔を見せながら、しゃがんでいる。 川又由美が無邪気なのは笑顔だけでない。岩田有希と同期入社の彼女は、よく言えば知的好奇心旺盛で、悪く言えば夢見る夢子ちゃんである。 新入社員同士の飲み会で名前が似ていることから会話が始まり、2人はすぐに仲良くなった。現実主義の有希、どこかフワフワしている由美。正反対だが、絶妙なバランスで友情を深めていった。 有

        • あいつの出世(後編)

           俺は地元の私大に入学した。 「どこ高なの?」 こう質問してくる奴に出身校を言うと、皆、口を揃えてこう言う。 「え……。どうしてここの大学に来たの……」 どいつもこいつも同じ質問ばっか。俺の勉強が足りなくて国立落ちたからに決まってンだろ。  でも、こんな大学の学生でも腐ってはいけない。就職活動という次なる選抜が待っている。もう同じ轍は踏まない。俺は「企業」に狙いを定め、入学と同時に真っ直ぐ進むのだ。そのためにサークルだって、ボランティアだって、バイトだって何でもやる。エントリ

        『漫画と出汁と父娘』本編

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        • だったら植民地をください
          4本
        • もう正義のヒロインなんて願い下げ!
          20本

        記事

          あいつの出世(前編)

             高校時代、俺は無敵だった。  進学校に入り、弓道部に入った。部活では処世術を存分に発揮し先輩に可愛がられていたし、大会での成績もそこそこ。友だちだって多いし、成績だって良かった。――理数科目以外は。  俺は高一の時、八組だった。一番端っこのクラス。これは別に成績が悪いからではない。俺の高校では、音楽、美術、書道のうちどれかを選択することになっていて、一番希望者の少ない書道は自動的に端っこのクラスなのだ。  八組で一番初めに仲良くなったのは金沢という奴だ。金沢は、なん

          あいつの出世(前編)

          「だったら植民地をください」第3話

          ◆ノースアイランド省、執務室 チャールズ「やってくれたな」 ウォーレン「何を……で、しょう?」   チャールズは両手に武器庫の棚卸帳簿を持ち、ウォーレンに突き出す。   冷静を装うウォーレン。   古い帳簿と新しいの帳簿の対比。 チャールズ「大ブリタニア王国エドワードⅢ世はキンケイの尾羽で作られたペンのみで文字を書く」   キンケイのイメージ。(尾羽が立派な美しい鳥) ウォーレン「……」 チャールズ「理由は簡単。王はあの美しい鳥がお好みだからだ。だから、子どもに

          「だったら植民地をください」第3話

          「だったら植民地をください」第2話

          ◆ノースアイランド沿岸部   いきなり、「飲もう!」と言われたところで、先住民たちがそれに応じるはずがない。   幼子のような笑顔を向けるチャールズ、警戒する先住民たち。   先住民の若い男が近づいてくる。 チャールズ「名は?」 若い男「……ホルト」 チャールズ「ホルトか。英語を話すのだな」 ホルト「(無愛想に)多少」   ホルトは、他の先住民たちから向けられる「我々を支配する本国の人間と仲良くするのか!?」という視線を痛いほど感じている。   ノースアイラン

          「だったら植民地をください」第2話

          「だったら植民地をください」第1話

          ◆学校の教室(放課後) ……キーンコーンカーンコーン   下校のチャイムが鳴っている。   教室には新海、町田、奈良の3人しかいない。   身体の大きい町田は、痩せた細い身体つきの新海の胸ぐらを易々と掴んでいる。 町田「新海ぃ、」 新海「え、何が……」 奈良「すっとぼけてんじゃねぇよ」 町田「万引きだよ、万引き!早くガム1個盗んでこいよ」 新海「無理だよ。ガムなんて。レジ横だし……。レジ横じゃなくたって、無理だよ。犯罪は」 町田「はぁ!?一昨日、やるって言っ

          「だったら植民地をください」第1話

          「だったら植民地をください」あらすじ

           高校生の新海 渡(しんかい わたる)は、クラスの町田と奈良からいじめられている。担任も見て見ぬふり。しかし、世界史の鈴木先生だけは助けようとしてくれた。  そんな矢先、新海は駅のホームに投げ出されてしまう。電車とぶつかる瞬間、新海は世界史の教科書と共に大ブリタニア王国へ転生した。  転生した先で、新海は国王の長男・チャールズだった。このまま王位を継承して楽勝人生が送れるかと思いきや、周囲から馬鹿にされ、しかも父である王は次男に王位を継承させた。そこで、国王にこう申し出た。「

          「だったら植民地をください」あらすじ

          「もう正義のヒロインなんて願い下げ!」第20話(完結)

          〇国王軍警察・牢獄(暗く、汚い、鉄格子)(朝)    朝だというのに、全く日差しは入らず薄暗い。 ミザリー「何であんたがここにいるの!?エレナ!!!」 エレナ「騒がないで。話をしにきただけだから」 ミザリー「話すことなんか何もないけど」 エレナ「私にはあるから来たの。でも、こんな薄暗いところでは……場所を変えて話しましょう」    エレナ、国王軍警察の係員を呼びに行く。    係員が4名到着し、ミザリーが逃げないよう前後左右をガードし、別室へ移動した。 〇面会室

          「もう正義のヒロインなんて願い下げ!」第20話(完結)

          「もう正義のヒロインなんて願い下げ!」第19話

          〇大法廷  静まり返る大法廷。  ここにはエレナとフェデリックしか居ない。 エレナ「……伝えたいこと?私に」    真剣なフェデリックの眼差し。    紫色の眼球が、じっとエレナを見てピクリとも動かない。 エレナ「あ」 フェデリック「どうしたの?」 エレナ「あなただったのね」 フェデリック「?」 エレナ「昔助けた美しい紫の瞳の少年」    「何だか懐かしい気がしていたのはそのせいね」    「(小声で)あなただ……」    フェデリック、跪いてエレナの手にキ

          「もう正義のヒロインなんて願い下げ!」第19話

          「もう正義のヒロインなんて願い下げ!」第18話

          〇大法廷    リリーに続いてソフィアナが証言台に立つ。 N「ソフィアナは、ミザリーが戦闘に赴かなかったこと、それぞれの望むもの、ソフィアナの場合は高価な薬草で釣られ、3人(リリー、ソフィアナ、アンナ)で戦うことが多々あったことを淡々と証言した。そして——」 ソフィアナ「魔獣に襲われたセナ―トゥス様は深手を負い、私が偶然にも研究生として滞在していた医学修道院で処置いたしました」 回想シーン ×    ×    × 〇医学修道院    苦しそうなセナ―トゥス。    

          「もう正義のヒロインなんて願い下げ!」第18話

          「もう正義のヒロインなんて願い下げ!」第17話

          〇大法廷 リリー、ソフィアナ、アンナ「(声を合わせて)お待たせエレナ!」    驚くエレナ。 エレナ「(小声で)え、どうして?ここに……」    3人、裁判長の前まで歩く。    その姿は堂々としている。 リリー「裁判長、エレナに代わって私どもを証言台に立たせてください」 弁護士「いきなり来て何事だ!証言台に立たせられるわけないだろう!」    誰も弁護士の発言を意に介さない。 アンナ「私どもは聖騎士団の団員でした。エレナのこともミザリーのこともよく知っておりま

          「もう正義のヒロインなんて願い下げ!」第17話

          「もう正義のヒロインなんて願い下げ!」第16話

           いよいよ裁判が始まる。  ルドルフの罪を暴く裁判が。  大法廷の重い扉が開く。 〇大法廷    国王、裁判長1名、裁判官3名、検察1名、弁護士1名、ルドルフが座っている。    大法廷は多くの傍聴人で溢れかえっている。 裁判官「被告 ルドルフ・ポラストロン」    「あなたは、次期議員に推薦してもらうことを目的として元老院の議員たちに賄賂を贈りました。そして、叙勲対象者になれず、議員になることが遠のくと分かるや否や元老院の長であるセナ―トゥスを殺害するという恐ろし

          「もう正義のヒロインなんて願い下げ!」第16話

          「もう正義のヒロインなんて願い下げ!」第15話

          〇アンナの家    エレナがひとりでアンナに会いに来た。    アンナはエレナが待っていることに気づいている。    しかし、待てど暮らせどアンナは出てこない。    エレナ、空を見上げる。    日が沈んできた。 エレナ「(ため息)ふーっ」    もう6時間も経過した。    エレナはまだ待ち続けている。 アンナ「(震えながら)何で、何で」    アンナ、エレナが待ち続けているので、外へ出られない。    アンナは毛布を被りながらベッドの上から動くことができない

          「もう正義のヒロインなんて願い下げ!」第15話

          「もう正義のヒロインなんて願い下げ!」第14話

          〇元老院の議場(朝)    セナ―トゥスの登場に驚くルドルフ、国王、元老院議員たち、そしてエレナ。    セナ―トゥスの立ち姿は凛としている。    セナ―トゥスの斜め後ろにはフェデリックが立っている。 セナ―トゥス「もう一度言おう。私もルドルフ司令官の元老院入りには断固反対する」    議会は騒然とする。 議場「静粛に!国王の御前です」    議長、セナ―トゥスの方を向いて、 議長「セナ―トゥス様、どういうことでしょうか」 セナ―トゥス「ルドルフは元老院の議員と

          「もう正義のヒロインなんて願い下げ!」第14話