繰り上げ人事の恐怖

人事……それは最後のフロンティア(?)
まぁ別にフロンティアでも何でもないのですが以前私が目にしたそれはそれは凄惨で目も当てられないとある会社の騒動について今日は話そうかと思います。

前回の記事

会社を生かす① 自分の役割

で書いているのですが役職という物にはそれに付随した業務内容というものがある。
すごくできる課長が部長になったとたん潰れるとかよくあることです。
戦闘を取り仕切るクラスが戦略と戦術クラスの思考をやらされるのですから教育されてなきゃそりゃ目も当てられないことも多々ある。

今回のお話はとある中小の食品製造会社の現場で起きたお話です。

さて?食品関係って結構薄利多売なとこが多いがメーカーによってはブランディングしっかりやって付加価値を付けて売るなんてことをやっているとこもある。
その食品製造会社は後者だった。ブランドアイデンティティプリズムなんて物もしっかり作っていた。
そこのとある社員A氏が課長候補になる。ところが現場の製造畑で生きてきた彼にはどうもできかねると思ったのかそれを辞退した。まぁ現場が良かったのだろう。私も常々思っています「現場って楽でいいなー」と(笑)
黙々とこなせばそれで良いからね。それでいいと思うか、向上心が足りないと思うか、まぁそれは別の話と言う事で。

さてその辞退した彼の代わりに選ばれたのがB氏。俗にいう繰り上げ人事である。会社としては新しく入った方の人材だが製造畑で技術はある。だが元々が家内制手工業的な製造畑だったのでその会社の「ザ・工場」というサイズの製造量とのやり方の違いとかを今一つというかまったくわかっていなかった。

そんな中、課長職にB氏は就任
一課を任せられ邁進する。ただし個人として…課としては動けていない。
そんななか新商品の開発をその課は命じられる。結構タイトなスケジュールであった。
他部署とも連携し新商品開発は進んでいく。黙々と試作し形にしていくB氏。ただし課としてではなく個人で。課の皆は知らないのだ。どんなものが出来上がっているか。
ここでもし課でやっていたなら辞退したA氏が気付いていたはずだ

「製造量足りなくない?といかこれ無理じゃない?」

と………

そうA氏をB氏は苦手としており常に口撃していたのである。
好き嫌いで仕事するなよホントに……である

そして包装のデザインもデザイン部門が作り、資材課がそれを手配する。営業は売り先を確保していく(どちらも、もちろんザ・工場の生産量で)。
皆いつものようにモリモリ製品が作れるものだと思い込んでいた。
でいざ納品の2週間前になって初発の確保できる数量を確認すると

「へ?どこの町のお菓子屋さんの製造量ですか?ゼロが2個は足りませんよね?」

という量が出てくる。

・資材は新商品なので加減はしているが、それなりの量が出来ている
・営業もその資材に合わせた手配をしている

さーそこから阿鼻叫喚の地獄である。
営業はひたすら謝り倒しの毎日…
販売戦略は練り直しで、そもそもその町のお菓子屋の製造量ですら現状の商品の製造を犠牲にしてどうにかというレベル。要は手間がかかりすぎるのだ。
そこで営業さんたちはあかんなと言う事で、資材分売り切ったら絶版が販売前に決まるという異例の事態に。
上手い事、営業さんととある管理職が立ち回ったので「限定テスト販売」という形に最後は落ち着いた。

さて話はB氏に戻る。
この案件が露呈した時B氏は

1.最初から限定だったはずだ
2.売り先もセーブすると言った
3.そもそもいくつできるかは作ってみなければわからないと言っていた
4.大体私が大変な思いをして作っているのにお前も作ってみればいい

と言い放ち自分に責は無いと開き直った。

1はまず製造量がB氏と他部署が想定している量に乖離がありすぎる
2は1が乖離しているのだから加減していても意味はない。そもそも製造キャパが足りなすぎるのだ。
3は課長としては論外。これが早めに出てきていれば資材の手配なんかももっと減らせたし営業は謝り倒して回る必要もなかった。
4はもはや時給のパートにでもなってくれである…お前課長だよな?(笑)

これは会社のスタッフの層が薄いのも原因だし、育てるシステムが確立してないのも原因ではあると思います。
でもよくあるのです世の中には…
私が常々この手の案件で思うのは

「自分の常識が他人も常識だと思い込んでいる」

偏にこれに帰結するのですよね

実はこの話、最初から無理だと気付いていたとある部長クラスが一名いるのである

その人曰く

「いやー失敗するとは思ってはいたのだけど、そこから学べばいいかなと思って(笑)」

育てるために失敗を教材として黙認する人も居るのだ。
でもその人凄かったのは全部外堀埋めていたのだ。

「いやー今回の新商品おそらく限定テスト販売くらいになると思います。味は良いのだけど手間かかりすぎちゃって アハハハハ」

と納品予定先の上と調整していたらしい。

今回のお話

・自分の常識が他人も常識ではない
・好き嫌いで仕事するやつに管理職は無理
・会社は各役職に必要な能力の指標を作る
・繰り上げ人事は博打

こんなところでしょうかね

彼を知り己を知れば百戦殆からず

自分を知り足りない部分や、必要な物を知ることは大事ですね。

なお結局B氏は会社中からにらまれてしまい辞めてしまいましたとさ。

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