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新人の通訳者さんと組むとき、実はドキドキしてる

手話通訳現場では、2時間を超える内容だと2名で対応することが多い。だいたいひとり15分くらいで交代し、待っている間ももちろん気が抜けない。

新人さん(何年までをそう呼ぶのか、はっきりしないが)と組むこともある。おおむね10年以上の経験者とペアを組んで、いろいろ学んでいくというものだ。

どちらかが手話をしている間は、片方が待機している。その時、待機している側がペア通訳者の手話(表現)をチェックする時もある。

それは「同じ手話表現にしたほうが、良い場合」や「ただ参考にする」、余裕があれば相手が困っているときに、フォローすることもできる。

しかし、私は同じ通訳者に「見られている」のがすごく嫌で、視界に入っていると「間違ってる??」と不安になってしまうのだ。

先日は登録2~3年目の通訳者が、明らかに直視しているのが分かる。もうパニックになりそうだ。「そんなに見られると、できるものもできないんだけどな。。。」と小心者の私は内心ビクビクなのだ。


通訳活動が終わってから、かんたんに「反省会」というものをする。2人で気づいたことを共有したり、もっとこうしたほうが良かったのではないか、など意見を出したりする。

通訳を終えて、新人さんが言ったひと言に衝撃を受けた。

「あの、私の通訳どうだったでしょうか。間違ってた表現があったら、教えてください!」と、なんとも健気だった。

不安からそういう言葉が出てきたらしいが、それって「講師と生徒」の関係になってしまい、同じ立場で仕事をしている感覚の私からしたら、すごく不可解な行動だったのだ。

「私もそこまで見ている余裕がなくて。。。ごめんなさい」と言うしかなかった。


ある時「報告書ってどうに書けばいいのか悩む」とか「研修に参加するけど、来るのは新人2~3人だけ」などポロっとこぼしていた新人さんがいた。

それを聞いて、私はハッとしたのだ。

言われてみれば、報告書の書き方なんてマニュアルもないし、自分が作成したものが自信の持てるものなのか、他の人はどう書いているのか、など思いもしなかった。

研修会だって、強制ではないので全員が参加するとは限らない。来るのはいつも決まった人で、自己意識のない人ほどおざなりになっていく。

自分もそっち側ではないのか?初心を忘れていないか?自分でも見えていなかったことが、この新人さんの言葉で、はたと気づけた。


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