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実は孤独な手話通訳者、不安でいっぱい

手話通訳の働き方には、行政や団体に常勤するものと、派遣登録(行政)して単発的に活動するものがある。
私は後者の「派遣登録型」をしている。

資格を取ると「〇〇市、××市、△△事務所に登録を」と促されて、当たり前に手続きをする。
そして登録するとすぐに通訳の依頼が来て、新人の頃は何の準備をしていいのかもよく分からずに、とにかく当日現場まで車で向かった。

現在も自分の住んでいる地域が県庁所在地に近いため、わりとその近辺に行くことが多い。
しかし先日は逆方向の地域に行くことがあり、地元の通訳者さんとご一緒する機会があった。

「普段は手話講習会の講師してますか?通訳の依頼は多いですか?」などと投げかけてみた。
「講師については、担当が固定されていて私には回ってこない。通訳依頼も、ろう者とベテラン通訳者が裏で組んでいるのか、ぜんぜん来ない」と答えが返ってきた。

「そんなことあるんですか??気のせいじゃなくて?」と言ったが、手話の世界ではよくあることかもしれない。

ひとつの地域だけですべてが完結していて、長年そこにいるろう者⇔通訳者がうまいように事を進めている疑念。そして新人さんや若い人たちの入る隙がなくて、やがていなくなる。

こんなことをしてたら、通訳者が育たないの分かってるのにね。せっかく資格を取っても、仕事がもらえないのであれば登録を辞める人も出てくるし。

このようなモヤモヤってどの通訳者も一度は感じていて、それを相談できる所がなかなかない。
なので今回のようなポロっと出た愚痴も、たまたま聞けただけであって、もしかしたら彼女はずっと疑念を抱きながら過ごしていたのかもしれないのだ。

彼女の答えを聞いて「遠いけれど(県庁所在地での)研修や勉強会に出てみたらどう?」とアドバイスしてみたのだけれど、「なかなかね。。。」のひと言で終わってしまった。

これが地域格差なんだなと、よっぽどの意欲がないと通うことも難しくなるし、自分は恵まれているのかなとも思った。
ろう者と良い関係を作るのも、一朝一夕ではできない。
そんな中でも「できること」ってあると思う。
それを見ている人は必ずいるし、続けていたらきっと何かにつながるはずだから、一緒にがんばろう!

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