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私の備忘録#4「政治不信」世論調査から



記者解説 未完のままの政治改革 より
朝日新聞2024年7月15日(月)

世論は政治資金の透明性向上を求めるなど
「政治とカネ」に厳しい見方をしている

差発防止の法改正への期待は低く、自民党
の体質にも「変えられない」と悲観的だ

「支持政党なし」などとする無党派層は6
割ほどいて政党への不信が定着しかねない

世論調査部
磯田和昭

「繰り返した弥縫策 厳しい世論と隔たり」

今回の法改正は、政治資金パーティー券購入者の公開基準を20万円超から5万円超に引き下げることなどが柱だ。政策活動費については毎年大まかな使い道を示し、領収書などは10年後に公開するというが、世論の期待に応えるものとは言いがたい。

有権者は問題を繰り返してきた自民党の体質そのものに批判的だ。自民党がこうした体質を変えられるのか6月からの電話調査で質問すると、「変えられない」が84%、「変えられる」は12%にすぎない。

「無党派6割、不信定着も」

いまの不信の主因は政治とカネの問題を繰り返し、抜本的な改革もできない自民党にある。だとしても、野党のふがいなさも拍車をかけてはいないか。
「支持政党なし」などとする無党派層が直近6月の電話調査では59%にふくらんだ。2012年12月に自民党が政権復帰して以降で最多。裏金問題が発覚してから5割を切る気配はない。
その裏返しのように、自民党の支持率が政権復帰以降で最低の19%に落ち込む一方で、野党各党の支持率も伸び悩む。
平成の政治改革は衆院の選挙制度を小選挙区中心に改めるのを手始めに、「政党本位の政治」にしていくのが眼目だった。
30年余りの試行錯誤の帰結がいまの不信の高まりだ。改革が先送りされる状況では、この流れが定着しかねない。政党が担うべき政治の先行きに暗然たる思いだ。

記者解説 未完のままの政治改革
朝日新聞2024年7月15日(月)

私のメモ「政府への不信」について

「政治不信は民主主義をどう変えるのか
社会に潜むネガティブな感情をつかむ」
宇野重規(うの しげき)
NIRA総合研究開発機構理事。東京大学社会科学研究所教授。専門は西洋政治思想史、政治哲学。

このような政府への不信は、ポピュリズムの温床になり得る。欧米と比べると日本の状況はマイルドだが、破壊主義ないし「多数派の専制」に陥らないためにも、レファレンスポイントとなる情報を多く提供・発信し、相対化してゆくことが求められる。(渡辺論考)

逆に、財政や社会保障問題を論じるにあたっては、先々の生活に不安を感じる高齢層と、自分たちが無視されていると不満を感じる若年層、さらに子育てと介護の負担に苦しむ中間世代を結びつける共通の基準は不在である。それぞれは他の年代に対して不満と断絶を感じ、世代を超えた、義務と権利、負担と享受のバランスあるイメージを抱きにくい。

 その意味では、現在求められているのは、年齢や性別、置かれた境遇の違いを超えて、人々が自らの人生を展望するためのレファレンスポイントを回復することであろう。生涯を通じて見るならば、自分の負担と享受にはバランスが取れており、しかも他者と比較しても公平で平等である。このような感覚を取り戻すための基準を再検することが、今後の日本にとっての大きな課題となるはずである。

もちろん、だからと言って、日本の状況が相対的にはましであると評価するわけにはいかない。すでに指摘したように、NIRAの調査でも、社会階層意識が低いほど、政府やその政策への不信が強く、政党支持においても新興政党へと向かう傾向が見られる。日本において現状においてポピュリズムの脅威が極めて大きいとは言えないが、今後、社会階層意識がより高い層においても同様の傾向が強まれば、政党支持の構造が一気に流動化することも考えられる。現在のような政府への信頼の低下を放置するならば、大きな不安定化要因となることは間違いない。

NIRA総合研究開発機構
NIRAオピニオン№74 2023年12月6日

「ポピュリズム」とは

▼ポピュリズム 大衆からの人気を得ることを第一とする政治思想や活動を指す。本来は大衆の利益の側に立つ思想だが、大衆を扇動するような急進的・非現実的な政策を訴えることが多い。特定の人種など少数者への差別をあおる排外主義と結びつきやすく、対立する勢力に攻撃的になることもある。

https://www.nikkei.com/topics/22A00245
日本経済新聞
<2022年4月26日掲載>

「議員内閣制の弱点」について

議院内閣制の短所として、行政府が「不安定」になりやすいこと、首相の選出方法が「非民主的」であること、「権力の濫用」を招き易いことが指摘される。各国憲法には、これらの短所を克服するための仕組みが設けられている。

シリーズ憲法の論点③「国会と内閣の関係」矢部明宏
国立国会図書館調査及び立法考査局
2004年11月

「世論はどうなのか」について

「日本の政党や国会を信頼できない、と考える国民が6割を超える―言論NPOは参議院投開票前に日本の民主主義に関する世論調査結果を公表」

非営利シンクタンク言論NPO
2019年7月12日

日本国民の半数近くは日本の将来に対して「悲観」しており、その理由として、高齢化や人口減少に有効な対策が見えない、との声が8割に迫っている

日本が直面するこうした課題の解決を政党に「期待できない」とする国民は55.2%に達し、その理由として6割が「政治家や政党は選挙に勝つことが自己目的化し、課題解決に真剣に取り組んでいない」と回答している

非営利シンクタンク言論NPO
2019年11月13日

【言論NPOとは】

言論NPOは、「健全な社会には、当事者意識を持った議論や、未来に向かう真剣な議論の舞台が必要」との思いから、2001年に設立された、独立、中立、非営利のネットワーク型シンクタンクです。2012年には、米国外交問題評議会が設立した世界25ヵ国のシンクタンク会議に日本から選出され、グローバルイシューに対する日本の意見を発信しています。この他、国内では毎年政権の実績評価の実施や選挙時の主要政党の公約評価、日本やアジアの民主主義のあり方を考える議論や、北東アジアの平和構築に向けた民間対話などに取り組んでいます。
 また、2017年3月には、日本で初めてグローバル課題の解決を目指す、世界的な議論のプラットフォーム「東京会議」を立ち上げ、議論の内容をG7議長国と日本政府に提案する仕組みをつくり上げました。

非営利シンクタンク言論NPO
2019年11月13日

「『政治とカネ』で募る政党不信、信頼回復のカギは憲法改正?」

そもそも政党法案がまとまらなかったために政治資金規正法が誕生したという歴史をみれば、「政治とカネ」と「政党のあり方」の論点は、切っても切れない関係にある。政治資金の不正で失われた国民の信頼を取り戻すには、憲法に規定するか法律で定めるかという方法論は別にしても、各党が「政党とはどのような存在で、どうあるべきか」という本質論に真剣に向き合うことが欠かせないだろう。

 健全な政党政治の実現に向けて、すべての党が党利党略を超えて、国民に見える形で議論する姿勢が求められている。

読売新聞オンライン
2024年6月7日

「金をかけない政治は本当に無理なのか」という問い。

「会食に使われる多額の【飲食費】『政治はカネがかかる』を認めるな!」
【出演者】田中秀征さん(福山大学客員教授・元経済企画庁長官)

――田中さんご自身は、自民党の衆議院議員だった時期に、政治資金パーティーのパーティー券を売ったことはありますか?

田中:
自分のパーティーを東京でやったことはありません。長野の選挙区でやった時はお金をいただくっていうのは非常に気が引けることだったんですけども、宮沢喜一さんが総理になる前、対論という形で話をした時にお金をもらいました。かなりの時間を論じてそれを聞いていただくということでお金をいただきました。それ以外は思い浮かばないからやってないですね。
新党さきがけのときは、一度、党のパーティー券を売った覚えはありますね。そのくらいです。

カネをかけずに政治はできる
――ということは、それほど政治資金パーティーが必要ではなかったということですか?

田中:
そういうことですね。まあ、お金をかけようとしても無かったということもあるんだけれども、お金をかけないようにすれば、やれるんですよ。実はね。
だから今回の議論で一番痛感することですが、有権者の側の責任を考えると、政治の側が「選挙や政治にはカネがかかる」と言っても、それを認めてはいけません。

――たとえば選挙には費用がかかり、運動員やいわゆるウグイス嬢を雇ったりするのにお金がかかると言われますが、それを認めてはいけないと?

田中:
そういうことをしちゃいけないという意味じゃなくて、「カネがかかる」っていうことを認めるから費用が膨張しちゃうんですよ。
選挙や政治活動などについては、税金を使った公的な仕組みがもう整っているんですね。たとえば国会図書館であるとか衆議院事務局にある各調査室、それから政策秘書。さまざまな政策研究や議員立法のための仕組みは既にできているんですね。
それなのに、政治家が「政治にカネかかるんだ」って言うと、有権者たちは「それは仕方がない」ってみんな認めちゃうんですよ。私はそこがいけないんだと思います。それでどんどんどんどん費用を膨張させていく。だから今回のことで言えば、有権者の責任はそこにあり、「政治にカネがかかるから、こんなことをしちゃった」という議員を、「そうですよね」って許しちゃだめだと思いますね。
だからそういう意味では、私なんかは最もカネのかからない形で政治活動をやってきたと思うんですが、誰でもそれはできると思いますね。


現行の小選挙区制でいいのか
――リクルート事件や東京佐川急便事件などを受けて、“政治とカネ”の問題をなんとかしようと、30年前に「平成の政治改革」が行われました。田中さんたちが当時、国政の場で議論した政治改革。今こういう状態になっているのを見ると、あの政治改革の成果は何だったんでしょうか?

田中:
当時の政治資金の問題に私は関わっていませんが、政党助成金については個人的に賛同していませんでした。
そして、政治改革の焦点は「政治資金」をめぐる問題ではなく、「選挙制度が悪いんだ」というところに行っちゃったんですね。
当時、東京佐川急便事件やリクルート事件など構造汚職といわれたいろんな問題の原因は「中選挙区制で候補者同士がサービス競争をやるからだ」といって、選挙制度のせいにしちゃったことが大きな間違いだったんです。
それで「中選挙区制を小選挙区制にすれば同士討ちがなくなる」といって選挙制度が変わりましたけれど、それなら中選挙区連記制という方法もあるんですね。
中選挙区で2人あるいは3人の名前を書くという方式にすれば、サービス競争はなくなりますから。これは30年前にも主張していたことですが、やっぱり私も細川護熙元総理もそういう考え方ですね。


1994年1月28日 河野洋平自民党総裁と細川護熙総理大臣のトップ会談
ところが小選挙区の流れがそれこそ熱病みたいになって、ああいう形(小選挙区比例代表並立制)になっちゃった。しかもそれは私たちが出した政府案が参議院で通らなかったあと、最終的に河野洋平さんと細川護熙さんが会談をして本当にもう一瞬にして決まり、審議もされずに施行された。それが今やっているこの現行制度ですよね。

――そうすると30年前のことを振り返り、改めて反省すべきは反省して考え直さなきゃいけないと?

田中:
そうです。今の選挙制度の一番根本的な問題は、「党」より「人」で選出されていないということなんですね。やっぱり政治家として見識のある個人を1人でも2人でも多く国政に送れるような制度にしていかなきゃいけない。現在のように政党に飲まれていく制度じゃだめだと思います。

NHKラジオの中から注目の記事をお届け 読むらじる。
放送日:2024年1月11日

【泉房穂氏の見解】「『企業・団体献金がないと政治が成り立たない、はウソ』政治資金規正法の改正めぐり自民の修正案を批判 マスコミの報道のあり方にも意見」

政治資金規正法の改正に向けた修正協議をめぐり、野党側は「企業・団体献金の禁止」「政策活動費の廃止または全面公開」などを求めていましたが、自民党が5月29日に出した修正案は事実上の“ゼロ回答”でした。5月30日のMBSの番組で前明石市長の泉房穂さんは、規正法の見直しに関する自民党の対応について「本当に小さなことしかやっていない」と指摘。一方、政治の動きを変える上でマスコミの“報道のあり方”も大きいと話します。

◎泉房穂:兵庫県明石市生まれ、東京大学卒。NHK退職後、弁護士・衆院議員を経て去年4月まで明石市長を務める

「選挙に金をばらまくようなことをいつまで続けるんですか」

―――野党側の要求と、それに対する29日に提示された自民党の修正案について、▽「企業・団体献金の禁止」に関しては、修正案は触れず▽「政策活動費の廃止または全面公開」という要求に対しては、使用した年月の開示、などとなっています。泉さんのツッコミどころは?


 (泉房穂さん)「本当に情けないですね。もう35年ぐらい前からの議論です。当時の自民党は今よりマシで、そこまでお金をかけないような政治をしましょうとか、お金については政党交付金を中心にやりましょうとか、ガラス張りの政治とか、今よりはマシなことを言っていたんですよ。35年たって今本当に小さなことしかやっていなくて、本丸やっていないですね。やっぱり『どちらを向いて政治をするのか』がポイントです。特に今、国民は一生懸命がんばっても生活きついですし、国民負担率は税金・保険料合わせて5割近いわけですよ。もう生活大変なんですよ。ちゃんと国民のために政治をしてほしいわけです。にもかかわらず政治家は国民を見ずに、お金の方を向く、企業・団体献金をくれる方々のための政治をしてしまっていると思います。まさにそっちを向いた政治をするから、国民への施策が薄い。企業・団体献金の禁止はフランスなど他の国はやっていますから、最低限これぐらい(するべき)だと思いますけどね」

「選挙に金が『かかる』ではなく『かけている』。かけなくても選挙はできるんです」
 ―――政治家の多くは、企業・団体献金やパーティー券の収入がないと政治が成り立たないということを言いますが?

 (泉房穂さん)「ウソです、そんなん本当にウソです。もう少し丁寧に言うと、政治に金がかかるとよく言われますけど、政治ではなく選挙に金が『かかる』ではなく『かけている』のであって、かけなくても選挙はできるんです。かけた方が得なんです。実際、政策を作るのにびっくりするお金が政治家個人にいるわけじゃない。優秀なスタッフもそろっていますから、政策立案にはほとんどお金がかかりません」

 ―――泉さんは衆議院議員を経験されていますが、政党交付金だけで政治は成り立つと思いますか?

 (泉房穂さん)「当然です、そんなの。だって昔は政党交付金がありませんでしたけど、今は1年間に315億円も税金から政党交付金が出ているわけですから、それで政治をやればいいだけのことで、それ以外に企業・団体献金はいりません。パーティーの収入で稼ぐ必要もなくて、そのお金がまさに裏金とか選挙対策に使われているので、選挙に金をばらまくようなことをいつまで続けるんですかと、本当に思いますけどね」

WBSNEWS
2024年6月1日

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