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「フリーランス」@タイ チャレンジシート実績8ヶ月目

 半年も過ぎれば異国の地でゼロから生活をスタートするワクワク感も少しずつ褪せてきて、本当の意味での「生活」が始まる境界線になると改めて実感した。
 初めて日本で留学していた時期を思い出す。
 日本語を勉強していたものの、いざ生活を始めると、本物の日本語は違うんだとすぐに気づく。方言が特徴的な地域でもあったので、教科書通りの日本語ではうまくいかない最初の半年間。アルバイトに応募してもやんわりと断られ、本当の理由は「募集終了」ではなく「お皿をあらえます」を「お皿をわらえます」と言うレベルだったからだとわかっていたが。
 それでも日本が新鮮だった。新人歓迎会で騒ぐ日本人の大学生の姿、スーパーに陳列している食材、街に走る短い路面電車、4月川沿いに満開する桜、海辺で見た迫力満点の花火、夜行バスで見に行った京都の街並み、浴衣を着て参加した地元の小さな祭り…全てが新鮮で、初めての体験ばっかりだった。日本=東京という先行イメージも特になかったから、「これが日本だ」と田舎の街を自転車でまわりながら思った。
 半年が過ぎたところで、秋、冬の季節に入ったことも関係するかもしれないが、高揚していた気持ちがずいぶん落ち着いてきて、学校やアルバイト、普通の日本人の大学生と同じような生活を送っていた。
 今回のタイも似たような感覚だった。移したのは9月中旬で、そこから季節的に一番過ごしやすく、イベントが豊富になってくる時期が始まる。登りたい山、足を運びたいアクティビティ、会って喋りたい人、発掘待ちの宝が光っていた。
 だが、タイ北部の4、5月が残酷だ。40度越えの高温に空気汚染。自然に触れ合えない窮屈さが襲ってきて体調もダウン。探索することよりなんとか体調を維持し、気が滅入りしないように我慢を続ける2ヶ月だった。
 体力温存というチャレンジーの段階もあるかもしれない。


Voicy:


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