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おかえりモネのこと、未だに定期的に思い出しては浸ってる

放送から1年以上経っているけど、ふと思い出しては懐かしむことがある朝ドラ・おかえりモネ。

これまで見てきて、ストーリーも追えていた朝ドラは、ゲゲゲの女房、おひさま、カーネーション、梅ちゃん先生、純と愛、あまちゃん、ごちそうさん、まれ、あさが来た、とと姉ちゃん、ひよっこ、わろてんか、半分、青い。、まんぷく、なつぞら、スカーレット、おかえりモネ。

なつぞら以降が社会人に入ってから放送された朝ドラだが、実家で見る習慣がついていたというのもあって、一人暮らしの開始と在宅勤務の開始、さらには夜の再放送枠終了と共にここ数年はきちんと完走出来たものが少ない。
(そのため例のちむどんムーブメントにもTwitterのタイムラインを追うだけに留まった。「海に向かって叫んだら不治の病が治った」みたいなネタ要素だけ回収している笑)

見てきたものの中での印象に残っているシーンはいくつもあって、


ゲゲゲの女房で柄本佑くん演じる“点描に特化した”アシスタント(そこ?)、

梅ちゃん先生での高橋光臣派?松坂桃李派?論争(私は前者推しだったけど、桃李くんとの2人の雨の中シーンで完全に信郎に持っていかれた)、

ミシン越しにじゃれ合う尾野真千子・綾野剛の禁断だけどキュンな恋愛、

あんなにタイトル通り“ひよっこ”で田舎生まれだったみね子ちゃん(有村架純ちゃん)がバーで恋愛話してる!と謎に親心を抱いたシーン、

スカーレットの喜美子とハチさんの初々しくてくすぐったい馴れ初めと、関係が変化することによるリアルな二人の間の空気感…

印象的なシーンはどの朝ドラにもあるし、「どれが1番好きだったか」と聞かれると(大分迷うが)ひよっこだった、と言うんじゃないだろうか。



それでも、2021年前期の朝ドラ「おかえりモネ」のことを、1年以上経った今でもふと思い出すことがある。


これはよく言われている事だけど、おかえりモネは朝ドラにおいてナレーションが極端に少なかった作品だったと思う。
もっと言うと、台詞も少ない。
起きたことの情景描写や表情、目に宿る光から、人物の心の揺らぎを汲み取る必要があった。

軽快なテンポで言葉遊びが紡がれるような会話劇的なドラマが個人的には好きなのだけど、おかえりモネはむしろ“表情劇”とも言えるほどに「言葉での説明」が少なかったと思う。

言葉は時に感情の1側面しか描けないことがあって、おかえりモネの場合、その1側面を切り取るだけではあまりに足りないくらい、登場人物の感情が複雑に折り重なっていた。
だから毎話見終わった時に、たったの15分間なのに、一人一人のクソデカ感情をどっと受け取るものだから精神的な疲労感(これは決してネガティブな意味ではなく)があったのを覚えている。

そして、なんでこれを思い出したかというと、最近なにかの記事を読んでなるほどと思ったことで、巷で話題のドラマ「silent」は設定上、画面をしっかり見ている必要があり(=ながら見が出来ない)、だからみんな、より没頭するんだと。

それで言うと“表情劇”だったおかえりモネもその類と言える。
みんな朝の準備で忙しいから、チラチラ画面を見ながらも、聞こえてくるナレーションと登場人物たちのセリフで設定や成り行きを脳内補完したりするのに、おかえりモネはその見方ではストーリーを完全に把握するのは困難になってしまう。

朝の慌ただしい時間帯には向かない作り方だけど、だからこそ画面やストーリーに没頭するし、みんな登場人物の心情を頭で想像するから、より感情移入する―そんなこともあるのかもしれないな、と思ったり。(空や海の映像がかなり綺麗なドラマでもあった。これも、目で見ないと感じ取れない。)


もうひとつ。
3.11の東日本大震災は、あの日刻まれた、日本にいる人全員の歴史であり共通認識なんだと、このおかえりモネを見た時に思った。(ここでの歴史というのは、すでに過去のものという意味ではなくて、日記の2011.3.11のページにみんなが記している事項、という意味)

主人公のモモネは、地元・気仙沼ではなくたまたま受験の合格発表を見に行くために訪れていた仙台で“その”時刻を迎える。
その日は、翌日3/12に控えた吹奏楽部の演奏会の前日リハーサルで、演奏会のポスターも度々映し出されていたことから、多くの視聴者が、今見ている映像が「その日」のことなのだと気づいたと思う。
そして、仙台のジャズバーにて、モモネの担当楽器であり、音楽の学科(大学?)まで受けさしめたサックスの、プロプレイヤーのソロパート中にその時刻を迎えるのだが、そこまで一切、2011年3月11日に起きた出来事の前提の説明や、その日が当日であることの説明はなかった。

同じことで「そうか、そうだよな」と思わされたのが「すずめの戸締まり」で、
おかえりモネ同様に敢えて出来事の説明はしなかったけど、その出来事が共通認識として―それは、人類が生まれて文明が誕生した、氷河期があった、隕石で恐竜が絶滅した―そんなことのように描かれていた。

だから、「最高の離婚」で馴れ初めが帰宅困難(今思えば凄い設定!笑)であったような、震災間もないドラマの設定として扱われる震災と、

私たちの共通認識として扱われる震災では意味合いとか描かれ方が変わってきているなと。

それをこの前すずめの戸締まりをみて感じて、
おかえりモネを思い出したのだった。



その年の紅白歌合戦でBUMP OF CHICKENの「なないろ」演奏時に、2021年現在のモモネたちが映し出されたのも熱かった!


色んな意味で、色んなタイミングでふと思い出す大好きな朝ドラのひとつ。

きっと年が経つにつれてその頻度も減って、目に焼き付いた光景も薄まってしまうだろうから、備忘録として書き留めました。


また素敵な朝ドラに出会えますように!

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