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大企業の女性執行役員がまだ珍しいようなので

自己紹介を兼ねて、わざわざnoteに記事を書くことにした理由を書こうと思う。きっかけは、Facebookでストレス解消と承認欲求を満たすために書き散らした投稿が意外と読んだ人のヒントになっていることをがわかったからだ。

私を直接知っている人が持つイメージほど、実は華々しいキャリアを歩んできたわけではない。まず、就職活動に失敗して大学を1年留年したし、管理職の打診を断ったこともあるし、人事権のある正式な管理職になったのも30代終盤だったし、執行役員になったのも割と最近で、同年代の男性から比べるとかなり遅い方だし、今や女性の中でもたいして華やかではない。ただ、地味だけどそこそこ名の通った会社に転職を重ねたのと、大学と国内MBAの学歴が華々しさを加えている側面はあるだろう。

特に30代前半で管理職の打診を断ってからというもの、むしろ実務能力を買われて、重要だがややこしくて不確実な仕事を割り当てられることが多くなった。そこで必ずしも結果を出せないこともあり、探求心が高じてビジネススクールで働きながらMBAを取ることにした。当時は経営層まで出世しよういう確たる自覚はなかったが、300万円もの学費を払ったのだから組織の要職につきたいという欲求は心の底にあったのだと思う。当時は、その欲求を真正面から受け止める勇気がなかったのだ。

また、管理職の打診を断った結果、私よりも若い女性が管理職に出世していくのを見守ることになった。不必要な恐怖を抱かない優秀な人は順調に昇格していく。場合によってはそういうリーダーの元で働くことにもなる。実務能力的には取り立てて私より優秀とは思えない場合もあった。MBAを取るところまでキャリアに投資をしていながら、自らの過去の選択の結果、昇進のチャンスはなかなか巡ってこなくなった。じょじょに焦りが強くなって、管理職に必要なスキルを記した本を読み漁ったり、イメージトレーニングをして仕事のやり方を変えたり、地道な努力を続けるはめになった。

MBAで学んだことは、恐怖を克服するために役にたった。ロジカルシンキングや組織行動学、マネジメントやリーダーシップの理論は、勝気でもなく押し出しも強くない私にとっては仕事を進めるうえで強力な武器になった。自信のなさを補うために習得してきた知識だが、実地でもがきながら何年もかけて取り込んできた結果、いつしか体の一部になって自分の言葉で語れる水準まできたのかもしれない。だから、リーダーシップや高度な管理スキルが求められる「普通の人」にとって、参考になる考え方や対処の仕方が書けるのかもしれないと思うようになった。

私のプロファイル上、結果的に女性活躍という文脈で記事が読まれることになりそうだが、私は、性別問わず誰もが組織でリーダーを目指すべきだとは一切思っていない。その人の気質や好み、置かれている状況によってぴったりな働き方は違うからだ。年齢を重ねたり社会が変わると心境がかわることもあるだろう。一方で、会社という組織に所属しているのであれば、そこで達成感や自己実現欲求を満たしたくなるし、そのための裁量と権限を求めるのは自然な流れだ。実際に、ポジションがあがっていくにつれ、これまで不満に思っていたことも自分で変えることができるようになる。いざ手にしてみるとやりがいも自由も格段に広がるのを実感するだろう。

私自身、恐怖に裏打ちされた先入観や思い込みを克服できずに、無駄なストレスを感じたり、望む処遇がえられなかった期間が長かったから、「あんなに悩む必要なかったな」と後悔することも多い。有能でやる気もあるのに思い込みが邪魔するのは、優秀な管理職不足の世の中にとっては損失でしかないだろう。私のささやかな記事が、誰かの心に変化を起こす余地は大きくないとは思うが、頭の片隅に残って、いつか何かのきっかけになれば幸いである。

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2021年6月に、Udemyという動画プラットフォームでキャリア講座を公開しました。「女性管理職からジェンダーレスなマネージャーへ」

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