5.忘れたくないから。
一人暮らしのアパート
最寄りのバス停で降りて、家へ帰る。
amazarashiを聞きながら、この24時間に起こったことを整理していた。
時に寂しさを覚えながら歩いた。
家に着いたのは16時ごろだったと思う。
家に帰ると、飲みかけのMountanDEWがあった。
あ~、そうだった。昨日の掲示板の書き込みのときに飲み始めたんだった。
そう思いながら、疲れていたので、すぐに寝床に入った。
起きたのは、18時頃だった。
いつものようにスマホをつつく。
眠気が覚めるまで、スマホを触るのが習慣だ。
30分ほど、経って今週分の「僕のヒーローアカデミア」のアニメを見ていないことに気が付いて、見る。
今週のヒロアカは、作画が神がかっていて、グッとくる瞬間が何度もあり、感極まって、暗い部屋で一人静かに泣いた。
名も知らない君へ
「色々なことがあったな」と今日を振り返ると
自然に言葉が出てきた。
いつも、部屋で独り言などしないのに。
僕「彼には、幸せになってほしい。」
そんなことを言っていると、涙が出てきた。
だんだんと閉じ込めていた感情が鼻水とともにあふれ出してくる。
顔をもっとブサイクにさせながら一人、アパートで号泣した。
彼は、本当に好きな人しか彼氏にしたくないようで
「彼氏を作らないの?」と僕が聞くと彼は「う~ん。こんな感じに遊べなくなるし、本当に好きな人いないから。」と言っていた。
また、男同士の恋愛は、いくつかのリスクが伴う。
準備をおこったって、激しいプレイをするとウケ側は最悪「人工肛門」になる。また、複数の男性と行うということはエイズなどの性感染症に掛かるリスクも高まる。そうなれば、普通の生活はできなくなる。
そんなことを考えると彼には早く好きなパートナーを見つけて
幸せになってほしいと心底、思った。
彼が障害を持って、病気に罹って、人生を終えるなどと想像すればするほど、「嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。」と思った。
同時に、僕では彼の器にはなれないと感じていた。行為中、彼の好きなタイプを見せてくれたが、僕とは違っていた。僕は、バイセクシャルで、どんな男もいけるというよりは、かわいい子がすきだった。そんな僕と彼を照らし合わせると本当に僕はバイセクシャルなのか?男を愛することができるのか?と感じていた。
そのようなこともあり、僕には見合っていないくらい、かわいらしく、美しく、気遣いのできるやさしい君を思い泣いた。
僕「もし、神様がいるのなら、彼を幸せにしてほしい。
死んだときでいいから、天国で彼の幸せだった人生を聞きたい。」
と願った。
こんなに感情を揺さぶられたのは、久しぶりだった。
心の底から泣いたのは、高校の時に親にも理解せらない悲しみを感じ、
「誰にも理解されないんだ。親にも」と思いながら泣いた以来だった。
僕の想像をはるかに超えるほどの印象を彼は残して去った。
彼の美しく、かわいく、無邪気な姿を見た。
彼には本当に幸せになってほしい。
できればもう一度会って、近況を話し合う仲になれればうれしかった。
※この物語はノンフィクションではありません。
実在の人物、団体名等とは関係ありません。
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