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言語を超えた会話

 新学期が始まり、英語教室にも新しい生徒が入ってくる。他の先生が担当していたクラスを自分が見る様にもなる。もう教室を始めて15年経ち、多くの子どもたちと毎年同じことを繰り返しているのに、私ときたら毎年緊張する。でも私が緊張していては子どもたちに緊張感が伝染してしまう、と出来るだけ見せない様にしてやり過ごす。

 訝しげに私を見る子、私が妙にご機嫌で陽気なのを気味悪そうに眺める子、出来るだけ私が嫌がりそうなことをしてみる子…いろいろな子と向き合ってみて、最初は怯む。
 前週にそんな目に遭ったら、翌週そのクラスのレッスン前は胃が痛くなる。私はそれ程繊細だけど、この仕事をしている限りそこは越えるべき壁だと思っている。毎年。

 翌週も笑顔でご機嫌。前の日の不安による寝不足の不調や胃の痛みはレッスン中は不思議なほどなくなる。これをプロフェッショナルと呼ぶならそうなのかも知れないけれど、我を忘れる程没頭しなければ私は子どもたちのちょっとした言動でヘナヘナになってしまう。
 心がけて笑顔で子どもたちの一つ一つの行動や動きが何を意味しているのかを考えながら、授業を進める。

 2週、3週としている間に、子どもたちが話してくれる様になる。その話が最初の態度の手がかりになることが多い。私を嫌ってのことではなく、その子自身が嫌な人っていう訳でもない。ちゃんと理由があって、伝えたい何かがあって、その手段だったのだと知る。そうだったのね...という気持ちが伝わって、私がそんな態度を取らなくてもいい相手だと知ってくれる。
 丁寧に丁寧にその過程を踏む。毎年、毎年。その中で心にダメージを喰らうことはあっても、この毎年の成功体験が私を前に進める。わかりあう必要はないけど、少なくとも私は知りたい。その子が何を想い、何を伝えようとしているのか。安心感を持ってくれたら嬉しい。

 タフな心が必要になる4月。きっと私もどこか自分の心に無茶をさせているのかも知れないから…GWはゆっくり過ごそう。子どもたちも新しい環境で本当によく頑張ってると思う。みんな、GWはゆっくり。自分に優しく過ごそう。

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